守屋文雄の日記

2006年12月10日 (日)

見た後に笑顔になれる映画らしいです

みなさま、おはようございます。
「おじさん天国」脚本・守屋文雄でございます。
昨晩は、たくさんのお客さんと共に初日を迎えることが出来ました。
劇場を出てくる人たちの顔がみんな笑っていたよと、大目象一さんという嘘みたいな素敵な名前のキャメラマンの友達が教えてくれました。
どうもありがとうございます。
劇場まで足を運んでいただいたお客さん、久しぶりにお会いした「おじさん天国」オールスターズのキャストの方々、脚本を映画にしてくださったスタッフの方々、昨年の企画からこの公開まで「おじさん天国」にかかわってくださった方々。上映のあと、家に帰った方、仕事だった方、遅くまで飲んだ方、今も飲んでいる方。
すべての方に感謝いたします。
世界に感謝いたします。
「酒飲むために映画撮ってる」
いつかどこかで何回か聞いたかもしれない、日本か外国かどこかの映画監督か誰かの言葉を、長年「そんなわけねえじゃねぇか」と思ってきましたが、昨日、その気持ちが分かった気がいたします。
なんだか、千秋楽の挨拶のようになってしまいました。
「おじさん天国」は今日もやっております。
明日もやっております。
毎日やっております。
イベント盛りだくさんでやっております。
大目象一さん曰く、見た後に笑顔になれる映画らしいです。
未見の方、是非劇場までお越しください。
お待ちしています。

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2006年12月 9日 (土)

いまおかさんのこと

「おじさん天国」の脚本がまだ出来上がる前。
いまおかさんに何冊かの本を貸していただいた。
「アオリイカ スーパーテクニック」
たしかそんなようなタイトルのDVD付きの本が一冊あったけれど、それ以外は映画の中身とは直接関係ないものばかりで、その中に村上もとかの短編集があった。
その短編集に入っている「99夏あたし15歳」という話はいい話で、帰りの電車の中でぼくは読みながら泣いた。
いまおかさんは、当たり前の話だけど、ぼくなんかよりもたくさんの台本を書いて来られた。その全てを読んだり見たりしたわけではないけれど、たくさんの台本を書いてきたということは、その数だけ喜んだり落ち込んだりしてきたのだろうと、台本を書くぼくは信じることができる。
いまおかさんに会うと緊張する。
それは、この秋に友達の沖田修一が監督した映画「このすばらしきせかい」のトークショーでいまおかさんに会ったときに、初めて言葉にして思った。
年上だとか、監督だからだとか、未だに台本が上がらないからだとか、いろいろ理由はつけられるけれど、たぶんどの理由もいい訳みたいなもので、緊張するものは緊張する。威圧感はないけれど、むしろ話をしているときはホッとしている時もあるのだけれど、ホッとしながらも緊張している。
ぼくから見たいまおかさんはそういうひとだ。
「アオリイカ スーパーテクニック」に付いていた付録のDVDは、まるで待ちきれなかったかのように荒々しく袋のミシン目が破り開けられていた。
そして後日、西伊豆へのロケハンに同行したとき、強風の中わずかな時間でイカを釣ろうとするいまおかさんの姿をぼくは忘れない。
その姿は、恐ろしいほどに近寄りがたかった。

いよいよ本日より「おじさん天国」公開です。
イカとか地獄とかおじさんとかセックスとかばっかりで、泣きどころなんてひとつもない映画ですが、観ている間はちゃんと我を忘れるかわいい映画です。
お時間のある方、どうぞ劇場までお越しください。
お待ちしております。

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2006年12月 2日 (土)

ハリウッド並

沖田修一がギャラを持ってきた。

「このすばらしきせかい」という映画がこないだ公開になった監督の沖田修一と、この秋、とある撮影のバイトをした。

それは大正琴の演奏会の撮影で、沖田とぼくで2台のカメラを回した。

1000人は入ろうかという巨大なホールで行われたその演奏会で、大正琴を演奏するおばさんたちのアップを嬉々として撮影する沖田の横で、ぼくはステージ全体を写す引きのカメラを担当した。

