『おじさん天国』レビュー集
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ゲスト:いまおかしんじ監督×柳下毅一郎(特殊翻訳家)×田野辺尚人(「映画秘宝」編集部)
2日連続トークショーの第二弾は、柳下毅一郎さん・田野辺尚人さんの「女優・林由美香」(洋泉社)チームをお迎えしました。チラシやパンフレットに寄稿してくださるなどいまおか映画には造詣の深いお二人だけに、独自の地獄談義に始まっておじさんの不眠症の原因に新たな仮説が飛び出したり、ツチノコ目撃情報やダイオウイカの釣りスポットまで話は広がり、場内は笑いに包まれました。
ー柳下さん、田野辺さんのお二人は既にピンク映画館で『絶倫絶女』としてご覧になっていたんですよね。
柳下:そうです。僕は上野オークラで。最初観た時から草野球のシーンが好きでしたね。まさに「天国」って感じで。あのシーンはもっと長く観ていたかったですよ。
田野辺:僕は前に観ていた人間から「地獄」が描かれ、「エンマ大王」もちゃんと出て来る。しかもそれを演じるのは伊藤猛(※かつてから田野辺さんとは旧知の仲)だと聞いたのですぐ新宿国際に観に行きました。伊藤猛がエンマ大王を演じるというのはビル・プルマンが大統領を演じるくらいすごいことなんですよ!それで観たら確かに地獄は出て来たんだが…まさかあんな…(笑)ちなみに丹波哲郎さんの持論として、人は死んだら自分が思っているような霊界に行くということらしいので、これは下元史朗が演じるおじさんが思っていた霊界なんじゃないかなと(笑)
ー(笑)地獄へ行くことになったきっかけは何だったんでしょうか?
いまおか:最初は地獄とか出て来なかったんだけどね。草野球チームの連中とかがみんなうちに来て、狭い部屋が人でいっぱいになる。で、喧嘩したりとかそんな感じだったな。守屋は地獄のことを何て書いてたんだっけ?
ー『ミルキー』という脚本で地獄のシーンがあったんですが閻魔大王も何も出てこなかったので、いまおかさんのほうで(地獄)行くと言ったときにはわくわくした、ということでした。
いまおか:ああ、そうだそうだ。
ー女優陣については如何だったでしょうか?
柳下:主役の藍山みなみさんはぎりぎりまで決まらなかったんですよね。藍山さんは顔はロリロリなのに肉づきがよくて妙にエロいところが大変いいなあと思いました。平沢里菜子さんも以前に『かえるのうた』『ヒモのひろし』(05/原題:SEXマシン 卑猥な季節)を観てとても気になってたんです。でも『おじさん天国』がピンク映画館で上映されたときのポスターは、写真が全部平沢さんなんですよね?
いまおか:公開の1ヶ月前にはポスター撮りをしなくちゃいけなかったんですけど、そのときはまだ藍山さんが決まってなくて、誰でもいいからと言われてぎりぎりの日に平沢さんにお願いしました。
柳下:その時点ではじゃあ何も決まってなかった?
いまおか:そうですね(笑)。
柳下:この映画って男もそうですけど、特に女性が何を考えてるのか全然わからないですよね。内面がない人たち……もちろん映画の中でのことですけど、なんで藍山みなみの役が色んな男とセックスしてるのかもわからない。けっこう純情そうな女の子なのに頼まれるとすぐセックスしちゃうらしい、という男にとっては理想のキャラクターなんですけど、内面的なことはわりとわからないですよね。監督の女性像というのもわからないものなんですか?
いまおか:ああ、そうですね。わからないというのもあるんですけど、すぐやらせてくれる女の人はなんかいいじゃないですか(笑)。可愛いっていうか、色んな魅力があると思うんですけど。女池充監督と『愛のコリーダ』(76)の藤竜也は魅力的だよね、という話をしたことがあるんですけど、あの役はみんなを馬鹿にしてるんだけど自分も馬鹿にしてるんですよね。だから色んな男とやる女っていうのもどこか自分を馬鹿にしてるのかなあというのがあって、まあ、後づけですけど。
柳下:みんなミステリアスな感じがするんですよね。特に内面の吐露が全くないじゃないですか。吉岡君の役もなんでイカを釣りたがってるのか結局わからないですよね。おじさんがなんで不眠症になったのかもわからない。普通に考えると佐々木ユメカの役を殺した、ということになるじゃないですか。
いまおか:ああ、そうか(笑)
柳下:ならないですか?(笑) でもその得体の知れなさがいいなあと思って。要するに人間の内面なんかなくてもちゃんと映画になるっていうか、内面もお金も何もないけど天国と地獄はあるというのが素晴らしいなあと。
ーいまおか監督は今、老人が主役の恋愛モノを準備しているということですが……。
いまおか:ピンク映画のシナリオ公募入選作なんですけど、老人の性を扱った話で、それをいかにエロく撮れるかという挑戦ですね。
柳下:おじさんの次は老人ですか?
いまおか:どんどん年齢が高くなっていく(笑)。65歳ばっか出てくるんですよ。
ー脚本家も年配の方なんですよね。それともうひとつ、ツチノコ映画の構想もあるとか。
いまおか:旦那さんをツチノコに噛まれて殺されちゃう奥さんの復讐話ですね。
柳下:それは中国山地ロケ?
いまおか:いや、岐阜のほうに「ツチノコの里」っていうのがあるんですよ。
柳下:あれ、ツチノコって中国山地にいるんじゃありませんでしたっけ? 広島あたりだった気がしましたけど。
いまおか:いろんな所で目撃されてるんですよ。
田野辺:広島で発見されたのはですね、ツチノコの死骸だということだったんですけど、調べてみると山案山子だったんです。間違いのないところで申しますと、一番最近では六甲山中で今年の9月に目撃例が出ています。ロケをするなら六甲山中だと思います。この間あそこで焼き肉のタレで生き延びた男性が保護されましたけど(笑)けっこう危険な所です、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)みたいな。
柳下:ツチノコはちゃんと出てくるんですか?
いまおか:そうですね、まだホンが上がってきてないんですけど。
柳下:デメキングやダイオウイカみたいな怪獣ものになるんですかね?
いまおか:そうですね、何とか盛り上がる感じにしたいんですけど。
田野辺:ダイオウイカは父島じゃダメですよ。今ダイオウイカをゲットするんだったら高知沖です。
いまおか:高知沖?
田野辺:ええ、釣れるらしいです。この間も死体が流れ着いてます。
いまおか:それどこの情報なんですか? すごいっすねえ(笑)。
柳下:いまおか監督にはM.ナイト・シャマランに対抗して、日本のシャマランとして是非頑張ってほしいですね。
この日は昨日に引き続き、サイン入りパンフが抽選で2名様にプレゼントされました。トークでも話題になっていた『南の島にダイオウイカを釣りにいく』は月・水曜日のみの限定上映です。チャンスはあと2回ですのでどうぞお見逃しなく!
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ゲスト:いまおかしんじ(『おじさん天国』監督)×守屋文雄(脚本家)×松江哲明(映画監督)
『おじさん天国』公開からはや一週間、初めてむかえる週末にトークショーの第一弾が行われました。ゲストは本作の脚本家・守屋文雄さんと、『かえるのうた』(05)につづき『おじさん天国』の予告編(4バージョン)を作ってくれた映画監督の松江哲明さん、そしていまおか監督の3人。普段から親交の深いいまおか監督と松江監督が、俳優としても密かに注目を集める(?)守屋さんのシナリオ作りの謎に切り込みました。
—松江監督は『おじさん天国』を初めて観たときの印象はいかがでしたか?
松江:僕は全部で三回観てるんですけど、一回目は「二回目に観ると多分もっと面白いよね」という話をしたのを覚えてます。でも実際は二回目はもっとわからなくなった。三回目になると「この映画、さっぱりわからんな」と(笑)。ただ、すごく面白いっていうことは観れば観るほどわかる……それこそゲソみたいに、噛めば噛むほど味が出るような作品だと思います。でもなんで『おじさん天国』なんですか?
—実はタイトルの生みの親は守屋さんなんですよね。
守屋:ああ、やっぱ気になるんですかねえ。
松江:天国がないじゃないですか、地獄は出てくるけど。
守屋:ああ、そうですねえ。最初はおじさんが出てくるから『おじさん』というタイトルをつけてたんですけど、次に地獄が出てくるから『おじさんと地獄』になって、でも書いてるうちにだんだん楽しくなってきて「あ、これ地獄じゃないな!」と思った瞬間がありまして、最終的には天国になりました。
—おじさんが逃げている相手も最初は「夢」ではなく「女の人」という設定だったんですよね?
いまおか:ああ、最初はね。
守屋:おじさんが中国で子供を作って、その母親が「責任とりなさいよ!」と追いかけて来る設定で書いてたんですけど、実在するものより「夢」というわけのわからないものを怖がっているほうが面白いんじゃないかと思いまして、がらっと変わりました。
松江:夢や幻想というモチーフは過去のいまおか作品から続いているテーマですけど、今回守屋さんが脚本家として加わるにあたってそういうことは意識してたんですか? それとももともと守屋さんの中にあったものですか?
守屋:えー、ちょっとわかんないですね。ただ、第一稿をいまおかさんに見せたら「何か違う」というので直していくうちにそうなってしまったという感じですね。
松江:そもそもなぜ守屋さんに脚本を頼んだんですか?
いまおか:一緒にやってみたいシナリオライターの人はたくさんいるんですけど、頼むタイミングってあると思うんですよ。やりたいだけではなかなか頼めないというか、、本当に書いてもらうとなると2、3ヶ月〜半年は拘束しちゃうわけですし、実際に撮る気がないとお願いできなかったりする。その最初のひと言をどう言うかということですよね。今回はそれがたまたま酔っぱらってるときに横を見たら守屋がヒマそうにしてたんで、パッと頼んじゃったんですよ。頼んだ瞬間、撮らなきゃいけない気持ちになってきちゃったんですよね。
—最初は守屋さんも飲みの席で言われたので半信半疑だったとか?
守屋:まさか本当に電話がかかってくるとは思いませんでした。
—いまおか監督は守屋さんを「柔軟」と評していましたが、作り方としては守屋さんがいまおかさんのアイディアを受けて膨らませていった感じですか?
いまおか:そうそう。最初のプロットから二人で話し合ったことを元に守屋にシナリオを書いてきてもらって、それに対してああでもないこうでもないと言って、新しいアイディアが出てくるとまた電話して……ということを繰り返すんですけど、できあがってみるとそれがひとつも入ってない(笑)。「ひとつも入ってないね」と聞いてみたら「一回やってみたけど上手くいかなかった」と言われて。いつもは自分で脚本を書くのでそういうことをわからないままにやってきたんですけど、書かない立場としての考えとは別に、実際に書く人の手の運動というか躍動感というか—書き手の生理をくみながら作っていく監督としての作業を初めて実感した気がします。
松江:たとえば具体的に、やってみたけどうまくいかなかったシーンというのはどこですか?
いまおか:えーっとね、具体的なシーンはないんだけど、リカがおじさんと肉体関係をもったことがハルオにバレたあと、もっとドロドロの三角関係にならなきゃだめなんじゃないかということを二人で話しながらやってたんですよ。でもそれはやってみたけどうまくいかなかった、って言うんです。
守屋:いや、言い訳じゃないですけどほんとに書いたんですよ。書いたんですけど気持ち悪かったんでやめました。
松江:久米水産(劇中に出てくる企業)の社歌というのは守屋さんのアイディアですか?
いまおか:一番最初の、まだ紙きれ一枚に書いたような短いプロットしかなかった頃に守屋が「いまおかさん、社歌を歌うシーンを入れていいですか?」って聞くから、何の意味があるのかわかんないけど「いいよ」って言ってて。直しの段階でもずっとそのシーンだけは消えなかったの。途中では歌詞まで書いてあったんだよ。
松江:あ、あの歌詞は守屋さんが書いたんですか?
いまおか:いや、途中までは書いてあったんだけど長くなるだけだからなくなったね。
松江:ちなみにどんな歌詞だったんですか?
守屋:あのー、僕の小学校の校歌です。
いまおか:あ、そうなの? 「○○小学校」の部分を「久米水産」に変えただけだったの?
守屋:はい。
松江:いまおかさんの映画で劇中で歌ってるのは『かえるのうた』が初めてで、『おじさん天国』でもまた歌ってますよね。『かえるのうた』のときは『リンダ リンダ リンダ』(05)を観ていいと思ったと言ってましたけど、今回の歌の演出はまたちょっと違うと思うんですけど。
いまおか:ああ、そうね。歌があるとテンションが上がる気がするんですよ。観てて楽しいじゃないですか。マキノ雅弘が「映画の中に必ず祭りを入れる」と書いてたのを読んで、そういうのをたとえば歌みたいな形でどこかに入れられたらいいなというのを最近思ったんですよね。本当はシナリオ上でそういうシーンをちゃんと作らなきゃいけないんですけど、まあ、あんまり盛り上がらないホンだったんで。
松江:でも社歌を歌っているシーンで、ひとりひとりの顔がアップになるときにそれぞれの声が一人ずつかぶさるのはいいですよね。キャラがすごいわかりやすい。
—(笑)おじさんの名字にもなっている「高山」君という人も実在するんですよね。
守屋:高山君という友達がいたんで、その人から勝手に名前をとりました。
松江:どんな人なんですか?
守屋:ちょっと面白い顔の人なんですよ。
いまおか:今週の「ぴあ」の出口調査に出てるよね、顔写真が。
守屋:あ、そうなんですか?
いまおか:うん、100点入れてた! 俺も「あれ、この間挨拶した高山ってこの人かなあ?」と思ってびっくりしたけど。でも、松江君は普段アダルトビデオやドキュメンタリーを撮っていて、ピンクの世界ともわりと親しい関係にあるじゃないですか。あらためてピンク映画ってどう思ってますか?
松江:それを聞くんですか! 僕も今年、アダルトビデオとして作った『セキララ』という映画を劇場で上映したんですけど、やっぱりピンクだけで作った映画とかピンク映画館だけの見せ方だと限界があるというか、観るお客さんの層が決まっちゃってると思ってて。でもこういう一般の劇場でやると若い人や女性の方も来てくれるじゃないですか。そういう人が興味を持ってくれると作品自体の幅が広がると思うんですよね。僕の勝手な憶測ですけど、いまおかさんも『たまもの』(04)を一般劇場でかけて、そのときのお客さんの影響やリアクションが『かえるのうた』や『おじさん天国』にもあるのかなあという気がします。
—今回の上映も次回作につなげていきたいと思いますが、今後のご予定は?
いまおか:老人の恋愛モノと、ツチノコに復讐する話のふたつを考えていて、ひとつはいま守屋君とやろうとしてます。でも実はもう脚本の〆切は過ぎてるんですけど。
守屋:すいません!
いまおか:のうのうと現れてる。いつまでに書く?
守屋:今日は金曜日でしたっけ……月曜日までには。
いまおか:はい。
松江:僕は、来年の3月にやる「第2回ガンダーラ映画祭」のために『童貞。をプロデュース2』という作品を撮ります。前回は『おじさん天国』の同時上映(※月・水のみ)にもなっている『南の島にダイオウイカを釣りにいく』(いまおかしんじ監督)などと一緒に上映したんですけど、また人をいじめるドキュメンタリーを作ろうと思ってます。
最後には守屋さん、いまおか監督ほかキャストのサイン入りポスター抽選会も行われ、希望者は飛び入りでかけつけてくれた藍山みなみさんとのにわかジャンケン大会に。こっそり劇場にいらっしゃっていた吉岡睦雄さんも急遽ステージに上がり、嬉しいサプライズとなりました。見事ポスターを手に入れた方、おめでとうございました! 今日以降もまだまだイベントが控えていますのでぜひこの機会にご来場をお待ちしております。
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絶賛上映中の「おじさん天国」レイトショー最終日・22日(金)のトークショーですが、予定していた俳優の下元史朗さんがお仕事の都合でご来場できなくなってしまいました。それに伴いまして、下記のように変更になります。
いまおかしんじ監督
冨永昌敬(「パビリオン山椒魚」監督)
平沢里菜子(女優)
ある種、ダイオウイカVSオオサンショウウオVS女優という謎の組み合わせでもあります。波乱必至の最終日にご期待ください。
改めまして、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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脚本・守屋さん、そしていまおか監督の日記にもあるように、『おじさん天国』が先日土曜日より上映スタートしました!
