« 2006年5月7日 - 2006年5月13日 | トップページ | 2006年5月21日 - 2006年5月27日 »

2006年5月14日 - 2006年5月20日

2006年5月20日 (土)

R18リレーインタビューVOL.5 【平沢里菜子・向夏・華沢レモン編】

Ts320042001001

R18映画は女優が命。今回は、平沢里菜子さん(『かえるのうた』いまおかしんじ監督、『ヒモのひろし』田尻裕司監督)、向夏さん(『ビタースイート』女池充監督、『言い出しかねて』後藤大輔監督)、華沢レモンさん(『たまもの』いまおかしんじ監督、『悶絶!!電車男』友松直之監督)といったフレッシュな新進女優陣にお集まりいただき、女の子だけの本音トークをしていただきました!

平沢さん、向夏さんはちょうどこの取材日の一年前がクランクインだったというご存知『かえるのうた』コンビ。向夏さん、華沢さんは本年度のピンク大賞・女優賞を同時受賞した縁。

現代女性の生き方を映画監督たちとともに表現してきた彼女たちは、ピンク映画をどう見ているのでしょうか?

▼Bプログラム『ヒモのヒロシ』『悶絶!電車男』/Cプログラム『たまもの』/Dプログラム『言い出しかねて』

-平沢さんは今回Bプログラムで上映される『ヒモのひろし』のヒロイン、というかマドンナ的なキャラクターを演じていますね。

Himonohirasawa

平沢「田尻さんには、若いときの倍賞美津子さんのような下町の男の人たちに好かれる感じの女の子だ、と言われたんです。でも倍賞さんが演じていたようなマドンナ役って結構感情の起伏が激しいというか笑ったり怒ったり表情豊かですよね。私が演じたハルカというのはあまり感情を顔に出さないクールな女の子で、私自身彼女がどういう感情でいるのかさぐりながら演じていたので難しかったです。なんで太鼓を抱えてるのかも含めて(笑)」

-田尻さんとお仕事した感想は?

平沢「現場ではすごく怖かったですよー!…なんていったら怒られちゃいますねぇ。うーん、なんていうか、監督の頭の中では撮りたいものがきっちり決まっているんですよ。いまおか(しんじ)さんは、怒ってみたり、沈んでみたり、おちゃらけてみたり、ひとつのシーンでもパターンをいくつか試してみてから決めていく感じなんですけど、田尻さんは演技のパターンを役者が試すよりも監督のなかで出来上がってて、それに演じていく側が沿わせていくタイプだと思います。」

タイトルロールを男優さんが演じているのも珍しいですよね。ヒロシ役の吉岡睦雄さんは今回の上映される8作品中3作品に出演している若手ピンク男優のホープですが、みなさん一度は共演されていますよね?

(お互い顔を見合わせ、なぜだか一同爆笑)

華沢:(ぼそっと)「変な人…!」

向夏:「いろんな作品に出過ぎ?」

平沢:「でもやっぱりダメ男が一番似合う!誰にでも愛されるキャラクターを持った方だと思いますよ。」

(そしてなぜか再び一同爆笑)

-向夏さんの『言い出しかねて』も、『ヒモのひろし』とはまた別の意味で奇抜な作品ですね。

向夏「目が見えないからって好きな人を取り違えて恋愛するなんて、普通はありえないですよね。でもそれを通り越して登場人物たちが一生懸命だから見てるとぐっとくるというか…。健気なんですよね。」

監督の後藤大輔さんはどんな方ですか?