カメラを回しながら、沖田はニヤけたり噴き出したりしている。

おばさんのおもしろいアップが撮れたらしい。

ぼくのカメラは引きの画なので、あんまり面白くない。

悔しいからぼくも少しだけズームで寄ってみた。

派手な衣裳に身を包んだおばさんたちが、身体を揺らしながら、七色の照明の中で必死になって大正琴を演奏している。目を閉じている人もいる。

こんなおもしろい画を独り占めして、ずるいじゃないか沖ちゃん……。

こころの中でそう思っているうちに、拍手が鳴って演奏が終わった。

沖田修一がギャラを持ってきた。

大正琴の撮影のギャラのはずなのに、封筒の裏には「脚本料 5億」と書いてあった。

ハリウッド並じゃないか!

差し出した沖田修一は笑っている。

「シャマランなら、当然の如く受け取るぜ」

その目がそう言っていた。

ぼくも当然の如く受け取ることにした。

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2006年12月 1日 (金)

かえるのうたの思い出

明日から、いまおかさんの特集上映が始まる。

「かえるのうた」の試写の時。

試写室のある東映化学まで行くと、いまおかさんが入口の傘立てに腰を下ろしていた。

「お疲れ様です」

「おお」

と、傘立てに座ったまま動かない。

髪の毛もひげも伸び放題で、今思うとすこしだけ妖怪のようになっていた。

そのころ、ぼくは田尻さんが監督した「ヒモのひろし」の台本の直しで、頭を抱えていた。

頭を抱えたまま試写室に入って「かえるのうた」を見た。

見始めて、どのあたりから引き込まれたのか忘れたけれど、そのうち自分の台本の突拍子もないアイデアがたくさん浮かんできた。

おもしろい映画を見ると、自分はいつもそうなる。

ひとつ笑いが止まらない場面があった。

とにかくおかしくて、そのシーンが終わっても笑っていた。

まだ見ていないひとのためにそれは書きません。

未見の方、是非劇場でご確認ください。

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2006年11月30日 (木)

イカのこと

近所のデニーズに台本を書きに行く。

デニーズに行く途中には居酒屋があり「おじさん天国」を書いているころ、その店先の水槽の中では、いつもイカが泳いでいた。イカにしてみたら前後なのか上下なのかわからないけれど、イカは毎日水槽の中を行ったり来たりしている。

ある日、ぼくは水槽の前で長電話をしていた。

今日もイカは水槽の中を行ったり来たりしている。

すると、居酒屋の中からバイトの女の子が網を持って現れて、水槽の中のイカを捕まえはじめた。イカを食べるつもりだ。逃げ惑うイカはなかなか網に納まらない。無理矢理水面近くまで持ち上げられたイカは、勢いよく水槽から飛び出して、アスファルトの上を暴れまわった。

「イカが!イカが!」

女の子はイカを手掴みで捕まえようとするけれど、暴れるイカはなかなか捕まらない。そうこうしているうちに、イカは道路の端にある雨水の流れ込む穴に辿り着き、そのまま穴の中に落ちてしまった。

台本を書いているとほんとうにいろいろなことが起こる。

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2006年11月29日 (水)

夢のこと

「おじさん天国」のなかで、たかしとハルオが自分の見た夢について語るシーンが出てくる。自分は、映画の中で人物が夢や記憶を語るシーンが好きで、「おじさん天国」を書いているときはそれが特に面白いと思っていた。

なにがどう面白いのか。言葉にしようとしてもなかなか言葉にならなくて、同じところを堂堂巡りして頭がこんがらがってしまう。日常の中で他人の夢の話はたいていつまらないのに、どうして映画の中ではあんなに引き込まれるのか。はじまりはいつもそこで、いろんなことを考えて、いつもそこに戻ってくる。ばかなのだろう。

「おじさん天国」のなかのたかしとハルオの夢は、こたつでうつらうつらしている時に思いついた。

映画の中では、下元さんと吉岡さんが、見たこともないはずの夢について、一生懸命話をしている。

試写ではじめて見たとき、ぼくはやっぱり引き込まれた。

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2006年11月27日 (月)