いまおか監督、守屋さん、下元史朗さん、藍山みなみさん、吉岡睦雄さん、平沢里菜子さん、松原正隆さん、伊藤猛さん、佐々木ユメカさん、佐藤宏さんを迎えた舞台挨拶も敢行。満員御礼での初日となりました。
上映は22日まで、連日21:15〜となります。毎週月・水にはいまおか監督のセルフドッキュメンタリー『南の島にダイオウイカを釣りにいく』が、毎週末にはトークショーを予定しております。好評を頂いている缶バッジプレゼントも続行中です(予告編DVD-Rは品切れとなりました)
皆様のご来場、心よりお待ちしております。
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『おじさん天国』前夜祭とも言える特集上映も残すところあとわずかとなりました。【夫婦の処方箋】と銘打った五日目は『愛する。』と『それでも。』の二本立て。プログラムの中でもこの日限りのレアなラインナップとあり、補助席も埋まるほどの方が来てくれました。いまおか監督、『それでも。』出演の伊藤猛さんのほか、吉岡睦雄さんも飛び入りでかけつけた舞台挨拶では「ドンデン返しのない『悶絶!!』」という名言も飛び出しました。
『愛する。』(原題:愛欲乱れ妻)というタイトルですが、もともとは『恋する。』だったそうです。変わった理由としては、間違えただけ……との疑惑も。真相は籔の中です。『それでも。』は伊藤猛さんのお気に入りの一本だそうです。「当時のいまおかさんも僕もこれしかやりようがなかった」(伊藤)というだけあって、ラストの叫びが重く響きます。『おじさん天国』ではエンマダイオウ役の伊藤さん。その怪演にも注目です。
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土曜日から始まったいまおか特集、おかげさまで二日目もたくさんの方が観に来てくださいました! 日曜の夜にお集りいただいた皆さま、ありがとうございます。スクリーンで観る『デメキング』は足跡や弁天様の存在感も圧倒的、『にぎって』の迷宮のような樹海も大画面だと迫力が増していました。さて、4日と5日は【Bプログラム:いまおかしんじの「女優・林由美香」】。先ごろトリビュート本「女優・林由美香」(洋泉社)も発売された林由美香さん出演作『イボイボ』『たまもの』の2本を上映します。本日は上映前にいまおかしんじ監督、川瀬陽太さん、華沢レモンさん、吉岡睦雄さんによる舞台挨拶がありますのでそちらもお楽しみに! 今日も東中野の夜は静かに盛り上がっていきます。
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いよいよ2006年もあと1ヶ月。そしていまおかしんじ特集上映も無事に初日をむかえることができました。いまおか監督も舞台挨拶にかけつけ、なんとほぼ満席の大盛況! 寒い中ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございます。
初日と二日目は『デメキング』と『にぎって』の二本立て。舞台挨拶のトークではそれぞれの作品の見どころのほか、鈴木卓爾さん(監督作『鋼−はがね−』もただいま公開中)が主演の『デメキング』の現場で愛が生まれたエピソードなども飛び出しました。
劇場のポレポレ東中野ではちょっとしたいまおかしんじフェアが開催中。過去作のDVDや関連パンフレット、サイン入りシナリオなどもお求めいただけます。もちろん入場者プレゼントの缶バッジも大人気。
笑顔の素敵なポレポレ受付嬢も身体をはってチャレンジしてくれました。絵柄は全10種類と充実しているので、コンプリート・コレクションへの挑戦も期待しております。そのほか数量限定プレゼントの予告編(+おまけ)DVD はブルーノート仕様のお洒落なジャケットがポイント。さらに『おじさん天国』パンフレットには先着順でいまおか監督のイラスト入りステッカーがつきます。こちらもなくなり次第、終了となりますのでどうぞお早めにゲットしてください!
ご意見・ご感想などもぜひこちらのブログまでコメントいただければと思います。皆様の声をお待ちしております。忘年会シーズンとなりますが、休肝日はポレポレへ! これからの3週間、どうぞ宜しくお願い致します。写真は初日終了後のいまおか監督。劇場で会えるのを楽しみにしています。
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本日11月21日発売の「映画秘宝」(07年1月号/P.86〜87)にて、いまおか監督のインタビューが掲載されています。見開きです! 題して「いまからでも間に合ういまおかしんじ映画入門」。ありがとうございます。いましろたかしさんの漫画とのつながりにもがつんと言及していますのでぜひご一読くださいませ。このインタビューで触れられている「地獄に行くことになったきっかけ」については、昨日のこのブログ(守屋日記)の中でも前日談が詳しく明かされています。
『おじさん天国』では「地獄」がひとつのキーワードになっています。地獄のシーンはちょっと意外な場所で撮影されているのですが、当初は映画館を考えていたそうです。その感覚は本編にも残っていて、いつの間にかいまおかワールドに引き込まれてしまいます。「ちょっと地獄へ行ってきます」というような気持ちで劇場にも来ていただけると嬉しいです。いまおか監督ならではのユニークな地獄とエンマダイオウにご期待ください!
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先日の内外タイムスで『おじさん天国』が大々的に紹介されました! ご覧ください、このサイズ、決して遠近法の間違いではありません。ありがとうございます。残念ながら見逃してしまった方もご安心ください! 公開期間中はポレポレ東中野の場内にも貼り出しますのでどうぞお楽しみに。また、中野ブロードウェイのレコミンツSIDE-B(11月20日前後より)とタコシェにてパンフ付き特別前売り券の販売を開始しました。1枚1200円也。特集上映と併せて使えるお買い得となっておりますのでこちらもよろしくお願いします。
守屋先生がハルオ(イカ風呂に入っている彼です!)の知られざる過去を暴露してくれたおかげでハルオの株が一部で急上昇している模様です。売るなら今です。しかしまさか中学浪人生だったとは。私は由貴子さんがいいです。
そんな自分もかつて浪人していたことがありました。ちょうど今頃はまさに追い込みに入る時期でしたが、単なる不注意から手に大怪我をして、勉強どころか試験の直前まで鉛筆を持つ練習をしていました。12月2日(土)〜8日(金)までの「いまおかしんじ特集上映」ではヒロインが両手に火傷を負う『にぎって』も公開されますが、受験生なら『おじさん天国』の予習にもぴったりですよ。
守屋先生、いつか恐竜と一緒に朝焼けを見られるとよいですね。
いまおか監督、お大事になさって下さい。
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『おじさん天国』宣伝部員の那須です。いよいよ初日まで1ヶ月をきりました。これから公開までの間は閻魔大王に魂を売り渡したと思って、心を鬼にして頑張ります。
早速ですがいまおか監督、守屋先生、いつも更新ご苦労さまです。この調子でどうぞよろしくお願いします。
せっかくなのでここでは毎回ちょっとした裏ネタのようなものをご紹介していきます。今回はまずタイトルについて。一般公開にあたってまだこのタイトルに決定する前、ためしに「おじさん天国」でgoogle検索してみると「新橋」だの「居酒屋」だの「イタリア」(多分ちょい不良<ワル>オヤジつながり)だの「風俗店」だのがわらわらとヒットして心配になったものですが、いざ決まってみるともうこれ以外には考えられないほどの存在感があります。実はこのタイトルにはちょっとしたからくりがあって、観る前と観終わった後では少し違った印象になると思います。謎解きというほどのものではないのですが、本編を観ると「おじさん」ってそういうことか、「天国」ってそういうことだったのか!というのが自然とわかるようになっていて、それに気づいたときは何となく嬉しかったです。これに関してはむしろ先入観を持っていればいるほど大きなサプライズ感を味わっていただけるはずです。
というわけで、どうぞあれこれ妄想をたくましくしながら初日をお待ちくださいませ!
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来月12/2(土)〜始まりますいまおかしんじ特集&『おじさん天国』のイベントの方が決定致しました。
◎12/2(土)Aプログラム:いまおかしんじの「非日常な日常」上映作品『デメキング』『にぎって』上映前舞台挨拶
→ゲスト:いまおかしんじ監督
◎12/4(月)Bプログラム:いまおかしんじの「女優・林由美香」上映作品:『イボイボ』『たまもの』上映前舞台挨拶
→ゲスト:いまおかしんじ監督、川瀬陽太、華沢レモン、吉岡睦雄
◎12/6(水)Cプログラム:いまおかしんじの「夫婦の処方箋」上映作品:『愛する』『それでも』上映前舞台挨拶
→ゲスト:いまおかしんじ監督、伊藤猛
◎12/7(木)Dプログラム:いまおかしんじの「おんなのみち」上映作品:『手錠』『かえるのうた』
→ゲスト:いまおかしんじ監督、吉岡睦雄、平沢里菜子
◎12/9(土)『おじさん天国』初日舞台挨拶
→ゲスト:いまおかしんじ監督、下元史朗、藍山みなみ、吉岡睦雄、伊藤猛、佐々木ユメカ、平沢里菜子、松原正隆
◎12/15(金)『おじさん天国』トークショー1
→ゲスト:いまおかしんじ監督、守屋文雄(脚本)、松江哲明(ドキュメンタリー監督)
◎12/16(土)『おじさん天国』トークショー2
→ゲスト:いまおかしんじ監督、柳下毅一郎(特殊翻訳家)、田野辺尚人(「映画秘宝」編集部)
◎12/22(金)『おじさん天国』トークショー3
→ゲスト:いまおかしんじ監督、下元史朗
※追加ゲストがある場合は追って告知させて頂きます。
それでは、皆様のご来場、心よりお待ちしております。
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いまおか監督が「ちくしょう」などと言い、家にネット環境の無い守屋氏の日記も不定期になりがちという手に汗握る、というかゆる〜い空気が流れる当BLOGですが、12/2(土)〜『おじさん天国』に先駆けてレイトショー上映されるR18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.2(いまおかしんじ特集)詳細スケジュール がアップされました。皆様、どうぞ宜しくお願い致します。写真は最近の「映画秘宝」誌でも『グエムル』と酷似する日常怪獣映画と紹介された『デメキング』です。この頃のいまおか監督は金髪だったそうです。主演は、監督作品『鋼』を収録したオムニバス映画『コワイ女』が間もなく公開の鈴木卓爾さんです。佐々木ユメカさんのデビュー作だったりもします。皆様是非。
<おじさん天国/R18 LOVE CINEMA SHOWCASE>前売券も間もなく発売です。詳細はまた後日。
ぱぱんが、ぱん。
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皆様こんにちわ。SPOTTED PRODUCTIONSの直井です。
いまおかしんじ監督最新作『おじさん天国』(成人館公開題=絶倫絶女)
のレイトショー公開及び公開記念特集上映の日程が決定致しましたのでお知らせ致します。以下の通りです。
『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.2〜いまおかしんじ特集』
→|詳細
『おじさん天国』
2006.12.9(土)〜12/22、ポレポレ東中野にてレイトショー!
近日当BLOGリニューアル&公式サイトも別途オープン予定です。
何卒宜しく御願い致します。
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皆様こんにちわ。告知で失礼致します。
いまおかしんじ監督作品 『かえるのうた』のDVD発売(8/26)を記念して、次作『絶倫絶女(=おじさん天国)』の音楽も担当したビトさん主催で贈る土産どっさりナイト。ビトさんらによるライブはもちろん、監督・キャストも再集結。一夜限り、あのシーンが甦る…かも…しれま…ゲロゲーロ。どうぞお楽しみに。
【日時】8/30(水) 18:30 open 19:00 start
【場所】THUMBS UP(JR京急線,東横線「横浜駅」西口5番出口・相鉄ムービル3F)
【LIVE】ビト、内田マナベ、入船亭扇里(落語)
【SPECIAL GUEST】いまおかしんじ、向夏、平沢里菜子、吉岡睦雄、川瀬陽太 ほか
★チケット予約はこちらから。
そして『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE VOL.2』&『おじさん天国』も11月下旬公開予定です!合わせてご期待ください!
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今年の頭にポレポレ東中野でレイトショー公開されたいまおかしんじ監督作品『かえるのうた』 のDVDが、8/26(土)に発売されます。amazonでも予約が開始されました!
DVD『かえるのうた』
発売:インターフィルム/販売:紀伊國屋書店
8/26(土) ON SALE!!!!!!!!!
*オリジナル特典
1)解説リーフレット(24P/BLOG「いまおか日記」再録!)
2)向夏・平沢里菜子による男子禁制オーディオコメンタリー
3)撮り下ろし短編『佐藤宏』(撮影・構成:いまおかしんじ)
…皆さんが「ん?」と気になるであろう 3)『佐藤宏』は、 『たまもの』ではボウリング玉に、そして『かえるのうた』では援助交際のお客さんとして登場するいまおかワールドのマスコット的キャラクターの、あの佐藤宏のこと。いまおか監督のゆる〜い始動のもと、自宅の四畳半でドスドスミシミシと必死に踊る佐藤さん。果して佐藤さんはダンスをマスターすることができるのか!?…という、女性オンリーの華やかなオーディオコメンタリーの真逆を行く、男2人だけの脱力系ドキュメンタリーです。ご期待ください。
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雨続きの日々を抜けて、ようやく天気の良い日が続いていますね。
昨日でCプロまで終わりました。始まってしまうとあっという間です。
たくさんのお客様にご来場頂いております。本当にありがとうございます。
今回上映された『たまもの』も林由美香さんが亡くなって1年近く、ようやく出会い直せた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分も『たまもの』を観て、震えました。改めてピンク映画の上映を続けられるように頑張らねば、と思いました。
本日よりDプロ「強く生きる、ということ」です。『痙攣(淫らな唇 痙攣)』(監督:田尻裕司/主演:佐々木ユメカ)、『言い出しかねて(わいせつステージ 何度もつっこんで)』(監督:後藤大輔/主演:向夏)の2本になります。
上映は金曜日まで。最終日には舞台挨拶もあります。1人でも多くの方に観て頂けると嬉しいです。
引き続き宜しく御願い致します。
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今、まさに「ピンクで、ポレポレ」中のポレポレ東中野、みなさんもう足を運ばれましたか? 今回は現役の20代女子として、ピンク映画の観方について真面目に考えてみたいと思います。
ところでジム・ジャームッシュの『ブロークン・フラワーズ』が公開されていますが、何を隠そう“ピンク”がキーワードです。人生の終盤にさしかかったビル・マーレイの元に届いたピンクの封筒。中には「あなたの息子が19歳になります」と書かれた手紙…。ある意味これは立派なピンク映画です。と、いうのは今思いついた言い訳にすぎないけれど。でも、観る側にとって、ピンク映画とそれ以外の映画との違いはその程度でいいのではないかとも思うのです。
もちろん、ピンク映画はピンク映画であって、それ以上でもそれ以下でもない。性描写を無視して「一般映画と同じ」などと言うつもりもないし、かといってそれをスキャンダラスに強調して差別化したいわけでもない。ただ、一般映画でもピンク映画でも、面白い作品があるのにそれ以外のものが邪魔をして観る機会を奪ってしまうのは単純に勿体ない。ドラマであろうとセックスであろうと、何を観るかは私たちの自由なのですから。
かくいう私のピンク体験など微々たるもので、動機もきわめて不純(清純な動機というものがあるのかわかりませんが)、黒沢清監督や周防正行監督のデビュー作がそういうものであるらしいということをどこかで聞きつけた小娘の青いミーハー根性だったと思う。それでもいざ観てみたらこれが面白かったのです。そのおかげで、巡り巡って今回の8本とも出会うことができました。始まりはそんなものでよいのではないでしょうか。
ピンク映画では同じ女優や男優が別の作品の異なる役で出てくることがよくあります。いつかどこかの何かで観たタイトルやメンバーが氾濫する作品群を観ていると、小津安二郎の映画を思い出します。原節子や笠智衆といった定番俳優たちが入れかわり立ちかわり現れては消えていく一連の作品は、どれも似ているように見えてそのくせ絶対的に違う。彼らが“小津映画”というジャンルを形作っていたように、ピンクの俳優もまた“ピンク映画”というジャンルの一部なのです。
取材してみて印象的だったのは、監督はもちろん役者の皆さんが口を揃えて「映画をやっている」と言っていたことです。ピンク映画の最大の特徴として、フィルムで撮られていることが挙げられますが、ビデオ作品でも“映画”として公開されているものはたくさんありますし、それらを“映画ではない”と否定することはできません。とすると何をもって“映画”とすべきかは、もう本当に作り手または観客の思想でしかないのかもしれない。そしてピンク映画の現場には「“映画”を作っている」という思想が色濃くはたらいているということです。
映画があるんだからそれでいいじゃないか。その上わざわざインタビューなんかして何を聞こうというのか。毎回そんな疑問と不安を抱えながらの取材でした。リレー形式にしたのは、他の人が語ることによってその人の人物像や作品が浮かび上がる群像劇のようなものにしたかったからです。何人もの話の中にたびたび重複して現れる名前はそれぞれ実に魅力的で、そのすべての点をつないでいくとぼんやりと全体が見えてくるようにしたかったのです。どんな人がこのブログを読んでくれているのか、いわゆるピンク映画の“当事者”ではない自分が間に入ることによって、まだ見ぬ相手にどうしたらきっかけとなる何かを伝えることができるか。それが成功したかどうかはともかく、何かの間違いでここへ来てくれた人(特に若い女の子!)がいたら嬉しいです。
レイトショーだからちょっとぐらい遅くなったり残業しても間に合うし、疲れていても一本一時間でさらっと観られる。しかも安い! それで充分でしょう? 真っすぐ家に帰るのが物足りない夜にはとりあえず東中野に寄ってみて下さいな。
(text by 那須千里)
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ピンク映画ではどうしても女優さんに目がいってしまいますが、そうはいってもそこは男女のこと、男性なしでは話が始まりません。そんな中、満を持して登場する6回目のゲストは今のピンク映画界を知り尽くした男・俳優の川瀬陽太さんです。役柄ごとに違う魅力を見せてくれる川瀬さんですが、その素顔はいかに? デビューのきっかけからピンク映画の現代史まで語る語る! それにしてもマシンガン・トークの川瀬さん、その情報量たるや半端ではありません。気分的にはいつもより二倍速でお楽しみください。
■川瀬陽太:『団地の奥さん、同窓会へ行く』(Aプロ)/『たまもの』(Cプロ)/『言い出しかねて』(Dプロ)
▼助監督から俳優へ
ーどのようにしてピンク映画の世界に入ったのですか?
川瀬:僕は自主映画をやっていて、『ラバーズ・ラヴァー』(福居ショウジン監督/'96)という映画でデビューさせてもらった頃に、俳優の伊藤猛さんの口利きで福間健二さんの『急にたどりついてしまう』('95)という自主映画に参加したんです。そこにピンク業界の方がスタッフで多数いらっしゃって、(サトウ)トシキさんとか瀬々(敬久)さんとかとも一気に知り合えたんですね。それで瀬々さんが三宅島で映画を撮ることになった(『すけべてんこもり』/'95)ときに呼んでいただいて、瀬々さんの作品が4本ぐらい続いて、その後でいまおか(しんじ)さんや国映まわりの方々が使ってくれて、そのうち他社の方も使ってくれるようになって…という感じです。
—1995年より前は自主映画以外の商業映画の仕事はしてましたか?