「私がいままでお仕事してきた他の監督さんの中で、役者になにを求めているのかっていうのが一番わかりやすかったんです。でも監督は妙に自信がない感じでおっしゃるんですけど。」

-目が見えない少女というのも難役でしたね。

向夏:「よくやりましたよね~(遠い目)。撮影中はちょっと身体の感覚がおかしくなりました。演技していない時でも、見えているものを見えないフリをしてしまったり。けっこう役に入っちゃってましたから。」

-この作品で共演されてる川瀬陽太さんも男優としてピンク映画界のキーパーソンになっている方ですよね。

向夏「でもね、いつも酔うとぐだぐだになってるんですよ。実は昨日も一緒に飲んでました。撮影中はすごくやさしくて、助監督みたいに気を使ってくださるんですよ。」

-華沢さんはピンク映画デビュー作でもあるCプログラムの『たまもの』と、Bプログラムの友松直之監督の『悶絶!電車男』で自殺して幽霊になった彼氏と再会する女子高生役ですね。

華沢「友松監督もかなり個性的な方なので現場は楽しかったです。女子高生役なので制服を着ているのが恥ずかしいんですけど…。自分的には女子高生はもう限界かなって思っているんですけど、なぜか制服着る役が多いんですよ。」

『たまもの』ではかの林由美香さんとひとりの男性を取り合う役でその年のピンク大賞の新人女優賞を受賞しましたね。

華沢「はじめてのピンク映画だったので、すっごく緊張しました!しかも由美香さんとでしたし。同じ部屋に泊ったんですが「私こんな悩んだ作品はじめて…」と由美香さんがずっとお酒を飲みながら苦悩されていたのが印象的でした。うまく言えないんですけど「わあ、本物の女優さんだ!」とはっきり思いました。最初の作品で由美香さんと共演できたっていうのは緊張したけど、すごく刺激になりました。わたしも頑張らなくっちゃ!って思いましたよ。」

▼いまおか組ってさぁ・・・

『たまもの』はかなりリテイクを重ねたと聞きました。平沢さん、向夏さんも『かえるのうた』でいまおか監督のリテイク攻撃は経験済みですか?

向夏「そうですね。いまおかさん、とにかくなにも言ってくれないので。『かえるのうた』でもひとつのシーンを、いろいろ試しながら撮ってましたからね。」

華沢「監督の中ではっきり決まっていない。キャラクターの設定も突然現場で変わりましたから。いきなり「じゃあ、やくざの娘ね!」とか。」

平沢「考えてないみたいですよね。よく「どうすっかな~」って言ってますし。」

向夏「でもすごくいいタイミングを待ってるって感じがします。」

「いいタイミングを待つ…」いまおかさんの釣り人精神があの独特な“いまおか節”を生んでいるのでしょうか(笑)

▼女優からみたピンク映画の内側/外側

ピンク映画の良さってどういうところだと思いますか?

向夏「女の子の恋愛って、普通に彼氏とおしゃべりしたり遊びにいったりする部分と同じくらいラブシーンにあたる部分が重要だと思うんですけど、一般映画ではラブシーン自体そんなに深く描けないじゃないですか。ピンク映画の場合その部分自体がジャンルなのでそういう表現をできるということがすごく強みだと思います。」

平沢「そうですよね、今回の上映みたいに女の人がピンク映画を見れる機会って少ないと思うので私は女の子が観て、どういう感想をもつのかすっごく興味があります。観てくれた人からのメッセージが欲しいです!」

向夏「そうそう、なにも考えないでさらっと観に来てほしいですよね。」

華沢「別に絡みのシーンがある、なし関係なく、すごくストーリーもきっちりしているのでこの機会に観てほしいですよね~。全部の作品観て欲しい(笑)」

ピンクの業界って監督、スタッフ、役者ほとんど顔見知りっていうのが多いですよね?今後一緒にお仕事してみたい方とか、気になる方はいますか?

平沢「私は女池さん!」

向夏「えーっ、やめておいたほうがいいよ!」

平沢「えっ、どうして?『ビタースイート』とか観て一緒にやってみたいなって思いました。」

向夏「私もできるだけ色んな監督とお仕事してみたいとは思ってますけど、田尻作品にはもう一度リベンジしたいなって思います。デビューしたてでお仕事したとき、うまくできなくていまだに気になってるんですよ。だからまたご一緒したいと思ってます。あ、別に使ってくれ!って宣伝してるわけじゃないですけどね(笑)。」

華沢「みなさんプライベートの飲みの席ではよくお会いするんですけど、仕事は一緒にしたことがないってケースが多いんですよ。」

向夏「あー、わかりますわかります!」

華沢「なので、私はそういうケースでは坂本監督の作品に出てみたいなぁ~なんて思いますね。監督として現場でどんな感じなのかなって知りたいです。」

- あと女性の目からみた場合、ピンク映画の公開時のタイトルにはぎょっとするものがありますけど、実際出演されてるみなさんとしてはそのへん率直に言ってどう思ってますか?