打ち合わせの時間

おじさんのことについての台本を書こう。

それが決まっても「おじさん天国」の台本は全然まとまる様子を見せなかった。

おじさん・たかしの気ままな台詞だけがポコッポコッと浮かび、それをあてもなく書き止める日々だった。

「ちょっと会おうか」

いまおかさんから電話をもらって、新宿のランザンで待ち合わせる。

ランザンには映画関係者の人が多い。

「あ。どうも。ご無沙汰してます」

いまおかさんが頭を下げるたびに、横で小さくなって頭を下げる。

なかなか台本の話は始まらない。

コーヒーを飲みながら、映画の話、本の話、釣りの話。

「へぇ」とか「はぁ」とか言いながら、ほとんど黙って聞いている。

不意に台本の話が始まる。

「どう? 書けそう?」

見えないけど確かにあった緊張がふと緩むのか。言った後、いまおかさんは「いやあ……」みたいな、言っちゃった、みたいな、笑い顔をする。

おれも「いやぁ……」みたいな、言われてしまった、みたいな笑い顔をしている、のだろうか。

そこから台本の話が始まって、思いついたことを言ったり、黙ったり、する。

黙っている時、ランザンの窓から見える新宿の裏通りを見ていることが多い。

この間まで半袖の人もいたのに、もう、コートの人ばかり。

あっ。かわいい姉ちゃんが通った。

いまおかさんがタバコを吸った。

なにか、思いついたのだろうか?

そうではない。考えているのだ。や、考えていないのかもしれない。

おれもタバコを吸って、台本のことを考える。や、考えるフリをしているのか。

ときどき、それが分からなくなるときがある。

でも、フリでもなんでも考えることが大事で、ふとした時間に

「おや?」

というようなアイデアが生まれたりもする。

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2006年11月26日 (日)

ラーメン

結婚式の余興で踊る。

無敵のヅラを被って歌い踊りまくる自分の胃の中で、前日喰ったラーメンとさっきまで飲んでいた酒が一緒になっているのを想像すると気持ち悪い。

そんなことを考えながら踊っていたら、思い出した。

舌が痺れるくらいめちゃくちゃまずいラーメン屋があって、オヤジもめちゃくちゃ無愛想なのだ。

しかしなにか偶然が重なって、そのラーメン屋で何度かラーメンを食うはめになる。

はじめは残しているんだけれど、ある空腹の日、思わず麺を平らげ、スープまで飲み干してしまう。するとドンブリの底に秘密の暗号が書いてある。それを見た無愛想なオヤジがニヤリと笑って、秘密結社への入会を認められる……

そんなシーンを思いついたことがあって、「おじさん天国」の1稿目でそれを生かそうと試みた。

地獄の入口がラーメン屋で、ブクブクと泡立つラーメンを恐ろしいオヤジに注文もしていないのに出され、泣く泣く喰うはめになるハルオとリカ。残せば恐ろしい罰が待っている。

完食したハルオだけが、ドンブリの底に「地獄へようこそ」の文字を目にして、なにがなんだか分からないまま、割り箸を持ったまま地獄をさまよう……。

そんなシーンだった。

いろいろあって切ることになったけれど、割り箸を持ったまま地獄をさまようというのだけは、いまだになんだか面白くて、惜しかったなぁと思っている。

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2006年11月24日 (金)

マジック

我家のパソコンの上にはたくさんのお菓子のおまけが並んでいて、パーマンの1号からバードマンまで5人が並んで、その隣にトイストーリーのバズがいて、「用心棒」と「椿三十郎」の仲代達矢がひとりずついて、黒沢明がいて、ロダンの考える人の小さいのがいて、その隣に赤いマジックがある。赤いマジックには「どんなものにも書ける魔法のインキ」と、ほんとうに魔法のような字で書いてあって、「おじさん天国」に出てくる赤いマジックとたぶん一緒だ。

「おじさん天国」の中で女体にマジックで字を書くというのはいつ思いついたのか憶えてないけれど、日頃から自分は酔っぱらうと、友達の身体にいろいろな字やマークを書く。

憶えているのは、友達の腹に大きく「死」と書いて○で囲んだことで、友達は朝起きて、なんにも知らないまま我家を出て、電車に乗ってそのままバイトに行き、夜、家に帰って風呂に入ったときにやっと見つけて、