川瀬:もともとは僕は助監督なんですよ。ただ、自主(映画)の助監督という全く屁の役にも立たないような…(笑)その頃まだVPという企業用のPR映画が結構あったんで、そこらへんでバイトしてるとそれなりに食えたんですね。それで何となく自主とVPの間を行ったり来たりしながらやっていて、でも『ラバーズ・ラヴァー』のときに現場が資金的な面も含めて立ち行かなくなっちゃって。このままじゃ(企画が)つぶれちゃう、現場をいったんバラすか現有勢力でやるかっていうときに福居さんが「じゃあお前でやるか」ということになって。あくまで繰り上げ当選的なものだったんで、そういう意味では役者役者した感じとは違うかもしれませんね。
ーそれ以前に観客としてピンク映画は観ていましたか?
川瀬:いや、観てなかったです、正直。その当時はよっぽど意識的にその世界に近づいてないと知る事ができない所にいましたね。僕らはちょうどアフター塚本(晋也)世代で、映画つくりたいっていうとコマ撮りだとかハイパーな映像がかっこいいみたいなところでやってたんで、どっちかっていうと(ピンク映画は)もっとしっとりした世界なんだろうなと思ってはいましたね。でも始めてみてこれだけ続いたのは、使ってもらえたというのと、あとやっぱり当然楽しくなっちゃったんですね。最初はひとつひとつのことがカルチャーショックだったし、けっこうドキドキしましたけど、もともと助監督的な気質があったんで、あんまり眠たいこと言わないでやろうという感じでやらせてもらって、それはとってもよかったですよ。
ー佐々木ユメカさんのインタビューで、川瀬さんとは『団地の奥さん、同窓会へ行く』(Aプロ)が初の夫婦役だったとうかがいました。
川瀬:そうですね、若いカップルみたいな役は多かったんですけど、いわゆる夫婦というのは初めてで。しかもその時に僕が私事ながら結婚をして、それが元で(脚本の)小林(政広)さんが、ご祝儀じゃないけど僕の名前でああいう話を書いてくれて、トシキさんも「しょうがないからお前でいっか」みたいな感じで使ってくれて。役者もやってて嫁さんも働いててっていうシチュエーションはそのままなんですけど、ピンクの現場自体は多少ファンタジックに描かれてますね。ただ置かれてる者の心情としては多少なりとも似たところがあったりとか。
ーサトウトシキ監督とはこれ以前にも一緒にお仕事されてますよね?
川瀬:何本かやってはいるんですけど、主役は初めてですね。端から見ててトシキ組の主役のつらさは知ってたんで、もう吐きそうになりましたね(笑)。どこか嘘をやってたりするとトシキさんにはすぐバレちゃうんで「じゃあもう一回」と千本ノックだから。NG出すとフィルムは回ってるのに未現像になっちゃうわけですよね、ビデオと違って何回も撮り直せるわけではないし。「それでもこの人は(フィルムを)回してくれるんだ!」みたいなのがあって。(『団地の奥さん、同窓会へ行く』でも)ラストのほうでピンクの監督に初めて異を唱えるシーンの撮影は、一方では劇中劇の撮影隊役の人のカメラが待機してて、もう一方では本物のカメラも待ってて、あんな異常な現場なかったですね(笑)。俺もユメカもあんまりものを考えないタイプだし、トシキさんみたいな人にあんなにガッチリ撮られたのは初めてだったんでドキドキしましたね。その前に女池(充)さんの作品で僕とユメカと田中要次さんで軽妙なラブコメみたいなのを一本やってたんですけど(『ぐしょ濡れ美容師 すけべな下半身』/'98)女池さんもやっぱりトシキさんの遺伝子を引き継いでるんで長撮りの兆候があって。ただ、あの時は撮影が長田勇市さんでせっかちな方だったんで、監督が「もう一回お願いしますよ〜」と言っても「ハイ、もう駄目、次行く!」みたいな感じで割とサクサクと。その反動がその後に女池さんとやった『不倫妻 情炎』('00)のときにきて、そこで女池さんはいい感じに垢を落としたなと思ったらあんまり呼んでくれなくなっちゃった(笑)。
ー監督はテイクごとに具体的に「ここが違う」というような演出はされますか?
川瀬:いや、言わないですね。言わないですけど「違う」って言われると違うなっていうのはわかるんで…何て言うんですかね、やっぱり長かったり集中力が途切れたりすると普通は程度問題で「ま、いっか」という感じになるんだけど、トシキさんの場合はある程度狭めた中でも自由にふるまえないとOKが出ないんです。
ーOKが出たときは、自分の中でその実感はありますか?
川瀬:そこがまた難しいところで(笑)、自分が上手くやれたと思うときは段取りになってるわけですよ。そうするとスタート地点にまた戻るというか。ただ、何回も何回もやってるうちにいい意味で疲れてきたりもするんですよね、何かやってやろう、とか上手く見せたい、とかがなくなってくるんです。要するに、笑えるシーンのときに笑わせようとすると駄目で、笑われなきゃいけないときってあるじゃないですか。こっちが笑わせようとすると客は引くんで。一生懸命やってないと笑えなくなっちゃう、というところにトシキさんは厳しいと思いますね。僕らが妙な手練手管を使う事を嫌がるというか。
ー佐々木ユメカさんは、川瀬さんとのカラミはもう「兄弟みたいだ」とおっしゃっていましたが?
川瀬:ああそうですね、「親とやってるみたいで嫌です」と書いておいて下さい(笑)。いや、もうほんと「おかあちゃん」て感じですかね。ピンクって面白いのは、男でも女でも同じ釜の飯を食ってるというか、しかも何から何まで見せちゃってるわけで──それはもうジャンル・ムービーとして必ずそのシーンがあるわけで──そういうつきあい方をしているとつながりも強くなりますよね、やっぱり。
▼林由美香さんに学んだこと
ー『たまもの』ではかなり個性的な役柄での出演でしたが…。
川瀬:『たまもの』は、何も覚えてないっちゃ覚えてないですけどね(笑)。いまおかさんのだとこの間撮り終わったやつ(『絶倫絶女』原題=おじさん天国)でも伊藤猛さんがとんちきな役をやっていて、どうやらユメカも飛び道具に…伊藤さんとは「あいつもこっちの世界に入ってきたね!」って冗談を言っていたんですけど。でもそれはいまおかさんなりにちゃんと「適当に」考えてくれてるっていうか…そういう意味ではこんなのやってもいいや、みたいな。まあドーラン渡しておけばいいじゃん、とか、髪長いやつがいてもいいじゃん、とか(笑)。でも実際たいした逸脱じゃないし、まあ笑ってもらってよかったなと。不思議とブルー入らないんですよね、いまおかさんだからしょうがない、いまおか映画の住人になろうということで。
—(笑)こういう役どころだと(役というよりも)「川瀬さんを観る」という感じですよね。
川瀬:あ、そうですね。本当に何も考えてないし、考えちゃいけないと思ってるんで。醜悪に見せたりとか、あまり作ってやったぞみたいな感じではやらないというか。さっきのトシキさんの話ともかぶりますけど、俺のダメなところとか間抜けなところがそのまま出たりすればいいんだろうな、と。いまおかさんはいわゆるイメージ・キャスティングはあまりしないんじゃないかな。『たまもの』のときも(林)由美香ちゃんのことを最初から選んでいたわけじゃないし。基本的には「こいつでいこう」というのではなく「この人だったらこういうふうに」という感じ。極端な話、「この人はないだろう」というのもないかもしれませんね。ただ、『たまもの』に関しては由美香ちゃんもそういう人なんですよ。「これがやりたい、あれがやりたい」というタイプの人ではない。由美香ちゃんは俺が(ピンクの)仕事を始めてから初めて会った有名な女優さんだったんですけど、『たまもの』のときは「いまおかさんてこんなだっけ?」みたいなメールがたくさんきた。わりと詰めて芝居を要求してきたみたいで「もうどうしていいかわからん」と言ってたんで、「いいんじゃないですか、それはそのまま委ねてやっていけば」的なことを言ったのは覚えています。由美香ちゃんが映っていればいいんですよね、いまおかさんは。由美香ちゃんが可愛いとかではなくて、多少なりとも知り合って色々会話をしていったときに、由美香ちゃんのいいところであったりとか、面白いところであったりとかをいまおかさんも知ってるわけで。僕らも本人が苦しんだり悩んだりした以上に「由美香ちゃんがやるんだから大丈夫」というのがあった。そういう意味では由美香ちゃんは芝居だって上手いと思うし、それだけじゃなくて由美香ちゃんがやってくれればおかしなことにはならんだろう、という確信はありましたね。あの人の天性の軽みというか。
ーだからこそ色々な監督がそれぞれに思う像を投影してきたというか…
川瀬:ああ、そうそう、ほんと。そういう意味では水みたいな女の子で。「とりあえずどうしたらいいの、あたし?」みたいな言い方をするのって人によっては「もうちょっと考えてよ」ということなんだけど、由美香ちゃんのそれって違うんですよ。本当によくも悪くもなく「どっちでもいいよ」と言える。俺らって多少なりとも役者の我というか、「こうしたい」とか思うじゃない? それで監督とディスカッションしたりするわけだけど、由美香ちゃんの場合は「あなたがそうしたいんならそれでいいよ」と言う。だから、俺が無理にこうしようと思ったところで大した問題ではないんだ、もうちょっと近づかなければならない物事の本質──っていうと大げさだけど──があるんじゃないかって。それは由美香ちゃんに学んだことですね。
ーそれで言うと、田尻監督が吉岡睦雄さんを「作りこんだ芝居をする人」とおっしゃっていたのですが。
川瀬:ああ、それはあいつが舞台の人だからじゃないですかね。芝居が上手いから逆に吉岡自身が出る、と俺は思ってるんだけど。たとえばチンピラみたいな役でも吉岡がやるといい加減な男になったりとか(笑)。もちろん色んな高低差や強弱をつけて演じるんだと思いますけど基本的には「吉岡」っていうキャラで、そこが役者としてすごいと思います。
ー『言い出しかねて』では向夏さんという新しい女優さんとも共演されていますね。
川瀬:彼女は自分の感性を信じてやっているところと、ある程度自分の中でプランを作ってやってるのかなと思うところと半々のような気がしてましたね。ただ、今回の作品で言うと“目が見えない”というのがポイントとして芝居の基本にあるんで、わりとやりやすかったんじゃないかなと思います。おとぎ話的なものだから、後藤(大輔)さんはこういう話を本当に上手くやる方だなあと思いました。この三作で共演した女優さんは本当に三者三様で、それぞれの作品がそれぞれ彼女たちだったから上手くいったんだと思います。
ーサトウトシキ監督や瀬々監督といったいわゆる“四天王”と、いまおか監督や田尻監督といった一個下の世代と、両方の世代の監督と仕事をしてみていかがですか?
川瀬:(下の世代は)瀬々さんいわく「薄々弱々世代」ですね(笑)。80年代に多感な時期をすごした僕らとしては「ホイチョイ・プロ、冬はスキーだ夏は海だ、ミチコロンドン着るのか?」という世代だったし、いわゆる敵がいないじゃないですか。瀬々さんたち上の世代には抗うべき敵がいて、でもほんとにそうなんですよね。ピンクでもよく事件を扱ったりしますけど、俺らの世代の事件はちょっとストーリーにならない。やっぱりオウム('95)のときが映画を作る人の中でも最近では一番大きかったと思うんだけど、僕も今の猟奇的な事柄とかはあんまり興味がないんですよ。結果として猟奇的になったものの経緯は知りたいと思うけど…たとえば『ファーゴ』(コーエン兄弟)なんかは間抜けな話じゃないですか。でも揺さぶられるっていうか、余白なり空白なりに何かあるんじゃないかって思うんだけど、今のそういう事件はあまり興味がないなあと思って。僕らはやっぱりパーソナルなものに興味があるから、瀬々さんの描く人たちのように何かを負ってしまったとか、抗いようのない運命を背負った人の役は僕ら世代の監督たちはあまりふってこないですね。たとえば坂本(礼)の映画なんかは、自分の周りで自分が本当に感じたことをやる、日記みたいな感覚なんじゃないかなあ。自分の世界というか自分から見た世界ですよね。あいつの生活もまるでフィクションみたいに起伏に富んでるし(笑)監督によっては自分じゃできないから映画でやる人もいるだろうけど、坂本の場合は自分で行動できちゃうから身の周りをやるんだろうね。じゃないと撮れないというか、そういうものを撮りたくてやってる奴だから。これは瀬々さんとかとはアプローチが違いますけど。
ーそんな今の時代に上の世代の監督が社会に対する問題意識を持って撮っていくことは昔よりさらに難しくなっているのでは?
川瀬:ああ、瀬々さんの中でもやっぱりそれはあるみたいで。最近ね、瀬々さんが「パラダイムが転換したんだ」って映画のパラダイムシフトの話をしてですね、「あ、瀬々さんの中で何かが変わってる!」と思って。でも実際変わってきてると思うんですよ、僕ら世代的な風合いのことを瀬々さん的な目でみているというか…瀬々さんいわく「登場人物を放り投げたようにやりたい、後はどうなるかわからないけど」と。僕らの中でもこれからやっていく上において以前のようにはいかないぞ、という感じはありますね。僕らの世代は引き受けなければならないんですけど、今まさに僕らの世代が瀬々さんたちの世代にもの申す、じゃないけど、そういうのをやっている最中じゃないですかね。上の世代に対する何かはみんなあると思いますけど、その発露の仕方は本当に違うし、上がこうだったから下も同じような出方をするわけでもないし。思ってる方向は同じかなという気はしてるんですけどね。
ー瀬々監督やサトウトシキ監督の一般映画にも出演されていますよね?
川瀬:うん。でもやっぱりピンクの時とやる事は同じですけどね。今は本当にその垣根がないんで、どれが面白くてどれがつまんないかというだけの話。そういう意味ではいい世の中だなあとは思うけどね、ハリウッド映画でも何でも一緒っていうか。むしろ観てる側にその境目がないでしょ、作ってる側にあっても。作る側のほうが僕らはこのフィールドにいる、という自負だったりとか負い目が過剰に出てしまう可能性があるもんね。
▼逆に上げる
ーピンク映画でデビューされてから今年で11年になりますが、その間ピンク映画を取り巻く環境の変化は感じましたか?
川瀬:最近思うのは「僕らのスタンスはさほど変わってない」ということ。ただ、むしろ周りが変わってきましたね。ちょっと前だったらメジャー(一般作)とマイナー(ピンク)の線引きがある程度あったのが段々(バジェットだけの話じゃなくて)僕らに近づいてきちゃったというか。僕らは同じことをしてるんだけど、逆に上にいたような人たちが過酷な現場になってきたり。これだけコンスタントに35㎜のフィルムで撮ってるジャンルって今となってはピンクぐらいなんで。同世代の役者さんにもフィルムの前で仕事したことないという人がたくさんいるんですよ。ということは多少大きなバジェットの仕事がきても、そこで回してるのはデジカムだったり。どっちが悪いとかいいとかではないけれど僕はフィルムが好きだっていうのはありますね。偏見とかじゃなくて、やっぱりキレイだし、フィルムだとビデオより作品が残ってる感じがするんですよね。映画館でちゃんとかかって、地方をぐるぐる回って、バンドのツアーみたいなもんじゃないですか。途中でバンド名が変わって(ピンク映画は旧作をタイトルを変えて新版として上映することがある)新しいファンが作られて、最終的にはすり切れるまで…というのはちょっと素敵ですよね。
ー周りの敷居が下がってきているだけに…
川瀬:そうそう、逆に上がっていくといいですね。ここ最近はWEBドラマとかも増えてきて、アウトプットがどこにあるのかわからないようなことがあるんですよ。僕ら役者はやってることは変わらないんだけど最終的にどういう形で世に出てるのかわからないことが多くなってきてる。その意味で言うと今回の特集上映とかも劇場でがーんとかかって、そういうところに晒されないものが一般作にも多いだけにピンクって今やっぱりすげえなって思うし、もっと展開あるんじゃないかと。
ー変な言い方ですけど、本当に(作品としてのクオリティが)ちゃんとしてますよね。
川瀬:うん、ちゃんとしてるよー! そりゃあもう。なおかつ納期があって商業ベースにのっとってる。だからそこで思いをぶつけるし。本当はピーカンのシーンだけどその日雨が降っちゃったからそれなりのシーンにしたりというフレキシビリティもあったりして、あーピンクはいいなと。一番小さいユニットだから、カメラマンと照明と監督と役者数人と、助監督と…。大きな現場だと何の係なのかわかんない人もいるからね。
ーやっぱりピンク映画館で喜んでもらえるものを作りたいという気持ちはありますか?