平沢「そうですよね~。『かえるのうた』だって公開タイトルは…」

向夏「『援助交際物語 したがるオンナたち』、です!(笑)」

華沢「“巨乳”とか“痴漢列車”とかそういうタイトルがつくのは当然だけど、演じている方でも「うわ!」ってやっぱり思いますよ。あんまりタイトルを人に言えないというか…。」

向夏「内容は全然猥褻な感じでもないけど、そういうタイトルがついているだけで女性はまず見ないですよね。だから今回みたいに改題しての上映っていうのはちゃんと作品の内容に沿ったタイトルだし、それで色んな人が見やすくなると思います。」

平沢「題名だけで先入観をもたれてしまうのは悲しいですからね。監督も役者もみんながんばってて面白い人が多いですよね。」

ピンク映画の面白いところで勝負をつづける3女優の忌憚なきトークいかがだったでしょうか? クールな美貌で一刀両断に発言する平沢里菜子嬢、明るくはきはきとした中に印象的なコメントを残してくれた向夏嬢、キュートで若さゆえの傍若無人さがたまらなかった華沢レモン嬢、三者三様の魅力がうずまく座談会でしたが、やはり彼女たちは女優。それぞれの魅力は是非スクリーンで現認していただきたいです! (インタビュー・文:綿野かおり)

| | コメント (0) | トラックバック (1)

アユ解禁

イサキ食う。めちゃうま。ジョナサン、お仕事。家でパソコン。
「大橋屋」で納豆ソバ食う。レジェンド打ち合わせ。
夜中、いましろさんと待ち合わせ。アユいよいよ解禁です。静岡、興津川へ。
高速どしゃ降り、前が見えない。
夜明け前、興津川到着。雨で激流。呆然。それでも竿を出す。オトリ泳がない。ゴミだらけ。釣りにならん。早々にやめる。
今年初めての鮎釣りは、ボウズでした。二人して、へこたれて帰る。

ダメだったけど、何か楽しかった。川に浸かるとドキドキする。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年5月19日 (金)

萌え萌え

また雨降り。メダカに餌やる。サバ塩焼き食う。まずい。
秋葉原、メイド喫茶巡り。3軒はしご。じゃんけん大会で萌え萌え。場所に浸るのは重要。
新宿、ふらふら。なぜかブルーになる。ジョナサン、気分転換。アユ本読む。
細谷さんらと飲み飲み。関根のアホ話に癒される。深夜、帰る。

しんどい。耐える。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年5月18日 (木)

もうすぐ解禁

二日酔い。納豆そば無理矢理食う。ジョナサン、考え事。マンガ喫茶、ネタ探し。
池袋シアターグリーン、高原さんの芝居「GIRLS HATE PURE love punk」観る。村松さんが出てくるとテンションが高くなる。役者の力ってあるんだなあ。
おねえさん、後藤さん、榎本、田尻、女池、坂本らと飲み。田尻600円しか持ってない。
終電で帰る。アユ本読みつつ寝る。もうすぐ解禁。

瀬々さんの一言は胸に持っておきます。次に繋がりますように。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年5月17日 (水)

瀬々さん

病院、検査。コレステロール下がってる。ホッ。ジョナサン、考え事。サバ塩焼き食う。まずい。
シネマハウト、打ち合わせ。終わって田尻、桜井と居酒屋で飲む。田尻1000円しか持ってない。
「ガイラ」おねえさん、瀬々さん、坂口さんらと飲み。泡盛がぶ飲み。榎本、かよさん合流。飲んだくれる。瀬々さんの一言に泣きそうになる。ごちそうさまでした。
おねえさんとタクシーで帰って、寝る。