「ワアッ!」

と声をあげてしまったらしい。

その友達は高山くんという人で、「高山たかし」というおじさんの名前は高山くんから勝手にもらった。

たかやんありがとう。

「おじさん天国」ぜひ見に来てください。

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2006年11月20日 (月)

ケミストリー

テレビをつけたらケミストリーが出ていて見る。

いつまでたっても「やらされてる感」が抜けないこのふたり組は、歌っているときだけそれが無くなるのに気付く。たぶんぜったいCDを買ったり、コンサートに行ったりはしないけれど、テレビで歌ってたら、とりあえず終いまで聞いてしまうのはこのためかな、と思う。

カラオケに行きたい。

渡辺真知子の「カモメの翔んだ日」を久々に歌いたい。

この歌はすごい。イントロを聞くだけで、なにか気狂いじみたものが身体に流れ込んでくる。歌い方も自然と気狂いじみてくる。

この快感をなんとかしたくて芝居の台本を書いたことがある。

「おじさん天国」の一回目の打ち合わせのとき、その台本を持っていった。賞をもらった前のシナリオからずいぶん時間が経ったので、最近はこんなものを書いています、というつもりだった。

「ミルキー」というその台本の中で、少しだけ地獄のシーンが出てくる。

ほんとうはもっと地獄のシーンを書きたかったけれど、あんまり書くことがなくて、すぐに地獄からは帰って来てしまった。エンマ大王も出すことが出来なかった。だから、2回目の打ち合わせのとき、

「地獄に行こう」

といまおかさんが言ったときは燃えた。

また地獄に行ける。

エンマ大王も出せるかもしれない。

わくわくして仕方がなかった。

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2006年11月19日 (日)

ガラガラ

ガラガラを買う。

あれはDJなのか。おしゃれな奴がレコード満載の箱をくくりつけて引っ張ったり、美大の受験生が絵画道具をくくりつけて引っ張ったり、ホームレスが生活道具一式をくくりつけて引っ張って歩いたりするやつ。

それにおれは灯油のポリタンクをくくりつけて引っ張って歩く。

取っ手はオレンジ。輝くスチール製の本体に、車輪のホイールもオレンジ。

饅頭ほどのタイヤが、逞しく地面を転がってうれしい。

思えば、久々に手に入れる車輪だ。

地元にいた頃乗っていた原付バイクは既に無く、東京に来て買った自転車も盗まれたまま。この数年、車輪とは縁の無い暮らしを送ってきた。

そこへ来てのガラガラ購入。

毎年、おっくうで仕方が無かった灯油を買いに行くのが、これからは楽しみに変わる。すごいぞ、ガラガラ!

ガラガラは、灯油のほかになにを運んできてくれるだろう。

ウキウキして仕方がない。

ガラガラ万歳!

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2006年11月18日 (土)

酒!

以上!

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2006年11月17日 (金)

追い込み

朝起きると寒い。冬だ。

寒い部屋では考え事もできず、起きてすぐデニーズに行く。

台本考えて1ミリくらい進む。

午前中が仕事はいちばんはかどるという。

そんなこたぁ知ったこっちゃない。

どこにいてもあまりにも寒い。あまりに寒くて浪人時代のころを思い出す。

ふと。このブログを読んでいる浪人生なんかいるんだろうか、と思う。

ひとりくらいいるかも知れない。

もしいるとしたら「おじさん天国」を見に来たほうがいい。

完成した脚本にも映画にも現れなかったけれど、「おじさん天国」の主人公・前川ハルオは一浪しているという設定で書いた。

しかも、大学ではなくて高校だ。

○1993年 ハルオ15歳

ハルオは2つ年上の女子高生・カスミに逆ナンされ、セックスまみれの日々に陥る。

それは受験当日まで続き、ハルオは高校受験に失敗。一年の浪人の後、弟・ナツヒコと同じ高校に揃って入学する。勉強、スポーツともに相変わらず万能なナツヒコに対し、ハルオはどちらにおいてもパッとしなかったが、女性関係に限っては事欠いたことなく、年上・年下・学内外問わず、多くの女性とセックスした。