川瀬:10年ぐらい前は観に来てた人が作り手になることもとっても多かった。亀有名画座という映画館が閉館になったときに僕らみんなで手伝って上映をやったんだけど、そのときも思いつめたような青年が当然のごとく瀬々さんのところに「ファンです!」みたいに寄って行ってて(笑)。でも今はそれがどこでも起き得る。いいところも悪いところもあるけど、ピンクは変わらずそこにあるだけで、周りの反応が変わってきたとは思う。それまでは上映が終わったら終わりだったのが特集上映やDVDになったりとかもして、「あ、ピンクでもそういう話があるのね」ってところからスタートしてもいいし。でもピンクって面白いのは、たとえば滝田洋二郎監督はメジャーの方ですけど、(昔ピンクを撮ったということで)どこかリンクしてるって勝手に思える。その意味でも俺は本当にピンクに出会えてよかったなって思いますね。若い監督によっては(ピンク映画が)たとえば絵画で言うとデッサンだったりクロッキー的な段階の人もいるわけですよ、もちろんピンクをずっとやっていく人たちもいますけど。でも最初の頃はどんなことを言っていても出来上がったものはその人の片寄りが出るんですよ。そういうときに出会うから、すごく一緒にものを作っている感じがあって、ピンクは本当にそれが楽しい。今回失敗しても「じゃあまあ、次行くか」みたいな。(国映の)おネエさんも「ずっとここ(ピンク)にいなくていい、出て行って構わないし」ということをよく言うんですけど。やっぱりデッサンだから描きながら作ることをよしとするっていうか、むしろここで変に固まっちゃってもしょうがないっていうか。
▼ピンク映画を「発見」する
ーもともと映画が好きで自主映画の助監督をされてたんですか?
川瀬:そうです。その頃は趣向がまた(デヴィッド・)クローネンバーグとかでしたけど、特に僕にとってはやっぱり瀬々さんの存在が大きくて。馬鹿な言い方だけど、こんなに苦しんで作ってるんだ、こんなに言いたいんだという感じは、自主の時には正直よくわからなかったんですよ。だから改めて映画が好きになりましたね。僕らの世代は芝居で言うと妙なナチュラル指向にとらわれてたっていうか、逆にピンクはアフレコだから自分の言ったことが一言一句出るわけですよね。(芝居をする)意味がわかりますよ。ちゃんと人にものを伝えるっていうことと映画の中での自然ということは普段のナチュラルとは違うんだということが。自分の中でも観る映画が変わりましたね。実生活ではこんなことは散々やってるから嫌だ!っていう映画があるんですよ。俺は映画やるんだったら映画のためにやりたいし、かっこよく言えば映画の中の人生をやりたいというか。
ーなぜピンク映画の世界で俳優をやるのですか?
川瀬:んー、ベタな言い方をすれば、僕らは「彗星のように現れた」人たちじゃないわけですよ。もしそうなら今頃メジャー映画でバンバンやってるだろうし。でもそうじゃなかったわけですよ、良くも悪くも。そうすると、ピンクだと脇役もやるけど次の日には主役もやる。なおかつ観てる側にしてもその人がどうなるのか展開が読めないじゃない?あまり知られているわけでもないし。だからこそ純粋に芝居を観て評価してくれるときもあるし。そういう自由度がとってもあるから、基本的には役者がみんな同じ地平に立ってるんですよ。芝居がめちゃくちゃ上手くてもカラミになったらメケメケになっちゃう人もいるし、「俺はここでやってた」みたいな肩書きが何の意味も成さない世界がピンク映画かな。満を持してやった、とか、万全を期してやった、とかが上手くいくとは限らないし、むしろそっちのほうがコケる可能性は高くて、どこか勢いをスポイルしないでやれたものがバッチリ出てくる気がしますね。それがピンク。瀬々さんだって芝居はまず成りでやらせるからね。トシキさんだって型を求めてるわけじゃなくて、お前のちゃんとした成りでやれよ、ってことだから。その意味では僕はまだ小さくまとまってるのかもしれない。
ー普段、撮影しているときには女性を意識していますか?
川瀬:ううん、しない。何でかって言うと、男がやってる以上は男の側からの視点しかもてないと思ってるから。で、僕らはその女の子を好きな奴っていうつもりで出てるから。あんまり女性のお客さんから見て、という感覚はない。
ーでは、できたものに対して「ここは女の人もわかるのでは」というところは?
川瀬:んーでもその場合は、ピンクを観てる女の子って男を見てないと思いますよ。女の子を見てると思う。私だったらこんな男好きにならない、とか思ってるかもしれないし。ピンクに関して女の人が見てるのは女の子だと思う。だから主人公の女の子への共感や反発は面白く観れるんじゃないですかね。僕らはいかにそこで触媒としてやっていくかというところかな。今回のラインナップは国映の作品が多いんですけど、よく見ると世代間のこともあるし、上の世代でも趣向の違う友松(直之)さんみたいな監督や、後藤さんみたいに僕らとは違う歴史を歩んできた監督がいたりして、面白い組み合わせになってるんじゃないかと。
ー海外では「ピンク映画」という概念自体がわからないそうです。
川瀬:そうそう、対比にはならないけどイタリアのソフトコアぐらいの感覚なのかなあ。イタリア人とはそういう話したけどね。アメリカ人なんかますますもってわからない。説明するときにも「プロレスとバーリ・トゥードの違いですかねえ」みたいな。だからこれは逆に誇っちゃうな、こんな変わったジャンルの映画はそうないと思うし。たまたま三本立てを観に行っておまけで観てしまったとか、そういう出会い方は幸せだと思いますね。こういう特集上映の何がいいってそこなんだよね。僕らが名画座に観に行って、その監督に何の恩義もないのに劇場に毎週馳せ参じたり、嫌いだった監督だけどこれは面白かったという発見が普通に楽しかったから。そういう発見の喜びがあるかもしれない、この上映は。ひょっとしたら誰も知らないような人に注目したりとか、その人がまた違う作品に出ていたりとか。それはちょっといいかもしれない。
10年という月日は長いようでも短いようでもあります。この10年で変わったこと、変わらないこと、それはピンク映画に限った話ではありません。もちろんそれ以前からピンク映画はありましたし、これからもそう簡単になくなりはしないでしょう。しかし昨日まで当たり前のようにそこにあったものがある日突然なくなることだってあるのです。そう考えると、この何十年かのピンク映画の歴史に続けていくことのちょっとした奇跡を感じずにはいられません。その奇跡を維持しているエネルギーがどんなものなのか、少しでも劇場で感じていただけたらと思います。
(インタビュー・構成:那須千里)
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「R18 LOVE CINEMASHOWCASE VOL.1」、土曜日に無事スタートしました。初日はAプロ「団地の奥さん、同窓会へ行く」よりサトウトシキ監督、佐々木ユメカさん、川瀬陽太さん、そして「草叢」より堀禎一監督、速水今日子さん、吉岡睦雄さんによる舞台挨拶も実施。盛況のうちに終了することができました。関係者、劇場スタッフ、そしてご来場してくださった皆様、本当にありがとうございました!
そんなAプロ[恋する団地妻]は明日火曜日5/23までですのでお見逃しなく!(ちなみに先日は「草叢」出演のマメ山田さんもご来場されていたようです!)
続いて5/24(水)〜26(金)のBプロは[オタクとヒモの愛し方]と題しまして、「悶絶!!電車男」(監:友松直之)、「ヒモのひろし」(監:田尻裕司)の2本立てでお送りします。(監督・キャストによる舞台挨拶は最終日の金曜日になります)
引き続き、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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R18映画は女優が命。今回は、平沢里菜子さん(『かえるのうた』いまおかしんじ監督、『ヒモのひろし』田尻裕司監督)、向夏さん(『ビタースイート』女池充監督、『言い出しかねて』後藤大輔監督)、華沢レモンさん(『たまもの』いまおかしんじ監督、『悶絶!!電車男』友松直之監督)といったフレッシュな新進女優陣にお集まりいただき、女の子だけの本音トークをしていただきました!
平沢さん、向夏さんはちょうどこの取材日の一年前がクランクインだったというご存知『かえるのうた』コンビ。向夏さん、華沢さんは本年度のピンク大賞・女優賞を同時受賞した縁。
現代女性の生き方を映画監督たちとともに表現してきた彼女たちは、ピンク映画をどう見ているのでしょうか?
▼Bプログラム『ヒモのヒロシ』『悶絶!電車男』/Cプログラム『たまもの』/Dプログラム『言い出しかねて』-平沢さんは今回Bプログラムで上映される『ヒモのひろし』のヒロイン、というかマドンナ的なキャラクターを演じていますね。

平沢「田尻さんには、若いときの倍賞美津子さんのような下町の男の人たちに好かれる感じの女の子だ、と言われたんです。でも倍賞さんが演じていたようなマドンナ役って結構感情の起伏が激しいというか笑ったり怒ったり表情豊かですよね。私が演じたハルカというのはあまり感情を顔に出さないクールな女の子で、私自身彼女がどういう感情でいるのかさぐりながら演じていたので難しかったです。なんで太鼓を抱えてるのかも含めて(笑)」
-田尻さんとお仕事した感想は?
平沢「現場ではすごく怖かったですよー!…なんていったら怒られちゃいますねぇ。うーん、なんていうか、監督の頭の中では撮りたいものがきっちり決まっているんですよ。いまおか(しんじ)さんは、怒ってみたり、沈んでみたり、おちゃらけてみたり、ひとつのシーンでもパターンをいくつか試してみてから決めていく感じなんですけど、田尻さんは演技のパターンを役者が試すよりも監督のなかで出来上がってて、それに演じていく側が沿わせていくタイプだと思います。」
- タイトルロールを男優さんが演じているのも珍しいですよね。ヒロシ役の吉岡睦雄さんは今回の上映される8作品中3作品に出演している若手ピンク男優のホープですが、みなさん一度は共演されていますよね?
(お互い顔を見合わせ、なぜだか一同爆笑)
華沢:(ぼそっと)「変な人…!」
向夏:「いろんな作品に出過ぎ?」
平沢:「でもやっぱりダメ男が一番似合う!誰にでも愛されるキャラクターを持った方だと思いますよ。」
(そしてなぜか再び一同爆笑)
-向夏さんの『言い出しかねて』も、『ヒモのひろし』とはまた別の意味で奇抜な作品ですね。
向夏「目が見えないからって好きな人を取り違えて恋愛するなんて、普通はありえないですよね。でもそれを通り越して登場人物たちが一生懸命だから見てるとぐっとくるというか…。健気なんですよね。」
- 監督の後藤大輔さんはどんな方ですか?
「私がいままでお仕事してきた他の監督さんの中で、役者になにを求めているのかっていうのが一番わかりやすかったんです。でも監督は妙に自信がない感じでおっしゃるんですけど。」
-目が見えない少女というのも難役でしたね。
向夏:「よくやりましたよね~(遠い目)。撮影中はちょっと身体の感覚がおかしくなりました。演技していない時でも、見えているものを見えないフリをしてしまったり。けっこう役に入っちゃってましたから。」
-この作品で共演されてる川瀬陽太さんも男優としてピンク映画界のキーパーソンになっている方ですよね。
向夏「でもね、いつも酔うとぐだぐだになってるんですよ。実は昨日も一緒に飲んでました。撮影中はすごくやさしくて、助監督みたいに気を使ってくださるんですよ。」
-華沢さんはピンク映画デビュー作でもあるCプログラムの『たまもの』と、Bプログラムの友松直之監督の『悶絶!電車男』で自殺して幽霊になった彼氏と再会する女子高生役ですね。
華沢「友松監督もかなり個性的な方なので現場は楽しかったです。女子高生役なので制服を着ているのが恥ずかしいんですけど…。自分的には女子高生はもう限界かなって思っているんですけど、なぜか制服着る役が多いんですよ。」
- 『たまもの』ではかの林由美香さんとひとりの男性を取り合う役でその年のピンク大賞の新人女優賞を受賞しましたね。
華沢「はじめてのピンク映画だったので、すっごく緊張しました!しかも由美香さんとでしたし。同じ部屋に泊ったんですが「私こんな悩んだ作品はじめて…」と由美香さんがずっとお酒を飲みながら苦悩されていたのが印象的でした。うまく言えないんですけど「わあ、本物の女優さんだ!」とはっきり思いました。最初の作品で由美香さんと共演できたっていうのは緊張したけど、すごく刺激になりました。わたしも頑張らなくっちゃ!って思いましたよ。」
▼いまおか組ってさぁ・・・- 『たまもの』はかなりリテイクを重ねたと聞きました。平沢さん、向夏さんも『かえるのうた』でいまおか監督のリテイク攻撃は経験済みですか?
向夏「そうですね。いまおかさん、とにかくなにも言ってくれないので。『かえるのうた』でもひとつのシーンを、いろいろ試しながら撮ってましたからね。」
華沢「監督の中ではっきり決まっていない。キャラクターの設定も突然現場で変わりましたから。いきなり「じゃあ、やくざの娘ね!」とか。」
平沢「考えてないみたいですよね。よく「どうすっかな~」って言ってますし。」
向夏「でもすごくいいタイミングを待ってるって感じがします。」
- 「いいタイミングを待つ…」いまおかさんの釣り人精神があの独特な“いまおか節”を生んでいるのでしょうか(笑)
▼女優からみたピンク映画の内側/外側- ピンク映画の良さってどういうところだと思いますか?
向夏「女の子の恋愛って、普通に彼氏とおしゃべりしたり遊びにいったりする部分と同じくらいラブシーンにあたる部分が重要だと思うんですけど、一般映画ではラブシーン自体そんなに深く描けないじゃないですか。ピンク映画の場合その部分自体がジャンルなのでそういう表現をできるということがすごく強みだと思います。」
平沢「そうですよね、今回の上映みたいに女の人がピンク映画を見れる機会って少ないと思うので私は女の子が観て、どういう感想をもつのかすっごく興味があります。観てくれた人からのメッセージが欲しいです!」
向夏「そうそう、なにも考えないでさらっと観に来てほしいですよね。」
華沢「別に絡みのシーンがある、なし関係なく、すごくストーリーもきっちりしているのでこの機会に観てほしいですよね~。全部の作品観て欲しい(笑)」
- ピンクの業界って監督、スタッフ、役者ほとんど顔見知りっていうのが多いですよね?今後一緒にお仕事してみたい方とか、気になる方はいますか?
平沢「私は女池さん!」
向夏「えーっ、やめておいたほうがいいよ!」
平沢「えっ、どうして?『ビタースイート』とか観て一緒にやってみたいなって思いました。」
向夏「私もできるだけ色んな監督とお仕事してみたいとは思ってますけど、田尻作品にはもう一度リベンジしたいなって思います。デビューしたてでお仕事したとき、うまくできなくていまだに気になってるんですよ。だからまたご一緒したいと思ってます。あ、別に使ってくれ!って宣伝してるわけじゃないですけどね(笑)。」
華沢「みなさんプライベートの飲みの席ではよくお会いするんですけど、仕事は一緒にしたことがないってケースが多いんですよ。」
向夏「あー、わかりますわかります!」
華沢「なので、私はそういうケースでは坂本監督の作品に出てみたいなぁ~なんて思いますね。監督として現場でどんな感じなのかなって知りたいです。」
- あと女性の目からみた場合、ピンク映画の公開時のタイトルにはぎょっとするものがありますけど、実際出演されてるみなさんとしてはそのへん率直に言ってどう思ってますか?
平沢「そうですよね~。『かえるのうた』だって公開タイトルは…」
向夏「『援助交際物語 したがるオンナたち』、です!(笑)」
華沢「“巨乳”とか“痴漢列車”とかそういうタイトルがつくのは当然だけど、演じている方でも「うわ!」ってやっぱり思いますよ。あんまりタイトルを人に言えないというか…。」
向夏「内容は全然猥褻な感じでもないけど、そういうタイトルがついているだけで女性はまず見ないですよね。だから今回みたいに改題しての上映っていうのはちゃんと作品の内容に沿ったタイトルだし、それで色んな人が見やすくなると思います。」
平沢「題名だけで先入観をもたれてしまうのは悲しいですからね。監督も役者もみんながんばってて面白い人が多いですよね。」
ピンク映画の面白いところで勝負をつづける3女優の忌憚なきトークいかがだったでしょうか? クールな美貌で一刀両断に発言する平沢里菜子嬢、明るくはきはきとした中に印象的なコメントを残してくれた向夏嬢、キュートで若さゆえの傍若無人さがたまらなかった華沢レモン嬢、三者三様の魅力がうずまく座談会でしたが、やはり彼女たちは女優。それぞれの魅力は是非スクリーンで現認していただきたいです! (インタビュー・文:綿野かおり)| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)
いよいよ今週末からR18 LOVE CINEMA SHOWCASE 、上映スタートです。皆様のご来場、心よりお待ちしております。
先日は「かえるのうた」DVDのオーディオコメンタリーの収録で販売元の紀伊國屋書店さんに行って来ました。(発売は8月)今回の参加者は出演のお2人・向夏さんと平沢里菜子さん。司会も女性ライター・綿野さんということで監督不在・男子禁制コメンタリーになりました。こわやこわや。そしてこちらで絶賛継続中の「いまおか日記」の一部もブックレットの方に収録されます。ご期待ください!
さて、今回の特集上映に合わせまして、Movie Walker/NIPPON EROTICS plus(9)ポレポレ東中野支配人・大槻貴宏氏インタビューを敢行しましたので是非御一読ください。
それでは、引き続き宜しく御願い致します。
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ひとと違うことをするのは大層難しいことのように思われていますが、実はそうでもありません。要するに、他人とは反対のことをやればよいのです(少なくとも原理的には)。いわゆる逆転の発想というやつです。しかし否定の否定は肯定です。よくないの反対はよくなくない、またその反対はよくなくなくない…というように。その先には一体何があるのでしょうか。そこで今回は、否定から始まる映画づくりについて聞いてみました。講師は第一回目の佐々木ユメカさん、前回の坂本監督&いまおか監督からも熱いエールをいただいた田尻裕司監督です!
▼勝てない
田尻:僕、声小さいんですけど大丈夫ですか?
―大丈夫です。声が小さいと言えば、『痙攣』では囁くような話し声が印象的でしたが、あれは同時録音ですか?