瀬々さん、読んでますか。

| | コメント (1) | トラックバック (2)

かえるのうたDVD&ポレポレ・大槻支配人インタビュー

いよいよ今週末からR18 LOVE CINEMA SHOWCASE 、上映スタートです。皆様のご来場、心よりお待ちしております。

001先日は「かえるのうた」DVDのオーディオコメンタリーの収録で販売元の紀伊國屋書店さんに行って来ました。(発売は8月)今回の参加者は出演のお2人・向夏さんと平沢里菜子さん。司会も女性ライター・綿野さんということで監督不在・男子禁制コメンタリーになりました。こわやこわや。そしてこちらで絶賛継続中の「いまおか日記」の一部もブックレットの方に収録されます。ご期待ください!

さて、今回の特集上映に合わせまして、Movie Walker/NIPPON EROTICS plus(9)ポレポレ東中野支配人・大槻貴宏氏インタビューを敢行しましたので是非御一読ください。

それでは、引き続き宜しく御願い致します。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年5月16日 (火)

R18リレーインタビューVOL.4【田尻裕司編】

ひとと違うことをするのは大層難しいことのように思われていますが、実はそうでもありません。要するに、他人とは反対のことをやればよいのです(少なくとも原理的には)。いわゆる逆転の発想というやつです。しかし否定の否定は肯定です。よくないの反対はよくなくない、またその反対はよくなくなくない…というように。その先には一体何があるのでしょうか。そこで今回は、否定から始まる映画づくりについて聞いてみました。講師は第一回目の佐々木ユメカさん、前回の坂本監督&いまおか監督からも熱いエールをいただいた田尻裕司監督です!

Imgp9307 ■田尻裕司:『ヒモのひろし』(Bプロ)/『痙攣』(Dプロ)

▼勝てない

田尻:僕、声小さいんですけど大丈夫ですか?

―大丈夫です。声が小さいと言えば、『痙攣』では囁くような話し声が印象的でしたが、あれは同時録音ですか?

田尻:同録でやってるせいもあるんですけど、(音が小さいのは)技術的な問題もありますね。

―なぜ同時録音でやろうと思ったのですか?

田尻:ひとつはその前に『たまもの』('04/いまおかしんじ監督)があったからです、あれは同録なんですけど。もともと作品によっては昔から同録をやってみたかったというのはあったんです。『ヒモのひろし』なんかはリアリティのない話なのでその必要はないと思うんですけど、そうじゃない場合は同録のほうがいいなあと思っていて。アフレコだとどうしても声が浮いちゃうというか、声は通るんですけど(画面に)馴染まないんですよ。馴染まないことでシーンに継続性を持たせるという効果はあるんですが、セックス・シーンではそうしたくないんです。カットも細かく割ってるんですけど、その切れ目をつけたくないんですね。特にセックス・シーンなんかは生ものだと思っているので、それを同録で撮りたいというのがありますね。

―『たまもの』はセックス・シーンでいわゆる“本番”をやっていますよね?

田尻:『たまもの』をやる前に僕といまおかさんで言い争いをしたんです。僕はやっぱり映画って作りものであるところが素晴らしいと思ってるんで、じゃあ人を殺すシーンを撮影するときに本当に殺すのか、と。それなのになんでセックス・シーンだけ急に本番をやるんだ?と。でもやっぱり観るとショックを受けるんですよね、勝てないなというか。今までずっと観てきたものや自分のやってきたことに対して「勝てない」という。でも、勝てないで終わったんじゃ、なんか…。

―具体的にはどこが一番「勝てない」と思われましたか?

田尻:セックス・シーンです。『たまもの』の一番の魅力は僕はセックス・シーンだと思ってるので。実際の行為だけじゃなくて、触れ合うというか…お互いに話しているときの間だとか、「くっつく」瞬間の女の人の一瞬の息づかいとかはアフレコじゃ絶対に出ないから。だけど負けを認めたんじゃ、もうピンク映画を撮っていけない気がしたんですよ。それは自分のやっていることも全部否定することになっちゃうから。何とかして勝てる方法を探さなきゃいけないと思って、それには要は音なんですよね。音さえなんとかすれば…と思ったんですよね。

―実際に(同録を)やってみていかがでしたか?