以下はその一部である。

・由貴子(1学年下の帰国子女。お願いすると英語で喘いでくれた)

・恭子(クラスメート。休み時間ごとに視聴覚室でセックスを繰り返した)

・つかさ(友達の家庭教師。当時大学生の処女で、さんざん追い掛け回される)

・佐々木真由先生(英語の先生。由貴子よりも英語の喘ぎは下手だった)

・木下さん(学研のおばさん。子供のときからきれいだと思っていた)

・高橋由美子(最寄駅にロケに来ていたので思い切って声をかけた)

・ジェシー・パラダイス(町内会の盆踊りにいた外人。銭湯に連れて行ったら喜んでいた)

追い込みに入った日本の浪人生、「おじさん天国」を見においで。

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2006年11月16日 (木)

恐怖の朝

高校の同級生と飲む。

未だ遅遅として進まない台本を置き去りにして。

酒を目の前にしても、女の子を目の前にしても、モツの煮込みを目の前にしても、一向に意気が上がらない。

いかん!

もう、このまま、一生意気が上がらないのではないかと不安になる。

トリのから揚げが運ばれてきて、少しだけ意気が上がる。

よし!

調子に乗って、居酒屋のテーブルを並べ替えようとしたら店員に怒られる。

意気が下がりそうになるのをぐっとこらえて、トリのから揚げをもうひとつ頼む。

「ま、またトリのから揚げですか?!」

「ひとつじゃない! ふたつだ! や、三つだ! 三つ山盛りにして持ってこい!!

「ト、トリのから揚げ、3丁!!

じりじりと苛立って、居酒屋を見渡す。サラリーマンたちが頑張って酒を飲んでいる。

気づけば、家でひとり寝ている。

目が覚めて、へんな歌を思いつく。

♪あたしを濡らした やさしい雨は

どこへ どこへ消えたの 

土にしみこみ 地球の底の

マグマに着いたのよ・・・・・・

時計を見れば、朝の5時。今日は久しぶりの労働。えもいわれぬ不安に襲われる。

やっぱり、一生このまま、意気が上がらないのではないか・・・・・・・・・!!!!!

出発まではまだ時間があるのに、あわてて歯を磨き、準備して家をとびだす。

夕焼けみたいな東の空を見る。

はるか昔。

恐竜もこういう朝焼けの空を見ていたのだろうか。

どうでもいいんだっ。そんなことはっ!!

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2006年11月15日 (水)

冬眠

一日、家で台本を書いてる。
書いてる、といってもほとんど考えてる。
そして、やたら眠くなって横になってしまう。
たぶんこれは冬が近いからで、熊やかえるなどの動物はこうやって小刻みに眠気がやってきて、やがて冬眠してしまうのだと思う。
熊が眠くなるというのはなんとなく想像ができるけれど、かえるが眠くなるというのはなかなか想像しがたい。
たとえば、あくびをする熊というのは想像できるけれど、あくびをするかえるというのは想像しがたい。
しかもそれが小さなかえるになればなるほど、想像しがたい。
熊は鮭を食べる夢を見るかもしれないけれど、かえるは夢を見ないと思う。
や、かえるだって夢を見ているかもしれない。
しかし、それはどんな夢だというのか!
とにかく、自分以外のひとの頭の中というのは想像を絶している。
そうだ。想像を絶しているのだ。

大相撲九州場所は3日目。
魁皇は勝ったが、栃東は負け。
でも、栃東の相撲のほうが良かった。
勝ち越せ、魁皇!

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2006年11月14日 (火)

貴女

新宿までイーストウッドの映画を見に行く。

米兵と日本兵の撃ち合いをぼけっと見ていたら、肌が熱くなってくる。

ぼけっと見てたらいけない。

人間の記憶は何のためにあるのか。進化の過程でなくならなかったのは何のためなのか。

見終わって、新宿のドトールで考える。

新宿のドトール、禁煙席は満員なのに喫煙席はガラガラ。

世の中がおかしくなってゆく。

隣の若いカップルの話がつまらなくて早々にドトールを出る。

帰りの電車、見知らぬおじさんが背中を丸めてメールを打っている。

背のちっちゃいくたびれたサラリーマンのおっちゃん。

「貴女は――」

と打っているのが見えてしまう。

長い長いメールをおっちゃんは打ち続けている。

おれが電車を降りても打っている。

愛という字は真心で、恋という字は下心。

サザンの歌を思い出す。

大相撲九州場所は二日目。

魁皇が勝つ。

栃東も勝った。

直井さんから「おじさん天国」のチラシとチケットが届く。

どさっと送ってください、とメールしたら、ホントにどさっと届いた。

がんばって宣伝します。

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2006年11月13日 (月)