田尻:同録でやってるせいもあるんですけど、(音が小さいのは)技術的な問題もありますね。
―なぜ同時録音でやろうと思ったのですか?
田尻:ひとつはその前に『たまもの』('04/いまおかしんじ監督)があったからです、あれは同録なんですけど。もともと作品によっては昔から同録をやってみたかったというのはあったんです。『ヒモのひろし』なんかはリアリティのない話なのでその必要はないと思うんですけど、そうじゃない場合は同録のほうがいいなあと思っていて。アフレコだとどうしても声が浮いちゃうというか、声は通るんですけど(画面に)馴染まないんですよ。馴染まないことでシーンに継続性を持たせるという効果はあるんですが、セックス・シーンではそうしたくないんです。カットも細かく割ってるんですけど、その切れ目をつけたくないんですね。特にセックス・シーンなんかは生ものだと思っているので、それを同録で撮りたいというのがありますね。
―『たまもの』はセックス・シーンでいわゆる“本番”をやっていますよね?
田尻:『たまもの』をやる前に僕といまおかさんで言い争いをしたんです。僕はやっぱり映画って作りものであるところが素晴らしいと思ってるんで、じゃあ人を殺すシーンを撮影するときに本当に殺すのか、と。それなのになんでセックス・シーンだけ急に本番をやるんだ?と。でもやっぱり観るとショックを受けるんですよね、勝てないなというか。今までずっと観てきたものや自分のやってきたことに対して「勝てない」という。でも、勝てないで終わったんじゃ、なんか…。
―具体的にはどこが一番「勝てない」と思われましたか?
田尻:セックス・シーンです。『たまもの』の一番の魅力は僕はセックス・シーンだと思ってるので。実際の行為だけじゃなくて、触れ合うというか…お互いに話しているときの間だとか、「くっつく」瞬間の女の人の一瞬の息づかいとかはアフレコじゃ絶対に出ないから。だけど負けを認めたんじゃ、もうピンク映画を撮っていけない気がしたんですよ。それは自分のやっていることも全部否定することになっちゃうから。何とかして勝てる方法を探さなきゃいけないと思って、それには要は音なんですよね。音さえなんとかすれば…と思ったんですよね。
―実際に(同録を)やってみていかがでしたか?
田尻:えー…負けましたね。結局、実際に(本番を)やらせるようには僕が息づかいを演出できなかったんです。同録で撮ってるんですけど、やっぱり出ないんですよ、そういうような息にはならなかった。
―それで「勝てなかった」と。
田尻:だーかーら、作品全体じゃなくてセックス・シーンに関してですよ!
―佐々木ユメカさんのインタビューで、『痙攣』ではリハーサルをされたと聞きました。
田尻:それもつまり…勝つには(どうしたらいいか)ということで。方法論としてまともにやったんじゃ勝ち目はないと思ったんで。要はセックス・シーンのリハーサルをやりたかったんですよ。いかにしてあの息を出せるか、ということだったんですよね。それを現場の短い時間でやるのは無理だと思ったんです。で、リハーサルを4日ぐらいやらせてもらって、なお且つ現場でもそこには相当時間をかけましたけど…。
―でも、作品が違えばその中でのセックスの意味合いもまた変わってくるので単純な比較はできないのでは?
田尻:うん、そうなんですけど…息のことと、あともうひとつは、僕はさっきセックスのことを「くっつく」と言いましたけど、くっつくと音が出るんですよ。以前に女性の胸を揉むときの音を作ろうとして色々と効果音を試してみたんですけど、全然ダメで(笑)。だけど音は出るんですよね、頭の中では。特に男と女がつながるときのあの音なんですよね、『たまもの』だといい状態で観ると聞こえますけど。その音がねえ、一生懸命作るんですけどどうしても出せないんですよ。だからといって僕はいまおかさんみたいにやるのは認めないし、今後も別の形で挑戦しようとは思ってますけど。
▼女性を魅力的に
―『痙攣』の佐々木ユメカさんのキャスティングは最初から決まっていたのですか?
田尻:その前に『不倫する人妻 眩暈』('02)という作品をやったときに、そういうふうに撮ったというのもあってユメカは非常に魅力的に見えたんですよ。撮る前は色々あったんですけど、クランク・インするときに「これはもうユメカを撮ろう、それが一番いいに違いない」と思って、やたらめったらユメカの顔ばっかり撮った印象があるんですけど。で、出来上がったものを観るとやっぱり素敵だなあと思うんですよね。だけど、その…僕は色んな映画を観るんですけど、映画の一部しか観てないんですよね。でかいスクリーンがあって、人物の全身が映っててもほとんど顔しか観てないんですよ。周りで何かが起こってても全然そっちのほうに目がいってないんです。だからユメカの顔を撮ろうと思ったときもある程度勝算があってやってたんですけど、なんかこう、出来上がりに自信が持てなくて…。顔が素敵だったら映画も素敵になるだろうというのは、どうも僕の勘違いだったということに気づいたんですね。顔さえよければ映画がいいというんだったら、全体にちょっと波及してなかったなと思って。別の言い方をすると、顔はよかったけど波及が行き届いてなかったなと。
―キャスティングありきの作り方はいかがでしたか?
田尻:僕は(同じ俳優と)二回やるのはあまりよしとしてなくて。「恋してる」というとあれなんですけど、ピンク映画をやるときは女性をどれだけ魅力的に見せられるか、というところだけは外さないようにしようと思って力を入れてるんです。だから二度目より一回目のほうがドキドキ感があるというか。初めての人のほうが、僕が考えていることを相手がどうやるのか予測がつかなくて楽しめる、というのがあるんで、わりとそういう新鮮さを求めてるところはあるんですよね。本当はもっと芝居をガチガチに組んで全部作りものであったほうがいいとは思ってるんですけど、それだけの時間と実力が僕にないんですよ、自虐的な言い方だけど自信がないんで。だけど、ユメカが素敵なのに映画全体にそれが行き届いてないのはまずいな、と思って。それで絶対にもう一度やろうと思って、ユメカ主演を先に決めて脚本を作ったんですね。脚本家の芳田(秀明)さんにユメカの作品を渡して、彼女主演でやりたいと言って。
―そんな田尻監督の作品は女性からの人気も高いですが。
田尻:(苦笑い)べつに嫌なわけじゃないんですけど…日活ロマンポルノとかでも女の人が魅力的なものは、その人の裸だとかセックス・シーンを観て「ああ、いい女だなあ」と思うんですよ、男性として。やっぱりそうあるべきだと思ってるんですよね。だから「女性を魅力的に」というのは、男性から見て魅力的に見えるように作ってるんですよね。
▼日活ロマンポルノからピンク映画へ
―ピンク映画を観始めたのはいつ頃からですか?
田尻:ピンクは1987年からですね。それまでは田舎で日活ロマンポルノをテレビで見ていて、『狂った果実』(根岸吉太郎監督)が大好きで。東京に出てきて、当時いっぱいあった成人映画館で映画ばっかり観てたんですけど、目蒲線の鵜の木駅にあった「安楽座」という映画館で観たのが一番最初です。三本立ての一本に佐藤寿保監督の『ロリータ・バイブ責め(秘蜜の花園)』が入っていて、ピンク映画だとは知らずに観たんですけどもう衝撃的で! こんな映画がこの世に存在する、というのが。当時(いわゆるカルト映画とされている)『エル・トポ』(アレハンドロ・ホドロフスキー監督)とか『追悼のざわめき』(松井良彦監督)が好きだったんですけど、前者は完全にちゃんとしてるし、後者もまだ僕の中ではみ出してはいないというか、あってもおかしくないという感じだったんですね。でも寿保さんの映画を観たときは、こんなものが存在するということが信じられない!みたいな。エネルギーというか、凄まじいんですよね。すごい衝撃的でしたね、あれは。それからは新宿国際(劇場)とかにも行くようになって。
―観客から作り手になったわけですが、同世代の他の監督はどのような存在ですか?
田尻:「五人組会」というのを一年に一回やるんですけど(笑)。それはいまおかさん、榎本(敏郎)さん、女池さん、坂本、僕という助監督時代からの知り合いの五人で、坂本いわく「五人で助け合って映画を撮っていこう!」という会なんですよ。このあいだ坂本が引っ越したんですけど、今度そこにみんな集まって黒板を用意して…というのは、「エドワード・ヤン(揚徳昌)とホウ・シャオシェン(侯孝賢)は若い頃はそうやって黒板に色々書いて語り合ったんだ」と坂本が言ってて、「えーこんなことやりに坂本ん家に集まんの? 行きたくねー」と思ったんですけど(笑)、それぐらい仲がいいということです。
▼今までとは違うことを
―今回は田尻監督だけ二本上映されます。
田尻:このえこひいきは何なんですかねえ(笑)。
―タイプの違う二本ですが、恋愛映画8本の中に選ばれた心境はいかがですか?
田尻:二本選ばれたのは、喜ぶべき?(笑)タイプが違うというのは、『たまもの』に対抗して『痙攣』を撮ったことで、自分の今の余力では(これまで目指してきた)セックス・シーンには到達できないというのがあったので、そうじゃないものをやりたかったんです。『ヒモのひろし』のシナリオ(守屋文雄)はみんなで審査して一位に選ばれたやつで、みんな「いまおかさんがやったほうがいい」という意見だったんですよ。僕はそれまでジメジメした二人だけの世界で触れ合う音とかを目指してたんですけど、もっとおおらかなものをやるんだったらやっぱりコメディのほうがいい。今までコメディをやらなかったのは、それがセックス・シーンに合わないと思ってたからなんで。そのときにそういうホンがあったから、いまおかさんに「今回は(やらせて欲しい)」と言ったら、「ああ、いいよ。やりたきゃやれよ」みたいな感じで。
―守屋さんの脚本の世界と今までの田尻監督の作品のテイストがすぐには結びつかなかったのですが。
田尻:いや、そうでもないですよ。デビュー作(『イケイケ電車・ハメて行かせてやめないで!』/'97)は結構おバカ映画なんで。
―『ヒモのひろし』はコメディですよね?
田尻:コメディのつもりで撮りましたよ? やりたかったのはおおらかであったり躍動感のあるものです。守屋さんの脚本はものすごいエネルギッシュで昔の映画を観ている印象があって。うちの親父たちの世代というか、戦後の混乱の中でくだらないことでゲラゲラ笑ったり泣いたりしながら一生懸命生きている単純な人たちの世界を想像していて守屋に聞いたら「いえ、現代の人たちを描いたつもりです」と言われて。自分でホン書けないから他人に頼むんですけど、生真面目なんで、特にこのときはみんなで審査して選んだ脚本だったから「できるだけ手を入れちゃいけない、変えたら何のためにみんなで選んだんだ」と思っちゃったんですよね。ただ、出来上がったものに関して言うと、もうちょい僕もおおらかで(ルーズで)あったほうがよかったかなあ、と。
―今までとは違うことに挑戦する上で新しく試みたことは?
田尻:僕は普段ものすごくカットを細かく割るんですけど、あれは長く回してるんですよ。どうしても周りに影響されやすいというか…助監督時代についた監督で長回しするのは瀬々さん、同期だといまおかさん、その後(サトウ)トシキさんがやるようになって、坂本もエノ(榎本敏郎)もみんなそうなんですよ。さっきの五人組でいうと(長回しじゃないのは)僕と女池さんだけなんですね。僕はもともと長回しのほうが好きなんですよ。でも周りにこんだけいっぱいいると「絶対するもんか!」となって。たまーにラストシーンでやるのはね、タガが外れちゃうんですよね。それで(長回しには)抵抗があったんですけど、『痙攣』で今までずっと自分が考えてやってたことがもう難しいな、と思ったときに、これまでと全然違ったことをやるんだったら、過去にやってきたことを大事にしてこだわる必要はないと思ったんですよ。どうせもう色んなことを辞めてるんだから、やりたいんだったらやればいいじゃん、と自分で思って。ひとつやめるともう何もかもやめたくなるんですよねえ。それで長く回してみたんですけど…。
―最後のほうでみんなが代わる代わる墓碑に近づいてくるシーンがそうですよね。
田尻:あーれ長かったですよねえ! 僕の頭の中ではそれまでがものすごくテンポがよくて、あそこで急にテンポが落ちて、最後にまたぐーんと上がるつもりだったんですよ。
―ひろし役の吉岡睦雄さんはこれまであまりコメディの印象はありませんが、最初から決めていたのですか?
田尻:そうですね。コメディやらせてみたいなと思って。吉岡は、うまくいっているかどうかは別として、ものすごい作りこんだ芝居をする役者なんですよ。僕はナチュラル芝居っていうのは芝居じゃないと思ってるんで。
―作りこんだナチュラルさかもしれませんよ?
田尻:吉岡はそれでもなくて、簡単に言うとクサい芝居をするんですよ。その中でもA、B、C、D、Eと色々持って来るんですけど、それがすごい好きで。僕は映画は作りものだと思ってるから、ナチュラルなんて映画じゃない、ドキュメンタリーだろう、と。『ヒモのひろし』は僕の中でリアリティとはかけ離れたところにあるものだったから、今考えうるキャスティングの中では吉岡しかいない、と最初から決めていましたね。これまでキャスティングありきで作ったのは『痙攣』のユメカと『ヒモのひろし』の吉岡だけですね。
―真逆に向かって撮られた両作ですが、結果的にはどちらのほうがより目指したものに近づけたと思いますか?
田尻:反省度合いが大きいのは………『ヒモのひろし』かなあ。
▼逆転の映画づくり
―田尻監督といえば手持ちカメラですが。
田尻:ですよねえ、三脚借りてないですからねえ。『OLの愛汁 ラブジュース』('99)のときに借りなかったんで。その判断はキャメラマン(飯岡聖秀)じゃなくて僕がしてます。あのときはセックスの「くっつく」瞬間を撮りたいっていうのがあったので、三脚をがちっと構えると客観的になっちゃうからもっと近寄りたいっていうか。FIXなんですけど、手持ちの柔らかくて遠くない視線でそれを見つめていたいと思って。
―あと田尻監督といえば色合いが特徴的な気がしますが。
田尻:そうですか? 原色や濃い色は好きですけど…色よりも光のほうが相当注文が多いと思いますね。
―あ、そうですね。色が印象的と感じたのはきっとその印象だと思います。
田尻:照明は、光の光源が何でこのシーンではどこに持ってくるか、ナイトシーンだったら光源を月光にするのか電灯の明かりにするのか、とかそういう話はしますね。一番いいのは太陽の光がダントツですよ。ピンク映画だから自然光が多いんですけど、お金があるんだったら自然光に近い照明を作って、(パトリス・)ルコントの『髪結いの亭主』の外からの光とか、撮りたいですねえ。
―『痙攣』では女性ボーカル(「I am frogs」)の曲が使われていますね?
田尻:僕は映画で歌謡曲が流れてるのがすごく好きで。歌モノで使えそうなインディーズ系のとかを探してもらってたらよさそうなのがあって、まだCDにしてない未発表曲も使って欲しいということで、その曲のほうは使ってるのかな。でも嬉しくて、スケベ根性でちょっと使いすぎましたね(笑)。かける回数じゃなくて曲数ね。使えるんだったら使ってやろうっていうのもあったんですけど、ピンク映画って音楽に対してストイックすぎるというか、使えないというところから発想してるから、なんかそれは発想が貧困だなあと思って。いっぱい使うのが普通みたいなところから出発してもいいんじゃないかなあというのがあったんです。
―逆から発想されることが多いんですね。
田尻:反発心が強くてねえ(笑)。素直に何かをするってことはほとんどなくて、誰々に何かを言われたとかあの人は何をやったとか自分は今までどうやったからとか、とにかく何かを決めないと出来ないんですよ。
―自分で自分に制約を課す感じですか?
田尻:うん、基本的にはまず自分の中で縛りを決めて、その中で何をやるかっていうふうにしていきますね。ピンク映画の限られた中でやるんだったら何でもかんでも自由にやるのもどうかなあ、とか。ひとつひとつ、宿題を自分に課しながらやってますが。
▼ピンク映画だからできること
―ピンク映画と一般映画の一番大きな違いは何でしょう?
田尻:くっつくまではエロ映画でなくてもできるわけだから。エロ映画の神髄はその後のことだから、くっついてから観てる人をわくわくドキドキさせるものを描かなきゃいけないんですよね。そういう瞬間を作り出せなきゃいけない。それは脚本全体の問題でもあるので、なかなか、まだまだ宿題は…これからもピンク映画は撮るんでその中でやっていければと思います。
―最後に、今回初めて観るお客さんに田尻監督ならではの見どころをお願いします。
田尻:僕は成人映画っていうのはエロ映画というひとつのジャンルだと思ってるんで…本番をやるエロのドキュメンタリーじゃなくて、エロのフィクションですね。だからそこを観て欲しいし、エロも映画の醍醐味のひとつだと思います、小さい頃にキスシーンを観てときめいたのと同じように。でも実際にはセックス・シーンは長いと思います。長いシーンがあってもいいけれどもっと短いほうが的確に表現できると思う。だから『OLの愛汁 ラブジュース』のときは、それを逆にしないと無理じゃないかというところから作ったんです、セックス・シーンありきの話にすれば短いほうがおかしいと思って。でもあんまり同じ方法をやるのは…我ながらその宿題はクリアーしたんで…だから今は別の方法でその部分をクリアーしたいなとは思ってますけども。なんかね、「くっつく瞬間っていいよね」とか。何を観て欲しいか、ということで言うとそこを撮りたいですね。
同一監督による対照的な二作品。片方を観ることでもう片方がわかってくる…こんな見方ができるのも特集上映の醍醐味のひとつです。田尻監督の目指す「作りこんだ世界」の中で唯一(?)本物を使ったコオロギ相撲(『ヒモのひろし』)も一見の価値アリ。ふたつとも観て、それぞれの味を比べてみるのがおすすめです。
(インタビュー・文:那須千里)
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映画を観ただけなのに、それを作った人をわかった気になってしまうときがあります。しかし当然ですが「映画=監督」ではありません。残念ながら、素敵な映画の作り手が必ずしも素敵であるとは限らないのです。逆に言えばたとえ素敵じゃなくても素敵な映画を作ることはできるのです。監督を見ればその人の作った映画がもっとわかるのでしょうか? というわけで、第三回目のゲストは坂本礼監督といまおかしんじ監督。かつては同棲していたこともあり、今回も仲良く二本立てのパートナーとなっているお二人の「Cプロ」特別対談です。
■坂本礼:『ふ・た・ま・た』(Cプロ)
■いまおかしんじ:『たまもの』(Cプロ)
▼ホンに負けてる
―坂本さんは『たまもの』はいかがでしたか?