田尻:えー…負けましたね。結局、実際に(本番を)やらせるようには僕が息づかいを演出できなかったんです。同録で撮ってるんですけど、やっぱり出ないんですよ、そういうような息にはならなかった。

―それで「勝てなかった」と。

田尻:だーかーら、作品全体じゃなくてセックス・シーンに関してですよ!

―佐々木ユメカさんのインタビューで、『痙攣』ではリハーサルをされたと聞きました。

田尻:それもつまり…勝つには(どうしたらいいか)ということで。方法論としてまともにやったんじゃ勝ち目はないと思ったんで。要はセックス・シーンのリハーサルをやりたかったんですよ。いかにしてあの息を出せるか、ということだったんですよね。それを現場の短い時間でやるのは無理だと思ったんです。で、リハーサルを4日ぐらいやらせてもらって、なお且つ現場でもそこには相当時間をかけましたけど…。

―でも、作品が違えばその中でのセックスの意味合いもまた変わってくるので単純な比較はできないのでは?

田尻:うん、そうなんですけど…息のことと、あともうひとつは、僕はさっきセックスのことを「くっつく」と言いましたけど、くっつくと音が出るんですよ。以前に女性の胸を揉むときの音を作ろうとして色々と効果音を試してみたんですけど、全然ダメで(笑)。だけど音は出るんですよね、頭の中では。特に男と女がつながるときのあの音なんですよね、『たまもの』だといい状態で観ると聞こえますけど。その音がねえ、一生懸命作るんですけどどうしても出せないんですよ。だからといって僕はいまおかさんみたいにやるのは認めないし、今後も別の形で挑戦しようとは思ってますけど。

▼女性を魅力的に                                            

―『痙攣』の佐々木ユメカさんのキャスティングは最初から決まっていたのですか?

田尻:その前に『不倫する人妻 眩暈』('02)という作品をやったときに、そういうふうに撮ったというのもあってユメカは非常に魅力的に見えたんですよ。撮る前は色々あったんですけど、クランク・インするときに「これはもうユメカを撮ろう、それが一番いいに違いない」と思って、やたらめったらユメカの顔ばっかり撮った印象があるんですけど。で、出来上がったものを観るとやっぱり素敵だなあと思うんですよね。だけど、その…僕は色んな映画を観るんですけど、映画の一部しか観てないんですよね。でかいスクリーンがあって、人物の全身が映っててもほとんど顔しか観てないんですよ。周りで何かが起こってても全然そっちのほうに目がいってないんです。だからユメカの顔を撮ろうと思ったときもある程度勝算があってやってたんですけど、なんかこう、出来上がりに自信が持てなくて…。顔が素敵だったら映画も素敵になるだろうというのは、どうも僕の勘違いだったということに気づいたんですね。顔さえよければ映画がいいというんだったら、全体にちょっと波及してなかったなと思って。別の言い方をすると、顔はよかったけど波及が行き届いてなかったなと。

―キャスティングありきの作り方はいかがでしたか?

田尻:僕は(同じ俳優と)二回やるのはあまりよしとしてなくて。「恋してる」というとあれなんですけど、ピンク映画をやるときは女性をどれだけ魅力的に見せられるか、というところだけは外さないようにしようと思って力を入れてるんです。だから二度目より一回目のほうがドキドキ感があるというか。初めての人のほうが、僕が考えていることを相手がどうやるのか予測がつかなくて楽しめる、というのがあるんで、わりとそういう新鮮さを求めてるところはあるんですよね。本当はもっと芝居をガチガチに組んで全部作りものであったほうがいいとは思ってるんですけど、それだけの時間と実力が僕にないんですよ、自虐的な言い方だけど自信がないんで。だけど、ユメカが素敵なのに映画全体にそれが行き届いてないのはまずいな、と思って。それで絶対にもう一度やろうと思って、ユメカ主演を先に決めて脚本を作ったんですね。脚本家の芳田(秀明)さんにユメカの作品を渡して、彼女主演でやりたいと言って。