赤い判子

大相撲九州場所が始まった。

このあいだ秋場所が終わったと思ったらもう九州場所だ。次は初場所。

初場所を迎える頃には年も明けている。早い。時間の経つのは早すぎる。

西方土俵入り。把瑠都の化粧回しが日の丸にサソリでかっこいい。

琴欧洲の化粧回し。しばらく見ないうちにブルガリアヨーグルトに戻っている。いろいろあるのだろうが、もう少し強そうにならないのか。北斎の画をモチーフに、荒れ狂うヨーグルトの海の向こうに見えるブルガリア、とか。

九州福岡は大関魁皇の地元。

地元のファンへのサービスとして、色紙に手形を押している魁皇が映った。

まるで機械のような速さで若い弟子が色紙を差し出し、魁皇もまるで機械のような速さと正確さで手形を押してゆく。見ていて飽きない。

夢中になって見ていたら「おじさん天国」の来場者プレゼントにいまおかさんの手形を思いつく。

右上に小さく「おじさん天国」。

真ん中にいまおかさんの大きな手形。

左下に赤い判子を押す。

何の判子かは知らない。

知らないけれど、赤い判子はきっと全体を引きしめる。

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2006年11月12日 (日)

拝啓 田山力哉様

池袋に映画を見にゆく。

なぜか、この時期に「パイレーツ・オブ・カリビアン デットマンズ・チェスト」。

かつて、田山力哉という映画評論家がいて、洋画タイトルのカタカナ訳にしつこいくらいに怒っていたのを思い出す。

田山力哉の本「さようなら映画 また近いうちに」は我家の本棚の真ん中にあって、折に触れ手に取る大事な本だ。読むたびになんだか気合が入る。

田山力哉がキネ旬に連載を書いていた頃、日本映画にはあんまりお客さんが入っていなかった。田山力哉は文章の中でいろんな映画にほとんど怒っていて、僕はそれを読みながら、映画界には怖い人がいる。おいそれと映画を作ってはいけない、と思った。そしてもし作ることができたら、田山力哉には誉めてもらいたいと思った。

1997年に僕が東京に出てきた春、田山力哉は死んでしまった。

東白楽の友達のアパートで偶然目にしたスポーツ報知の記事で知った。

そして10年くらいの時間が流れて、ぼくはピンク映画の台本を書かせてもらっている。

時に、誰に向けて書いているのか分からなくなる時がある。

監督の顔とか、監督の顔とか、いろんな人の顔を思い出すけれど、写真で見ただけの田山力哉の顔を思い出すことはたぶん無い。でも、台本を書いている途中で嫌になって寝転んだ畳の上から目に入る本棚には、「田山力哉」の名前があって、おれが「あ、田山力哉だ…」と意識しなくても、それは絶対に見えている。

だからなんなんだ。

そんなことは知ったこっちゃない。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」なんて、みんなほんとに面白いと思っているのだろうか。2時間半もあって途中で飽きなかったんだろうか。「おじさん天国」は64分で地獄にも行けるし、キーラ・ナイトレイよりもかわいい子がたくさん出てきます。

12月9日よりポレポレ東中野にてレイトショーです。

田山力哉様、お時間ありましたら是非見に来てください。

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2006年11月11日 (土)