いまおか:ダメっぽい感じだったね、最初。何て言ってたっけ?
坂本:貧乏くさい。いまおかさんの映画はチープだから。中身じゃなくて、外見ですよ、セットとか撮ってる場所とか適当だし…。
いまおか:俺はこだわろうと思ったらできるけど、キャメラマンがいいって言ったらいいから。
坂本:他人のせいかよ! でもまあ、そうだよね。
―逆にいまおかさんは『ふ・た・ま・た』は如何でしたか?
いまおか:(坂本は)自分で最初にホン(脚本)書くんだよね、原案というかプロットというか。
坂本:僕が書いたホンは大体いつも最初にいまおかさんが読んでるんですよ。
―(『ふ・た・ま・た』の)脚本は尾上史高さんですが、『草叢』とはまた全然違った印象ですね。
いまおか:感想忘れてるなあ…悪くないなとは思った。最初に読んでからずーっと読んでなくて、映画を観たの。いや、「尾上君頑張ったな!」っていう感じでしたね。でもなんか、あれだよね、ホン読んでないくせに、ホンに負けてる気がしたよ。
坂本:ああー…そうねー。
いまおか:決め台詞みたいなのが結構あるじゃない、そのときに必ずポーンて切り返してるけど「これ切り返さないほうがいいんじゃねえか?」とかさ。だからホンの通りに割とやっちゃってるのかなと思ってさ。
―脚本通りにやろうというつもりはあったんですか?
坂本:ホンの通りにやるよ、書いてあんだから。
―脚本に書かれていないことは撮らないんですか?
坂本:ホン通りでないことはないよ。結局、ホンに書いてあることもないことも、ホンを元にして作るわけじゃないですか。行間とかも含めて「ホン」ということを僕は言ってるつもりなんだけど。ホンに全くないことは…撮れんのかなあ、と思うんだけど。
―完成版の展開や結末も脚本通りですか?
坂本:そうそう、地図書いた通り。多分そうだと思うよ。
―いまおか監督は『たまもの』を撮る前はけっこう時間が空いていましたよね?
いまおか:そう、2年ぐらい空いてたんだよね。その前に(サトウ)トシキさんにホンを頼まれて、『手錠(ロスト・ヴァージン やみつき援助交際)』('02)が若い女の話だったからおばさんの話がいいかなと書いたんだけどずっとお蔵入りになってたのを、あるとき(国映の)オネエさんに「あれやれば?」と言われて。俺はやっぱホン作りが気になるんだよね。これはどういうやりようで決定稿に落ち着いたの? 最初の大元を自分で書いてるから、後はもう球は投げたという感じなの? それとももうちょっと速い球にして投げていきたいなという感じなの?
坂本:その例えがどうなのかよくわからないけど…現場ではもっとよくなったらいいなと思って撮ってるんじゃないの?
―でも、ご自分では(脚本は)書かれないんですね?
坂本:それは僕に筆力がないからです、単純に。字は書けるけど、シナリオは書けない。たまに漢字も間違えます。自分の監督作に関してはそういう気持ちでやってます、今の段階では。
いまおか:でもいっつも思うんだけど…坂本の最初に書いてくるやつもさ、へんてこりんだよね、テーマが。変ていうかさ、「こんなのエンターテインメントにならんだろう!」というところに目がいくんだよね。わかりやすく言えば“生と死”みたいな。自分で最初にホンを書いちゃうっていうのもそうだけどさ、やりたいことがあって映画を作ってるっていうのがさ…うーん、いいんだけど…いいのか?
坂本:「やりたいことやりやがって!」みたいに言うけど、いまおかさんだって芯があるじゃないですか。俺なんか、いまおかさんほどないよ。褒め合ってるみたいで気持ち悪いけど、でもまあそういうことじゃない? だって負けたことないでしょ?
いまおか:あるよ。
坂本:うーん、たまにあるか。でも曲がった気はしないんだろうけど。いまおかさんは芯ありますよ、誰よりもあるんじゃない?
―Cプロではお二人とも俳優の吉岡睦雄さんをキャスティングされていますが?
坂本:「ふ・た・ま・た」の吉岡君は『疑惑』(野村芳太郎監督)の加賀丈史ですよ。この映画は存分に『疑惑』だから。ちょうど撮るちょっと前に野村芳太郎の追悼上映を東劇で観て、「これだ!」と思ったんだよ。(脚本の)尾上君にも、女二人が顔を合わせるところは『疑惑』の桃井かおりと岩下志麻の対決のシーンみたいにしたいんだけど、と言って。
―『ふ・た・ま・た』は橋の上から窓に急にズームするシーンがありますよね?
坂本:んー、そうしたらいいかなと思ったんですね。
いまおか:あれは坂本の意見なんだ。
坂本:うん、だってズームレンズは借りてこないとないじゃん。場所決めてから「ここからこういうふうに撮ったらどう?」みたいな話だったのかな。
いまおか:ああ…へえー。考えてんじゃん、カット割りとか。
坂本:考えてるよー。
いまおか:俺、考えてないよ。キャメラマンまかせ。
坂本:ああ、いまおかさんは考えてない。
―普通はむしろ(あからさまなズームなどは)避ける感じじゃないですか?
坂本:やってるよ、みんなビビーンって。わざとする人も、わざとしない人も同じじゃないの? 両方とも意識的にどっちかをただ選択してるだけだから。
―編集のリズムがかなり独特で面白かったんですけど。人物の心情や物語の流れとは違うところでカットをつないでいる感じがして。それで物語がわからなくなるわけではないですけど、どこか自然じゃないんです、テンポが。
いまおか:そんなこと考えてないよなあ。考えてたら撮れないよね。
坂本:考えて撮ってる人いるよ、(ミヒャエル・)ハネケとかそうだよ、きっと。
いまおか:まあそういう人もいるだろうけど。考えて撮ってもいいんだけど、予算とか日数とか考えるとかけてられないんじゃないか。その中でできることをやらなきゃいけないわけだから。
―坂本監督は『輪廻』(清水崇監督)を絶賛されていたそうですが、『ふ・た・ま・た』の撮り方はホラー映画に向いていると思いました。
坂本:別にホラーに興味があったわけではなくて、『輪廻』はいい映画だなと思ったんですよ。お会いしたことないですけど清水(崇)さんは年齢も近いですし。めっちゃ盛り上がるでしょ? プロフェッショナルな仕事だなと思いましたよ。
―他に同世代で意識してる人はいますか?
坂本:イチローとか。同い年だから。
いまおか:よく言うよね。照準、高いよ。君は偉くなるよ。
坂本:イチロー、金城武、浅野忠信が同じ。松井(秀喜)とかは下なんだよ。映画監督だと1973年生まれはあんまりいないんだけど、1974年がハーモニー・コリン、1972年は清水崇さん…熊切(和嘉)君が1975年かな? 1976年だと山下(敦弘)君とか、向井(康介)君とか。
いまおか:自分と同い年のときに他人が何をやってたか、というのは気になるよ。自分と同い年のときに相米(慎二)さんは何を撮ってたか、とか。上を見てもきりがない、下を見てもきりがない。細々とやっていくしかないねえ…。
―いまおか監督の大きな夢は?
いまおか:いや、細々とずっとやっていくことだよ。
―8本の中で気になる作品はありますか?
いまおか:『草叢』(堀禎一監督)かな。苦しんでやってるところが…見方としてはおかしいのかもしれないけど。ホン面白いなあと思った。最終的には読んでないんだけど、映画を観て「ホン面白いなあ」と思って。
―先日、城定(秀夫)監督が『たまもの』に対してやはり「苦しんで作っている感じがするのが好き」とおっしゃっていました。
いまおか:俺はそんなに苦しんでないよ。でも最も苦しんだのはトシキさんのような気がするけどね。監督はすぐに楽しちゃうから、楽をしないようにどうすればいいのかを考えなきゃいけないよね、という話をしてて。だってさあ、佐々木ユメカの靴下(ストッキング)の色が違うって言ってリテイクしたんだよね?(『団地の奥さん、同窓会へ行く』) ありえねえだろ、そんなの。堀君はやっぱそういうところから学んでるんだよ。大阪行って大阪撮れてないじゃん、というのもやっぱそういうのがあるんだよね。
―特定の場所や風景を元に撮ることはありますか?
坂本:僕はありますよ。僕は東京東部で撮ってますけど、(意図的に)そうしようと思って撮ってますよ。多摩川の土手とかで撮ったりはしないです。違うんですよ、やっぱり。撮るときには順序立てていかないと見えないことが誰にでもあると思うんですけど、僕にとってはそれが、どこで撮るかというところなんです。
―それは脚本とほぼ同時ですか?
坂本:うん、もう端からあるよ。外国にいる人を撮ろうと思ったときには外国にも行きますよ。『たまもの』は銚子で撮ってるんだよね?
いまおか:それはたまたまだよ。だけど一応どっかで撮らなきゃいけないわけよ。あれは裏が海のボーリング場で、近県で行けるところはほとんどなかったんだよ。あのときはキャメラマン(鈴木一博)に「『ロゼッタ』(ダルデンヌ兄弟)みたいに」って言ったけど、全然関係なく撮ってた。(ダルデンヌ兄弟は)そんなにいいか?っていう感じはあるんだけど、作り方としてはこういうのもありなんだなとは思う。
坂本:まあでもみんなね、楽しないための抵抗の仕方が違うから。
いまおか:楽しなければ面白いものにつながるっていうのがどこかであるんだよ。
坂本:信じてるっていうかね。
▼監督と映画の距離
―登場人物の誰かに特別な思い入れがあったり、どれかひとつのキャラクターにはまったりしますか?
坂本:俺はないなあ、みんな同じ。
―それは観ていても感じました。どの人に対しても同じ距離感だなあ、と。
いまおか:でもほら、(『豊満美女 したくて堪らない!』('03)から )石川祐一さんの主役が続いたじゃない? 田尻(裕司)が言ってたんだけど「これ坂本だよね?」って。
坂本:それは観る人がそう思うだけであってさ、べつに撮ってる人間は意識してないと思うよ。ウディ・アレンも書いてたよ、「こういう映画を撮っていると僕自身もこういうことをやっていると思われるけど、べつに僕はあんな女性も知らないし、映画を撮るにあたってそういうキャラクターを作ってるだけです」って。
―自分の中に全くないキャラクターやエピソードでも撮れますか?
坂本:どうなんでしょうかそれは? 僕にもよくわからないですけど。
―自分が全く関わっていない脚本とか。
坂本:うーん、いきなりホンを貰って撮ったことがないからあれだけど…その中で見つけようとするから。見つかればべつにいいわけで。
いまおか:このホンのテーマはどこから始まったんだっけ?
坂本:僕のおばさんのよっちゃんを撮りたいなと思って。
―映画を観るときには何が一番気になりますか? シナリオとか、ストーリーとか、キャラクターとか…
坂本:まあそういうふうに言われると…監督かな。俺はもう映画の向こうにいる監督を気にして観てるよ。
―それはご自身が監督になる前からですか?
坂本:うーん…どうなんだろうね。でも誰が何を作ったか、ということだなあ、やっぱり。映画を観るってのは。
いまおか:俺はあんまないんだよね。俺はキャラクターかな。やっぱどんなにホンや演出がよくても映ってる人がだめだったらだめだろうしなあ、とか。
▼岡田准一はかっこいい
―ピンク映画とは関係なく撮ってみたい人は?
坂本:そりゃあいるよ、渥美清とか。だって渥美清すげーんだよー。あとキルスティン・ダンストとか、可愛いから。
―また大きく出ましたね。話が急にワールドワイドに…
いまおか:俺、岡田准一。『花よりもなほ』(是枝裕和監督)の予告観てたらめっちゃかっこよかった。
坂本:ああー、かっこいいなあ。岡田君かっこいいよね。最近のは何観てもいいよね『東京タワー』とか。
▼自棄のエンターテインメント
―ピンク映画のよさってなんでしょう?
坂本:いいとこある?
いまおか:うーん。
坂本:だけどね、やっぱり「恋愛映画」でくくられるピンク映画を撮ってちゃだめだと思った。
いまおか:昨日も神代(辰巳)さんの映画を観ててね、自棄になってる感じが見えるんだよ。41歳でデビューして4年間ほされた後で撮るとなったら、ガチガチにやるか自棄になるかどっちかしかないんだよ。そのときに自棄になるほうを選んでるって感じが…そういうのが観たいなって思う。ポレポレ東中野の(支配人の)大槻さんと話してたんだけど、今ドキュメンタリーみたいなものはほとんどないものとして扱われてるらしいんだよ、何をやろうと。だったらもう自棄になって撮っちゃおうかみたいな空気があるんだって。ピンクにとっても(どうせ)無視されてるんだったら「知らねーよ!」みたいな空気があるんじゃないかって。自棄になるって結構いいんだよ、元気になるっていうか。上手くいくときもそうでないときもあるけど、土壌としてピンクを支えてるのは、自棄のやんぱちみたいなところにあるっていうかさ。それは面白いなあと思うんだよね。エンターテインメントってそこなんじゃないかって気がすんだよね、他人を楽しませるっていうのは。自棄になってるっていうのはエンターテインメントだよ。なかなか観られないよ、それは。ちょっとメジャーにいくと自棄にならない仕組みがやっぱあるじゃん。
坂本:…で?(笑)自棄のやんぱちを観に来てくれってことか。
▼いまおかさんとはつき合いたくない
―お二人と共に“ピンク七福神”のメンバーでもあり、今回は二作が上映される田尻監督にメッセージを。
いまおか:田尻いいよね。
坂本:僕はもう田尻さんの人生を応援してますよ。たとえ田尻さんが映画を辞めても僕は田尻さんの味方ですよ。
いまおか:いや、田尻はいいよ。田尻は素晴らしいよ。「バカでいいんだ」ということを一番実感させてくれる人。田尻とは獅子プロ時代から15〜6年かな? 変にしつこかったり打たれ強かったり、本人は自覚してないんだろうけど…。
―女池充監督は、「自分には坂本の映画は撮れない」とおっしゃっていましたが?
坂本:俺だって女池さんみたいな映画は撮れないよ。みんなそうでしょ。
いまおか:いや、でもそれは特に、だろ? 特に俺らの周りで言うと、坂本のが一番わからないってことなんだよ、そういう意味では。届かないっていうか、手が周らない…背中の(自分では)洗えない場所みたいな感じなんじゃないの?
坂本:そんなことじゃないんじゃないの? 洗えない部分ってみんなあるじゃん、洗いたくない場所とか。
いまおか:いや、坂本はかなりおかしいよ、自分では意識してないだろうけど。
―遠慮のない人柄な感じはしますよね。嘘がない、ということですけど。
坂本:え、それどういうこと? そうかあ…やっぱもっと気を使えるようにならなきゃだめかなあ…
いまおか:でも俺が女だったら絶対に坂本とつき合わない。
坂本:だけどつきあう人がいるっていうこの世の中の受け皿の広さ、これは素晴らしいよね!
いまおか:色んな人がいるからね。
―お互いにつき合いたくないと思う理由が、きっとそれぞれのよさなのでは…
坂本:俺だっていまおかさん嫌だよ。5年ぐらい一緒に住んでたけど、どうしていまおかさんとつきあうのかわけわかんねえよ。
いまおか:色んな人がいるんだよ。
坂本:俺はそんなんじゃないよ。おかしいなと思うよ、いまおかさんとつきあうなんて。
いまおか:楽だよ?
▼女子が好きです
―ではそんなお二人から、これから観に来てくれる女子の皆さんへ…
坂本:僕は本当に女子が好きです。女子のことしか考えてません。
いまおか:嫌いなんだけど、なしじゃいられないんだよ。
坂本:強いて言うならさ、世の中の不幸は女子と男子しかいないことだよ。もしあと3つぐらい性別があったら、かなり上手くいくと思うよ。浮気の概念なんてなくなると思うよ。ふたつの性しかないことが幸せであり、不幸でもあるんだろうけど…単純に僕らは男から見た女子しか描けないわけですよ、それがある意味武器でもあるわけですよ。それを飛び越えてやることは僕は不可能だと思ってるし、そんなことをしてもしょうがないと思ってるから。
坂本・いまおか両監督の話を聞いていると、本当に二人の人柄がそれぞれの映画そのものだという気がします。それはこのインタビューを読んだ方も感じられたのではないでしょうか。映画は監督そのものではありませんが、作っている人間が透けて見えるからこそ危ういし、面白いのです。そしてこのような監督たちが一体どんなピンク映画を撮っているのか、是非その目でお確かめください!