―そんな田尻監督の作品は女性からの人気も高いですが。

田尻:(苦笑い)べつに嫌なわけじゃないんですけど…日活ロマンポルノとかでも女の人が魅力的なものは、その人の裸だとかセックス・シーンを観て「ああ、いい女だなあ」と思うんですよ、男性として。やっぱりそうあるべきだと思ってるんですよね。だから「女性を魅力的に」というのは、男性から見て魅力的に見えるように作ってるんですよね。

▼日活ロマンポルノからピンク映画へ

―ピンク映画を観始めたのはいつ頃からですか?

田尻:ピンクは1987年からですね。それまでは田舎で日活ロマンポルノをテレビで見ていて、『狂った果実』(根岸吉太郎監督)が大好きで。東京に出てきて、当時いっぱいあった成人映画館で映画ばっかり観てたんですけど、目蒲線の鵜の木駅にあった「安楽座」という映画館で観たのが一番最初です。三本立ての一本に佐藤寿保監督の『ロリータ・バイブ責め(秘蜜の花園)』が入っていて、ピンク映画だとは知らずに観たんですけどもう衝撃的で! こんな映画がこの世に存在する、というのが。当時(いわゆるカルト映画とされている)『エル・トポ』(アレハンドロ・ホドロフスキー監督)とか『追悼のざわめき』(松井良彦監督)が好きだったんですけど、前者は完全にちゃんとしてるし、後者もまだ僕の中ではみ出してはいないというか、あってもおかしくないという感じだったんですね。でも寿保さんの映画を観たときは、こんなものが存在するということが信じられない!みたいな。エネルギーというか、凄まじいんですよね。すごい衝撃的でしたね、あれは。それからは新宿国際(劇場)とかにも行くようになって。

―観客から作り手になったわけですが、同世代の他の監督はどのような存在ですか?

田尻:「五人組会」というのを一年に一回やるんですけど(笑)。それはいまおかさん、榎本(敏郎)さん、女池さん、坂本、僕という助監督時代からの知り合いの五人で、坂本いわく「五人で助け合って映画を撮っていこう!」という会なんですよ。このあいだ坂本が引っ越したんですけど、今度そこにみんな集まって黒板を用意して…というのは、「エドワード・ヤン(揚徳昌)とホウ・シャオシェン(侯孝賢)は若い頃はそうやって黒板に色々書いて語り合ったんだ」と坂本が言ってて、「えーこんなことやりに坂本ん家に集まんの? 行きたくねー」と思ったんですけど(笑)、それぐらい仲がいいということです。

▼今までとは違うことを

―今回は田尻監督だけ二本上映されます。

田尻:このえこひいきは何なんですかねえ(笑)。

―タイプの違う二本ですが、恋愛映画8本の中に選ばれた心境はいかがですか?

田尻:二本選ばれたのは、喜ぶべき?(笑)タイプが違うというのは、『たまもの』に対抗して『痙攣』を撮ったことで、自分の今の余力では(これまで目指してきた)セックス・シーンには到達できないというのがあったので、そうじゃないものをやりたかったんです。『ヒモのひろし』のシナリオ(守屋文雄)はみんなで審査して一位に選ばれたやつで、みんな「いまおかさんがやったほうがいい」という意見だったんですよ。僕はそれまでジメジメした二人だけの世界で触れ合う音とかを目指してたんですけど、もっとおおらかなものをやるんだったらやっぱりコメディのほうがいい。今までコメディをやらなかったのは、それがセックス・シーンに合わないと思ってたからなんで。そのときにそういうホンがあったから、いまおかさんに「今回は(やらせて欲しい)」と言ったら、「ああ、いいよ。やりたきゃやれよ」みたいな感じで。

―守屋さんの脚本の世界と今までの田尻監督の作品のテイストがすぐには結びつかなかったのですが。

田尻:いや、そうでもないですよ。デビュー作(『イケイケ電車・ハメて行かせてやめないで!』/'97)は結構おバカ映画なんで。

―『ヒモのひろし』はコメディですよね?