「アナコンダ」はすごい。

「おじさん天国」の1稿目か2稿目のころ。
おじさん・たかしが山で道に迷ってさまよう場面を書いた。
文明人が、自然の中であたふたするのはおもしろい。

「アナコンダ」が好きでよく見る。「2」も見た。
「アナコンダ」も自然の中であたふたする映画だ。
でも「アナコンダ」のすごいところは、主役がいないところで、ジェニファー・ロペスが主人公かと思いきや、逃げ惑うだけで、あとはアナコンダと悪役のジョン・ボイトが暴れまわる。一同はアナコンダから逃げているはずなのに、途中からジョン・ボイトのほうが、手がつけられなくなって、だんだん映画が『アナコンダVSジョン・ボイトと周りのみんな』になってゆく。一番すごいところは、そんなジョン・ボイトが、アナコンダに喰われる場面で、カメラはなんとアナコンダの腹の中から丸呑みされるジョン・ボイトを捉えるのだ。「アナコンダ2」では、暗い目をしたトム・クルーズみたいな役者が悪役を演じていたが、やっぱりジョン・ボイトには届かなかった。でも面白かった。「2」には毒グモがたくさん出てくる。
電車に乗って席につくと、前の7人がけの席に並んだ見知らぬ人々の顔をジッと見ながら、僕は「アナコンダ」のキャスティングをする。ジョン・ボイトほどの逸材に出逢うことはまずないが、それでも、スーツを着たサラリーマンがアナコンダにおびえたり、99ショップの袋を下げたおばさんがアナコンダに喰われたり、ベビーカーを押した若いお母さんがアナコンダに対峙したりする姿を想像すると、電車の中で笑ったり涙ぐんだりする時もある。

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2006年11月 9日 (木)

名古屋

名古屋に行ってきました。東京よりもはるかに空が広く、ひたすら横に広がってゆく町並みと、どことなく東京よりもケバケバしいのは、道端の看板と行き交う姉ぇちゃん。

移動の車中、名古屋の外れの見知らぬ家並みの灯りを見ていると、こんな、おれとは縁もゆかりもない土地で、生まれて暮らして死んでゆく人たちがいっぱい居るんだなぁ、とそんな思いにかられます。

名古屋にいる間に、途端に冬になりました。

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2006年11月 5日 (日)

悲しいふたり

漫画喫茶まで来る途中、線路脇の妙な位置で女の子がふたりウンコ座りしていた。

上下ジャージの子と、夜なのにサングラスをかけた子。

ジャージの子が携帯を握り締め、

「まさしせんぱぁ~い・・・・」

と鼻声でうめくのが聞こえる。

サングラスの子は傍にしゃがんだまま。

ふたりして悲しそうにしていた。

まさしせんぱい、振り向いてやってくれよ。

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2006年11月 2日 (木)

頼りなき神々

「おじさん天国」を書いていたころ、二人組のイエスキリストに会った。

実際は『イエスキリスト』の名札を胸につけたモルモン教の勧誘の外人二人だった訳だけれど、地獄に行く話を書いている時にイエスキリストにふたりも同時に出会うのは、これはタイミングだと思って、天国のことばかり話したがるキリスト達に地獄について聞かない手はないと思ったところまでは10日くらい前に書いた。

で、神の国と人間の世界の間に立って神の声を伝えるという預言者について嬉々として話を進めるイエスキリストを制して私は尋ねました。

「地獄は? 地獄と人間の間でエンマ大王の言葉とかを伝える人は誰ですか?」

左のイエスキリストがジッ私を見つめました。

右のイエスキリストがゆっくりと日本語で言いました。

「ジゴクノコトハ、ワカリマセン」

お話にならない。

「地獄へ行こう」

いまおかさんは軽やかに言ったけれど、地獄への道はまだまだ果てしなかった。

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2006年10月31日 (火)

目覚める

昼12時に目が覚める。
お腹が張っていたので屁をしたら寝ぼけたままウンコを漏らした。
見ればメガネがぐにゃりと曲がって布団の上に転がっている。
どこかで小鳥が鳴いている。
パソコンがうねりをあげている。
ああダメだ。もう今日は何も出来ない。
や、大丈夫だ。
いつかいまおかさんも川原でウンコを漏らしたと書いていた。
そうだ。前回、ふたりのイエスキリストに出会ったのだ。
その先はどうなったんだ。
先を、先を急がなければ。
「シャノアールに行け!」
神の声を聞く。
シャノアールに行ってきます。
でも、その前に着替えなければ。

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