(インタビュー・構成:那須千里)
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お待たせしました、リレーインタビューの第二回目は『草叢』主演の速水今日子さんです。せっかくなので、速水さんが女将をつとめる新宿・ゴールデン街のお店「夢二(別館)」におじゃましてきました。飲み屋のカウンターで隣席の会話を聞いているような気分でどうぞお楽しみください。なんとこの日はサプライズゲストも登場。さて誰でしょうか…?
昨年末に一周年をむかえたという「夢二(別館)」。その名の通り大正モダン風のレトロな雰囲気が漂う店内には映画のポスターやチラシが貼られ、何気なく飾られた千代紙の折り鶴や色ガラスのグラスなど女子的ポイントもかなり高いです。自ら着つけた和服姿がよく似合う速水さん自身にも、どことなく竹久夢二の描く女の人の面影があります。
▼ピンク映画との出会い
速水:きっかけは瀬々さん*1の作品だったんですが、親が厳しいこともあってすぐには出演の決心がつかなかったんです。でもホン(脚本)を読ませてもらったらすごくよかったので、一晩考えさせてもらって次の日に「わかりました、やりましょう」と。それには結局出なかったんですけど、一晩考えたことで踏ん切りがついたのね。それから色んな人のホンを読むようになって、いいホンがあるなら出よう、と。
*1:瀬々敬久監督。京都大学哲学科卒業後、作家性の強い作品群でサトウトシキらとともに“ピンク四天王”と呼ばれる。監督作に『MOON CHILD』『肌の隙間』など。
―デビュー作は『花井さちこの華麗な生涯』(女池充監督)ですよね?
速水:その前の『不倫妻 情炎』のときにも一度お話をいただいて。雪のシーンがあって撮影は二月だと言われたんだけど、ちょうど舞台が入っていたのでお断りしたんです。女池さん*2とは電話でしか喋ったことがなかったんだけど面識はあって、その後にちゃんと事務所を通してオファーがきて、「今度はコメディですか?」みたいな。
*2:女池充監督。2005年に『花井さちこの華麗な生涯』『ビタースイート』が連続公開され、ポレポレ東中野でピンク映画が上映される先駆けとなる。
▼関西人ならでは
―『草叢』では、夫の浮気や年下の男性との逢瀬を重ねながらも何喰わぬ顔で日常を送る人妻役です。本心のわかりにくいキャラクターや作品の世界はすぐに理解できましたか?
速水:あれはね、関西人でないとわからないと思う。私はわかるのよ。*3関西人は悲しいときに笑ってるの。上手く言えないんだけど、喜怒哀楽が激しいし、悲しんでる姿をあんまり他人に見せない。…このあいだ目の前で交通事故を目撃したんだけど、涙は出ないんですよ、そのときって。とにかく「どうすんの?どうすんの?」と言ってて。(被害者の)手をずっと握ってたんだけど、明らかに死んでるのにまだあったかいの。そのうち死後硬直が始まって動かなくなったの。動かなくなって初めてぼろぼろ涙が出てきた。東京の人がどこで泣くのかはわからないけど。
*3:速水さんは大阪出身。
ここで、『草叢』で速水さんと共演した俳優の吉岡睦雄さん*4、城定秀夫監督*5が偶然にも来店。当然のごとくお二人にもゲストに加わっていただくことに。
*4:吉岡睦雄。『したがる先生 濡れて教えて』('02/監:いまおかしんじ)でデビュー。2005年ピンク大賞ベスト10、男優賞受賞。今回の特集上映でも8本のうち4本に出演するなど人気急上昇中(?)。
*5:城定秀夫監督。2003年『味見したい人妻たち』でピンク大賞ベスト10第三位、新人監督賞受賞。近作にVシネマ「くりいむレモン 夢のあとに」など。吉岡睦雄の出演作も数多く演出。
―堀(禎一)監督との仕事はいかがでしたか?
速水:最初は別の脚本を渡されたんだけど、そのあとで『草叢』のを読ませてもらったらこっちのほうが全然よかったからそう言ったのね。
―どんなところがよかったですか?
速水:情緒のあるところですね。でも第一稿は結末が(完成版とは)違ってて、私と吉岡君が一緒に逃げるの。
―観ていて(ラストは)ひょっとして二人で逃げるのかな、と思いました。
吉岡:あと、(伊藤)猛さん*6が坊主になって、(速水さんに)「きらい、じゃないよ」*7って言うの。
*6:伊藤猛。佐藤寿保監督、瀬々敬久監督などの数々の作品に出演しているピンク映画界のベテラン俳優。
*7:『きらい、じゃないよ』('91)…『スローなブギにしてくれ』('81)などの脚本家・内田栄一が60歳にして初めて監督した8ミリ映画。伊藤猛さんは同作品に主演。
速水:完成版のラストはまた破天荒だよね、違う編集にしてくれて。でも初号を観たときに「え、ここで終わり?」って思ったよね?(ラストの変更を事前に)聞いてた?私は聞いてなかったな。
吉岡:僕は(助監督の)一平さんから初号の前に電話をもらって「吉岡さん、あんなに頑張りましたけど、ラスト切られました…」みたいなことを言われました。
速水:だって伊藤さんなんか坊主にした*8のに映ってないでしょ。
*8:劇中で浮気相手と別れて帰ってきた伊藤さんに、速水さんが「坊主にして」と言うシーンがある。
―吉岡さんとの共演は?
速水:面白かった…面白かったよ(笑)。
吉岡:……。
城定:現場で暗いんですよ。
速水:そう、現場で暗いの。私も控え室では寝る、という感じで。
吉岡:でも先輩の女優さんで控え室で寝てくれる人ってすごいありがたいんですよ。
速水:いつだっけなあ、吉岡君が「いやー(相手が)速水さんでよかったですよー」って言ってくれるわけ。で、「え、そうなの?ありがとう!」と思ったら「控え室であんなに寝てくれる楽な女優さんいませんでしたよ」だって。ひどくない?
城定:気つかうんだよね。
吉岡:そうそう、気つかっちゃうじゃないですか。最初から仲良ければ大丈夫ですけど初対面とかだと…(控え室で)眠いんだけど、相手は先輩だしどうしようーと思ってたら(速水さんが)ガー寝てくれて。
速水:すごい眠かったよね(笑)。
吉岡:かなり眠かったですね(笑)。
速水:だって大阪日帰りだったよ、日帰り!
―え!?
▼堀監督、欠席裁判
速水:それも急に決まったの。もう宿もとってあったのに(堀監督が)「いや、明日も天気悪そうだから」って。
吉岡:いや、あのときかっこよかったですよね。淀川を撮る予定だったのに撮らなかったから、猛さんも堀さんに「せっかく大阪まで来たんだし撮れよ撮れよ!」って言ったんです。そしたら堀さんが「いやもう、撮らないんです。僕は決めたんです!」みたいな。それで「おー、かっこいいなー」と思って。あと、堀さんの名言がありまして。あるシーンの撮影前に僕のとこに寄ってきて「ここは、勝負所だ。お前は、一日に一回しか力を出せない役者なんだ。ここが出しどころだ」みたいなことを言われたんですよ。「あー僕(一日に)一回しか出してないですかー?」って聞いたら「いや、一回ぐらいでいいんだよ。速水さんだって、二回ぐらいだよ」と言ってました(笑)。自分的にはね、十回ぐらいは出してるつもりなんですけど…。
―それで大阪ロケなのに、いわゆる大阪らしい光景がほとんど出てこないんですね。
▼ピンクは真面目
―速水さんから見た吉岡さんの魅力とは?
速水:吉岡君の魅力ですか?まったくないですね!
吉岡:……。
速水:ダメダメじゃーん、みたいな。
吉岡:一応なんか俺もいいとこありますよ…
―敢えて言うとしたら?
吉岡:うん、敢えて敢えて(笑)。
速水:クソ真面目(笑)。芝居に対してね。普段は真面目じゃないけど。
城定:うん、偉いよ。
速水:伊藤(猛)さんもそうなんですよ。みんな真面目だなーと思って。
▼ちょっといい話
吉岡:朝に撮影が終わって、またお昼に渋谷で集合というときがあったんです。雨が降ってたんですけど、向こうから黒いサングラスをかけた男の人が傘をさして、その下に女の人がいて“マネージャーと女優”らしく歩いて来るのが見えたんですよ。誰かと思ったら、「あれー速水さん?」みたいな。着いたら男の人はサーッと去っていって、速水さんは「おはよう」という感じで。もう呆然として、「こわい人やー」と思った。
速水:その前の日に大阪の撮影から帰ってきて、私もけっこう役に入っていたので「今は吉岡に夢中なの!」みたいな感じだったの。そしたら(彼が)拗ねちゃって。彼は仕事してるから会う時間もなくて「じゃあ渋谷まで送らせてくれ」と電話があって。でもすごく嬉しかったのは、(『草叢』の)初号試写を一緒に観たんだけど、その前に大げんかしてて、店があるから打ち上げにも行くなと言われてたの。そうしたら打ち上げ会場に行く前に彼が手を握ってきて「今までの映画の中で一番よかったよ」って言ってくれたの!そこで「打ち上げ行ってもいい?」って聞いたら「主役だからな」って。
吉岡:なんか、途中からサムイ話に…
―いえ、いい話です。(きっぱり)
吉岡:う…。あ、俺、「あんたのそういうところ好きやー!」っていうシーンはよく覚えてますね。
速水:私もすごい好きな台詞があったんだけどな…「拗ねて可愛い歳でもない」。
▼ピンク映画にひと言
速水:くさいんだけど(笑)、ほんとに熱いなあって。『花井さちこの華麗な生涯』の現場のときも「まあ、ピンク映画でしょう?」みたいなノリで入ったら、女池さんが「役のイメージはこうこうこうで…」とちゃんと説明してくれて、演技をつけてくれて。これだけ一生懸命作ってるんだからできるだけ色んな人に観てほしいし、もっと観やすい環境になればいいと思う。だからこういう特集上映は嬉しいですね。
幻のラストや撮影の裏話などまだまだ面白いエピソードがたくさん出てきそうでしたが、今回はこのへんで。『草叢』は上映作の中でも日活ロマンポルノの系譜に属するような正統派のドラマです。残念ながら画面には映っていない淀川や大阪の気配が思わぬところで見つかるかも。速水さんのお店にもぜひ足を運んでみてください、話の続きが聞けるかもしれません。
(インタビュー・文:那須千里)
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「夢二(別館)」
住所:新宿区歌舞伎町1-1-10 ゴールデン街
TEL:03-3209-3471
営業時間:午後8時〜午前2時
*お店のサイトでは速水さんの日記も読めます!
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突然ですが、今日から「R18 LOVE CINEMA HOWCASE Vol.1」のリレーインタビューが始まります。全8本のラインナップをより楽しんでいただくため、監督やキャストの皆さんにピンク映画の魅力を語っていただきます。20日の初日までリレー形式で順次お届けしていきます。記念すべき第一回目は、チラシや予告篇にも出演されている、今回のイメージキャラクターともいうべき女優の佐々木ユメカさんからスタートです!

■佐々木ユメカ:『団地の奥さん、同窓会へ行く』『草叢』(Aプロ)/『痙攣』(Dプロ)
―予告篇*1の撮影はいかがでしたか?
ユメカ:すごく自然な雰囲気で、気負わずにラフでいいんだーと思いました。仕上がりを見たときはもっとポップな感じかと思ってたら、しっとりとした感じだったのがちょっと意外でしたね。
*1:松江哲明(監督)、カンパニー松尾(撮影)による映像は、ヒールで颯爽と街を歩く仕事帰りのOLをイメージして作られたもの。会場であるポレポレ東中野への行き方がよくわかる、ということでも密かに評判になっています。
―今回の特集上映についてどう思いますか?
ユメカ:(ピンク映画館以外で作品が上映されるのは)初めてじゃないんだけど、オールナイト上映とかやると、意外に女の子が来るんだなーと思う。地方に住む同級生がWOWOWとかで観て「ユメカ出てたねー」と言ってくれるんだけど、ピンク映画のつもりで観てないんですよ。普通の映画を観る感覚なんです。だからピンク専門館だと女性はやっぱり行きにくいけど、こういう(一般劇場での)特集上映はいいきっかけになるんじゃないかな。
―ピンク映画に出演したきっかけは?
ユメカ:Vシネの仕事をずっとやってたんですけど、獅子プロ*2で面接を受けて…最初が(いまおかしんじ監督の)『デメキング』だったんです。現場に行ってみたら金髪のオヤジ*3がいるから、まさかこの人ではないだろうと思っていたらそれが監督だった(笑)。共演者の川瀬(陽太)くんから「君は、ピンク映画は初めて?」と聞かれて、「ああ、これってピンク映画だったんだ!」と気づいたぐらいで。現場に入ってみたらフィルムはガラガラ回ってるし、なんか今までとは様子が違うなーと。
*2:ピンク映画の製作プロダクション。滝田洋二郎、いまおかしんじ、田尻裕司らを輩出する。
*3:当時、いまおか監督は金髪だった。
―ピンク映画とそれ以外の現場の違いとは?
ユメカ:やっぱり映画を撮ってるんだなという感覚が一番ありましたね。雰囲気なのか、監督や役者さんの心持ちなのかはよくわからないけど。VシネだったらNGひとつにしてもまあもう一回やればいっかーというノリだったのが、絶対に失敗できないーみたいな。だから余計にNGを出してしまったり。演じる上では、芝居をしているということに関しては変わりませんけどね。
▼『団地の奥さん、同窓会へ行く』(サトウトシキ監督)
ユメカ:(キャラクターとしては)こんな嫁であればいいなという意味で共感できましたね。あとは靴のヒールにぽとんと雨のしずくが落ちてくるところが映像として鮮明に残ってます。(ビデオパッケージも足のアップになっている)テーマはあそこじゃないかと。
―トシキ組の撮影は過酷だと聞きますが?
ユメカ:トシキさんとは何回かやってたんですけど、いわゆる主演というのは初めてで。川ちゃん(川瀬陽太)*4とも夫婦役は初めてで。ちょうどこのチラシのカットに映ってるシーンは一連の芝居が全部ワンカットだったんですよ。台詞も多いしワンカメ長回しで4分ぎりぎり。だからワンシーンの撮影に12時間かかりましたもん。テイクだけで言ったら何十回とやってますよ。だんだん集中力もきれてきて「私のせいでみんなが寝られてない!」と思うともう自分も真っ青で(笑)。
*4:川瀬陽太。ピンク映画界を代表する男優のひとり。『たまもの』(いまおかしんじ監督)、 『言い出しかねて』(後藤大輔監督)にも出演。
―これだけ粘るのはやはり他の組ではないことですか?
ユメカ:んーまあ多分(トシキさんが)一番粘られるかなという感じ。という意味では──粘るっていうよりは意思が強いというのか意地が悪いというのか──こだわるのは女池さん(笑)。すごいいい意味でなんですけど。自分の軸がしっかりしてるから、好きなことをさせるがためにどうしてもずれていくというか。
―同窓会でいきなり絡みが始まるシーンはかなりおかしかったです。
ユメカ:あり得ないなと思いましたね。超真面目なのとギャグをやってるののコントラストがすごくて。
―大真面目にギャグをやってるという感じですよね。「止めてよ!」と嫌がっているけど、もっと本気で抵抗すればできるだろう!と。あの芝居はけっこう難しかったのでは?
ユメカ:そうですね、あそこも結構何度も繰り返しやってて。机の上に倒されるというので割と何回も身体を打ってるからだんだんアザになってきて、衣装ものびてきて。ブラジャーなんかあまりに引っ張られすぎて「ブラジャーの機能果たしてないだろう!」と。
▼『痙攣』(田尻裕司監督)
ユメカ:普段ピンクではリハーサルはしないんですけど、このときは田尻さん*5から申し出があって、四日間みっちりやりました、稽古場借りて。
*5:田尻裕司監督。『OLの愛汁 ラブジュース』をはじめ叙情的な作風で女性からの人気も高い。2005年『孕み-HARAMI-白い恐怖』で一般映画デビュー。
―田尻監督はどのような人ですか?
ユメカ:田尻さんはすごく気持ちよくさせてくれる監督!褒めるし、何より気を使ってくれるし。私もわりと男っぽいから撮影の合間とかに現場で裸で放っておかれてもまあ大丈夫ですよーって感じなんだけど、「そんなのは絶対よくない!」と上着をかけてくれたり。絡みのシーンについては『眩暈』*6より具体的な指示がありましたね。「ちょっと僕がやるから」って言って自分でやってみせてくれたり。
*6:『不倫する人妻 眩暈』(2002年公開)。田尻裕司監督、佐々木ユメカ主演。
―町田ひらくさんの漫画が出てくるんですよね。
ユメカ:あー、「地震がきたら本棚が…」*7とか言ってたような。
*7:田尻監督は漫画好き。『かえるのうた』(いまおかしんじ監督)のきょうこ(平沢里菜子)の部屋に出てくる漫画は全部「田尻文庫」だそう。
―『団地の奥さん、同窓会へ行く』『痙攣』は主演、『草叢』は助演での出演ですが?
ユメカ:これはもう個人的なことなんですけど、堀(禎一)*8さんのにはうちの妹*9も出てたから「妹がお世話になったなー」みたいな。あとこの前いまおか監督の最新作(『おじさん天国』)にもちょっと出たんですけど、現場がすごくイカ臭かった(笑)。「お前もとうとうこの域まできたか」とか言われたんですけど…いまおか監督、次は普通の人間の役でよろしくお願いします!
*8:堀禎一監督。今回は『草叢』が上映される。佐々木日記さんの出演作は『宙ぶらりん(=SEX配達人 おんな届けます)』('03)。
*9:佐々木日記。ユメカさんの実妹。『手錠』('02/サトウトシキ監督)などに出演。
―女性から見たピンク映画の魅力とは?