田尻:コメディのつもりで撮りましたよ? やりたかったのはおおらかであったり躍動感のあるものです。守屋さんの脚本はものすごいエネルギッシュで昔の映画を観ている印象があって。うちの親父たちの世代というか、戦後の混乱の中でくだらないことでゲラゲラ笑ったり泣いたりしながら一生懸命生きている単純な人たちの世界を想像していて守屋に聞いたら「いえ、現代の人たちを描いたつもりです」と言われて。自分でホン書けないから他人に頼むんですけど、生真面目なんで、特にこのときはみんなで審査して選んだ脚本だったから「できるだけ手を入れちゃいけない、変えたら何のためにみんなで選んだんだ」と思っちゃったんですよね。ただ、出来上がったものに関して言うと、もうちょい僕もおおらかで(ルーズで)あったほうがよかったかなあ、と。

―今までとは違うことに挑戦する上で新しく試みたことは?

田尻:僕は普段ものすごくカットを細かく割るんですけど、あれは長く回してるんですよ。どうしても周りに影響されやすいというか…助監督時代についた監督で長回しするのは瀬々さん、同期だといまおかさん、その後(サトウ)トシキさんがやるようになって、坂本もエノ(榎本敏郎)もみんなそうなんですよ。さっきの五人組でいうと(長回しじゃないのは)僕と女池さんだけなんですね。僕はもともと長回しのほうが好きなんですよ。でも周りにこんだけいっぱいいると「絶対するもんか!」となって。たまーにラストシーンでやるのはね、タガが外れちゃうんですよね。それで(長回しには)抵抗があったんですけど、『痙攣』で今までずっと自分が考えてやってたことがもう難しいな、と思ったときに、これまでと全然違ったことをやるんだったら、過去にやってきたことを大事にしてこだわる必要はないと思ったんですよ。どうせもう色んなことを辞めてるんだから、やりたいんだったらやればいいじゃん、と自分で思って。ひとつやめるともう何もかもやめたくなるんですよねえ。それで長く回してみたんですけど…。

―最後のほうでみんなが代わる代わる墓碑に近づいてくるシーンがそうですよね。

田尻:あーれ長かったですよねえ! 僕の頭の中ではそれまでがものすごくテンポがよくて、あそこで急にテンポが落ちて、最後にまたぐーんと上がるつもりだったんですよ。

―ひろし役の吉岡睦雄さんはこれまであまりコメディの印象はありませんが、最初から決めていたのですか?

田尻:そうですね。コメディやらせてみたいなと思って。吉岡は、うまくいっているかどうかは別として、ものすごい作りこんだ芝居をする役者なんですよ。僕はナチュラル芝居っていうのは芝居じゃないと思ってるんで。

―作りこんだナチュラルさかもしれませんよ?

田尻:吉岡はそれでもなくて、簡単に言うとクサい芝居をするんですよ。その中でもA、B、C、D、Eと色々持って来るんですけど、それがすごい好きで。僕は映画は作りものだと思ってるから、ナチュラルなんて映画じゃない、ドキュメンタリーだろう、と。『ヒモのひろし』は僕の中でリアリティとはかけ離れたところにあるものだったから、今考えうるキャスティングの中では吉岡しかいない、と最初から決めていましたね。これまでキャスティングありきで作ったのは『痙攣』のユメカと『ヒモのひろし』の吉岡だけですね。

―真逆に向かって撮られた両作ですが、結果的にはどちらのほうがより目指したものに近づけたと思いますか?