ユメカ:最初はやっぱり抵抗があるかもしれないけど、観てしまえば「なーんだ」みたいな。ピンク映画だから濡れ場がついてくるのは当然だけど、予算も時間の制限も厳しい中でいかにしんどい条件でやっているか、というのが逆に面白かったりするんじゃないかな。楽しめる要素はいっぱいあるので、これで間口が広がればいいなーと思います。
―女性だからこそ、他の女の人の裸や絡みを観たいっていうのもあると思うんですよね。もちろんそれだけではないけれども、逆にそれを自然に堂々と観に行ける環境づくりという意味でもいいかなと。「フィールヤング」*11などの女性コミック誌を女の人が読むような感覚じゃないでしょうか。
ユメカ:その映画版みたいな、ね。
*11:祥伝社の女性向けコミック雑誌。これまでの執筆陣に安野モヨコ、岡崎京子、楠本まきなど。
もともとは男性向けに作られていたピンク映画ですが、最近では女性を主役に、美しく撮ろうとしているものがたくさん見られます。恋愛と性の切っても切れない関係、男女がつきあっていく上では当たり前のことをジャンルとして描けるのはピンク映画ならでは。男性の監督による女性観がリアルに感じられるところも注目です。次回もお楽しみに!
(インタビュー・構成:那須千里)| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
いよいよ完成のいまおか組・「おじさん天国」=「絶倫絶女」ですが、5/12(金)〜22(月) に早くも新宿国際名画座で封切られます。我慢ならん!待てん!という方は是非劇場へ駆け付けましょう!
さて、刻々と迫るR18 LOVE CINEMA SHOWCASE@ポレポレ東中野ですが、追加ゲストが続々決まっております。
5/20(土) サトウトシキ監督、佐々木ユメカ(女優)、堀禎一監督、速水今日子(女優) +川瀬陽太(俳優)、伊藤猛(俳優)
5/26(金) 田尻裕司監督、平沢里菜子(女優)、友松直之監督、北川明花(女優) +吉岡睦雄(俳優)、華沢レモン(女優)
5/27(土) 坂本礼監督、夏目今日子(女優)、いまおかしんじ監督、吉岡睦雄(俳優) +石川裕一(俳優)
6/2(金) 田尻裕司監督、佐々木ユメカ(女優)、後藤大輔監督、向夏(女優) +望月梨央(女優)、川瀬陽太(俳優)
*全て上映前21:00より行います。スケジュールの都合によっては、一部のゲストが変更になる可能性があります。ご了承ください…そしてまだまだ当日までに飛び入り参加もあるかもしれません。ご期待ください!
ちなみに5月に入りましたら、このブログで某インタビュー企画がスタートします。こちらもお楽しみに…!
ぱぱんが、ぱん。
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ようやく来場ゲストの告知ができるようになりました。下記にお知らせ致します。
5/20(土) サトウトシキ監督、佐々木ユメカ(女優)、堀禎一監督、速水今日子(女優)
5/26(金) 田尻裕司監督、平沢里菜子(女優)、友松直之監督、北川明花(女優)
5/27(土) 坂本礼監督、夏目今日子(女優)、いまおかしんじ監督、吉岡睦雄(俳優)
6/2(金) 田尻裕司監督、佐々木ユメカ(女優)、後藤大輔監督、向夏(女優)
*全て上映前21:00より行います。スケジュールの都合によっては、一部のゲストが変更になる可能性があります。ご了承ください。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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ポレポレ東中野・公式サイトでもついに上映ラインナップがアップされました。改めて御チェックください。何度見ても篠崎真紀さん、向夏さんの2人のコメントは女性ならではで素敵ですね。2人とも語尾が「だ」で断言してるのが清々しい・・・(遠い目)
また、先日お伝えした通り、「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE」の前売り鑑賞券(全プログラム共通、1000円)も発売しました。→チケットぴあでのご購入はこちら。
ちなみに下記劇場でもお求めになれます。
●シネセゾン渋谷 ●ユーロスペース ●シアターN ●シネマ・アンジェリカ ●イメージフォーラム ●渋谷シネラセット ●シネアミューズ (以上、渋谷)●テアトルタイムズスクエア ●テアトル新宿 (以上、新宿)●シネマアートン下北沢 ●トリウッド (以上、下北沢)
当日券は一般(ていうか男性)=1400円、女性=1200円ですので、当然ながら前売り券をオススメします。観れば観る程お得です。
そんなこんなで公開まで1ヶ月を切りました。皆様のご来場、心よりお待ちしております。
ぱぱんが、ぱん。
*写真は、5/30(火)〜6/2(金)に上映のDプロ「言い出しかねて(わいせつステージ 何度もつっこんで)」(監:後藤大輔)より。
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さて、久々に登場のこのタイトル。ポレポレ東中野でのピンク映画レイトショーの口火を切ったあの女池充監督の超大作ピンク、「花井さちこの華麗な生涯」のDVDが今月28日に発売されます。(告知が遅れてすみません!>女池監督)
何でも、中野貴雄監督作の短編「花井さちこの冒険」やらシナリオも再録された分厚〜いブックレットやら、メーカー担当がもうこれ以上勘弁してください、と涙ながらに懇願したという豪華特典に注目とのことです。
ちなみに次月は「ビタースイート」も連続発売されます!(あ、予約始まってますね)合わせてご期待ください。ぱぱんが、ぱん。
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本日はガンダーラ映画祭@ロフトプラスワンでした。いまおか監督の「南の島にダイオウイカを釣りに行く」他山下敦弘監督、松江哲明監督、主催でもあるしまだゆきやす監督らの作品の上映とトーク。秘蔵映像と合わせて盛り上がりました。トークでは「ダイオウイカ〜」と新作「おじさん天国」(=5月からの成人映画館公開題は「絶倫 絶女」だそうです)の深い関係についての話が徐に飛び出したり、とつとつとしたいまおか節が聞けました。新作の完成は5月上旬。現在絶賛編集中とのこと。ご期待ください!
イベントでは「R18 LOVE CINEA SHOWCASE VOL.1」&「かえるのうた」(こちらは8月にDVD発売です!)の予告編上映もして頂きました。
前売りチケットも販売開始され(近々販売先をアップします)、ゲストもほぼ確定してきました。こちらも追って詳細アップ致します!引き続き宜しくお願いします!
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いまおか監督不在の中、ベスト1作品「かえるのうた」関係では男優賞の吉岡睦雄さん、新人女優賞・平沢里菜子さん、女優賞の向夏さん、プロデューサーの佐藤さんらが授賞式に参加しました。いやーめでたい。そして昨年亡くなった林由美香さんも特別賞を受賞。お母さま・冨美代さんのスピーチに会場は一瞬悲しみに包まれましたが、あの場所で追悼の意を表明することはとても意義があったと思います。
今度のポレポレのレイトショーでも上記の俳優陣が総出演してます。中でも最も多くスクリーンに現れるのは、女優陣を抑え、吉岡睦雄さん。「草叢」「ヒモのひろし」「ふ・た・ま・た」「たまもの」と4作品に登場します。ピンク大賞でもビミョーなセンスで会場をドッと湧かせた旬の男にご注目ください。
そんなわけで写真は吉岡…さんではなく何故か向夏(こなつ)さん。(いや、単に当日バタバタでこれしか写真が撮れていないのでした) とにかく向夏さんを始め、受賞者の皆さん、おめでとうございました!ゲロゲーロ。
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・・・さてとポレポレの公開まで1ヶ月近くなってきました。何故か今頃になってアクセス数が増えてて。何も書いてないのに焦る日々です。明日はピンク大賞@新文芸坐でオールナイトなので、それが終わったらちょっといろいろネタを考えようと思います。もうしばしお待ちください。ポレポレ東中野の公式サイトの方にも情報が近々アップされますので、そちらも平行してご確認頂ければ幸いです。
いまおか組「おじさん天国」は2泊3日の撮影に入っているようですね。
そういえば20日の夜にもガンダーラ映画祭@ロフトプラスワンというイベントがありまして、そこでもいまおか監督の「南の島にダイオウイカを釣りに行く」が上映されます。
そんなこんなで。ピンク大賞&R18LCSCとおじさん天国の成功を祈って。
ぱぱんが、ぱん。
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R18 LOVE CINEMA SHOWCASEの予告編が一足先にWEBで観られるようになりました。→こちらをクリック。
(*Windows Media Player対応)
以前もお知らせしたように、監督:松江哲明×撮影:カンパニー松尾×出演:佐々木ユメカによる異色コラボで作られた本予告編。ビビッドな味わいをご堪能ください。
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■松江監督による「R18〜」の予告編がほぼ完成しました。(早い!)何と言いますか、映像がミョーにヴィヴィッドです(笑)。「東中野」が「青山」に見えてくるカンパニー松尾のカメラワークにもご期待ください。来週中には観れるようになるかな?
■先日、上野オークラにて渡辺元嗣監督の新作を観てきましたが、女優・藍山みなみさんが出演していました。これがまたエロい。いや、ただエロい映像ならばAVだろうと思うでしょうが、彼女の場合、即物的に見せるAVよりもむしろ、ピンク映画のような情感を伴う描写の方がむしろエロいような気がしてなりません。2003年のピンク大賞ベスト1作品「猥褻ネット集団 いかせて!!」(監:上野俊哉)でデビューした彼女ですが、すっかり映画を支える実力派女優さんになってますね。
■今回の「R18〜」でも、5/24(水)〜26(金)のBプロ「ヒモのひろし(=SEXマシン 卑猥な季節)」(監:田尻裕司)と5/27(土)〜29(月)のCプロ「ふ・た・ま・た」(監:坂本礼)と2本に出演。双方とも登場人物はもちろん観る側もホンローしてくれるでしょう。そこらへんも大いにご期待ください。
*写真は「ふ・た・ま・た」の1シーン。右が藍山みなみさん。左が共演の夏目今日子さんです。
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今年ももう4月。来週末の15日に、毎年恒例の第18回ピンク大賞が開催されます。前回は今度の特集上映でも上映される「たまもの」が作品賞(ベスト10・第1位)、監督賞(いまおかしんじ)、女優賞(林由美香)、新人女優賞(華沢レモン)を受賞したわけですが、何と今年もいまおか監督の「かえるのうた=援助交際物語 したがるオンナたち」が作品賞(ベスト10・第1位)と女優賞(向夏)、男優賞(吉岡睦雄)、新人女優賞(平沢里菜子)とまたしても4冠なんですね。
そして、昨年惜しくも急逝された女優・林由美香さんが長年授賞式のプレゼンターを努め、前回の同授賞式では12年ぶりの女優賞して感激していた事も皆さんの記憶に新しいかと思われます。スケジュール等は既に告知済みですが、同イベントを、そしてピンク映画自体を支えて来てくれた林由美香さんへのリスペクトを重んじたラインナップに変更になりました。ご確認ください。
22:30〜23:45 表彰式
※特別賞の林由美香さん表彰にあたり、特別映像を上映予定
0:00〜1:05 ミスピーチ 巨乳は桃の甘み+林由美香メモリアル・メイキング映像(監:吉行由実)
1:15〜2:20 援助交際物語 したがるオンナたち(監:いまおかしんじ)
2:30〜3:30 欲情ヒッチハイク 求めた人妻(監:竹洞哲也)
3:40〜4:45 わいせつステージ 何度もつっこんで(監:後藤大輔)
4:55〜5:55 人妻を濡らす蛇 SM至極編(監:池島ゆたか)
→|詳細はこちら
躍動する林由美香さんをもう一度、そしてもちろん「かえるのうた」他受賞作品を、新文芸坐の大スクリーンでご堪能ください。もちろん上記の個人賞受賞者はもちろん関係者が多数来場する年に一度のピンク映画総決算。皆様のご来場、心よりお待ちしております。(写真は前回の授賞式の林由美香さんです)
そしてその頃新作の撮影に突入しているベスト1監督・いまおか監督は果たして来場できるのか?そのへんもスリリングな感じで。ご期待ください。ぱぱんが、ぱん。
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本日は「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE」の予告編の撮影でした。ディレクションはもちろん今までに「花井さちこの華麗な生涯」や「かえるのうた」など数々の傑作予告編(ていうかもう「短編作品」ね、あのへんは)などを手がけ、自身のドキュメンタリー映画「セキ☆ララ」も6/3〜シネマアートン下北沢で公開とあって現在ゼッコーチョーの松江哲明監督。そしてチラシのメインビジュアルにもなっている佐々木ユメカさんが出演、そして何とAV監督・カンパニー松尾さんが撮影(!)という異色コラボが実現。夜の新宿で撮影は始まりました。夜の街を颯爽と歩くユメカさんは「トーキョー×エロティカ」を思い出させ、何とも流麗な手さばきでカメラを手に人ごみをするするすり抜けていくカンパニー松尾さんがまたカッコ良かった。松尾さん、「いつもはAVだからビクビクしながら撮影してるけど、今日は堂々と撮れるなぁ」と汗かいてニコニコ。横で松江さんもユメカさんもニコニコ。皆さん楽しく撮影できたみたいで何よりでした。さてとどんな予告編になってるでしょうか。出来次第、WEB上にもアップします。どーぞお楽しみに。ぱぱんが、ぱん。
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ポレポレの特集上映の話題とはちと逸れますが、1つピンクな話題を。実は2005年のピンク映画は新人監督が対象無し!!!!!んがー!!!!!…という事態に陥ってたりしたんですが、本年度は無事、新東宝映画から監督がデビューしました。その名は田中康文監督。「裸の三姉妹 淫交」、3/31(金)〜4/10(月)新宿国際名画座にて公開中です。デビュー作ともあって、キャストも豪華!是非御チェックください。
さて、花見シーズンも佳境?週も明けて、ようやくピンクでポレポレなチラシが刷り上がります。皆様どうぞ宜しくです。ぱぱんが、ぱん。
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皆様はじめまして。「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE」を企画しました、SPOTTED PRODUCTIONSの直井です。5月20日〜6月2日の2週間、昨年末からの連続レイトショー、「花井さちこの華麗な生涯」「ビタースイート」(共に女池充)、「かえるのうた」(いまおかしんじ)が好評を博したポレポレ東中野にて、改めてピンク映画の特集上映が開催されることになりました。第一弾となる今回は、先に挙げた作品を始め今や最も一般映画との境界線が薄くなった国映・新東宝作品から、2004-2005年にかけて発表された近年の代表作を厳選。2本立て、もちろん35mmフィルムで鑑賞できる貴重なチャンスです。この機会に1本でも多くの「体験」と「発見」をして頂けたら幸いです。
以下、上映ラインナップ及びスケジュールです。
5.20.(土)〜5.23.(火) 21:00〜
Aプログラム:恋する団地妻
「団地の奥さん、同窓会へ行く」
2004|監督:サトウトシキ|脚本:小林政広|出演:佐々木ユメカ,川瀬陽太,向井新悟,風間今日子 他
「草 叢」(成人館公開タイトル:不倫団地 悲しいイロやねん)
2005|監督:堀禎一|脚本:尾上史高|出演:速水今日子,吉岡睦雄,伊藤猛,森田りこ 他
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5月24日(水)〜26日(金)21:00〜
Bプログラム:オタクとヒモの愛し方。
「悶絶!!電車男」(成人館公開タイトル:痴漢電車 挑発する淫ら尻)
2005|監督:友松直之|脚本:大河原ちさと|出演:北川明花,武田勝晴,北川絵美,華沢レモン 他
2005年度ピンク大賞ベスト10・第3位/映画秘宝誌上ベスト10・第1位
「ヒモのひろし」(成人館公開タイトル:SEXマシン 卑猥な季節)
2004|監督:田尻裕司|脚本:守屋文雄|出演:吉岡睦雄,平沢里菜子,藍山みなみ,佐野和宏 他
2004年度シナリオ大賞入選作品
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5月27日(土)〜29日(月)21:00〜
Cプログラム:不器用で歪な、男と女。
「ふ・た・ま・た」(成人館公開タイトル:悶絶ふたまた 流れ出る愛液)
2005|監督:坂本礼|脚本:尾上史高|出演:夏目今日子,藍山みなみ,石川祐一,佐野和宏 他
「たまもの」(成人館公開タイトル:熟女・発情・タマしゃぶり)
2004年度ピンク大賞ベスト10・第1位,監督賞(いまおかしんじ),女優賞(林由美香),新人女優賞(華沢レモン)
2004|監督・脚本:いまおかしんじ|出演:林由美香、吉岡睦雄、華沢レモン,栗原良
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5月30日(火)〜6月2日(金)21:00〜
Dプログラム:強く生きる、ということ。
「痙攣」(成人館公開タイトル:淫らな唇 痙攣)
2004|監督:田尻裕司|脚本:芳田秀明|出演:佐々木ユメカ,真田幹也,北の国,堀正彦,大葉ふゆ
2004年度ピンク大賞ベスト10・第3位,女優賞(佐々木ユメカ)
「言い出しかねて」(成人館公開タイトル:わいせつステージ 何度もつっこんで)
2005|監督・脚本:後藤大輔|出演:向夏、小滝正太,川瀬陽太,望月梨央,森田りこ,狩野千秋
2005年度ピンク大賞ベスト10・第2位,女優賞(向夏)
【料金】当日一般(二本立て)1400円/女性割引:1200円/前売り券:1000円
*5/20、5/26、5/27、6/2は上映前に監督・キャストによる舞台挨拶有り。
そんなわけで、新作を鋭意製作中のいまおかしんじ監督の「いまおか日記」と並走しつつイベント情報などをお知らせしてゆきます。上映終了まで生暖かい目でお見守りください。
ぱぱんが、ぱん。
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