田尻:反省度合いが大きいのは………『ヒモのひろし』かなあ。

▼逆転の映画づくり

―田尻監督といえば手持ちカメラですが。

田尻:ですよねえ、三脚借りてないですからねえ。『OLの愛汁 ラブジュース』('99)のときに借りなかったんで。その判断はキャメラマン(飯岡聖秀)じゃなくて僕がしてます。あのときはセックスの「くっつく」瞬間を撮りたいっていうのがあったので、三脚をがちっと構えると客観的になっちゃうからもっと近寄りたいっていうか。FIXなんですけど、手持ちの柔らかくて遠くない視線でそれを見つめていたいと思って。

―あと田尻監督といえば色合いが特徴的な気がしますが。

田尻:そうですか? 原色や濃い色は好きですけど…色よりも光のほうが相当注文が多いと思いますね。

―あ、そうですね。色が印象的と感じたのはきっとその印象だと思います。

田尻:照明は、光の光源が何でこのシーンではどこに持ってくるか、ナイトシーンだったら光源を月光にするのか電灯の明かりにするのか、とかそういう話はしますね。一番いいのは太陽の光がダントツですよ。ピンク映画だから自然光が多いんですけど、お金があるんだったら自然光に近い照明を作って、(パトリス・)ルコントの『髪結いの亭主』の外からの光とか、撮りたいですねえ。

―『痙攣』では女性ボーカル(「I am frogs」)の曲が使われていますね?

田尻:僕は映画で歌謡曲が流れてるのがすごく好きで。歌モノで使えそうなインディーズ系のとかを探してもらってたらよさそうなのがあって、まだCDにしてない未発表曲も使って欲しいということで、その曲のほうは使ってるのかな。でも嬉しくて、スケベ根性でちょっと使いすぎましたね(笑)。かける回数じゃなくて曲数ね。使えるんだったら使ってやろうっていうのもあったんですけど、ピンク映画って音楽に対してストイックすぎるというか、使えないというところから発想してるから、なんかそれは発想が貧困だなあと思って。いっぱい使うのが普通みたいなところから出発してもいいんじゃないかなあというのがあったんです。

―逆から発想されることが多いんですね。

田尻:反発心が強くてねえ(笑)。素直に何かをするってことはほとんどなくて、誰々に何かを言われたとかあの人は何をやったとか自分は今までどうやったからとか、とにかく何かを決めないと出来ないんですよ。 

―自分で自分に制約を課す感じですか?

田尻:うん、基本的にはまず自分の中で縛りを決めて、その中で何をやるかっていうふうにしていきますね。ピンク映画の限られた中でやるんだったら何でもかんでも自由にやるのもどうかなあ、とか。ひとつひとつ、宿題を自分に課しながらやってますが。

▼ピンク映画だからできること

―ピンク映画と一般映画の一番大きな違いは何でしょう?

田尻:くっつくまではエロ映画でなくてもできるわけだから。エロ映画の神髄はその後のことだから、くっついてから観てる人をわくわくドキドキさせるものを描かなきゃいけないんですよね。そういう瞬間を作り出せなきゃいけない。それは脚本全体の問題でもあるので、なかなか、まだまだ宿題は…これからもピンク映画は撮るんでその中でやっていければと思います。

―最後に、今回初めて観るお客さんに田尻監督ならではの見どころをお願いします。

田尻:僕は成人映画っていうのはエロ映画というひとつのジャンルだと思ってるんで…本番をやるエロのドキュメンタリーじゃなくて、エロのフィクションですね。だからそこを観て欲しいし、エロも映画の醍醐味のひとつだと思います、小さい頃にキスシーンを観てときめいたのと同じように。でも実際にはセックス・シーンは長いと思います。長いシーンがあってもいいけれどもっと短いほうが的確に表現できると思う。だから『OLの愛汁 ラブジュース』のときは、それを逆にしないと無理じゃないかというところから作ったんです、セックス・シーンありきの話にすれば短いほうがおかしいと思って。でもあんまり同じ方法をやるのは…我ながらその宿題はクリアーしたんで…だから今は別の方法でその部分をクリアーしたいなとは思ってますけども。なんかね、「くっつく瞬間っていいよね」とか。何を観て欲しいか、ということで言うとそこを撮りたいですね。

同一監督による対照的な二作品。片方を観ることでもう片方がわかってくる…こんな見方ができるのも特集上映の醍醐味のひとつです。田尻監督の目指す「作りこんだ世界」の中で唯一(?)本物を使ったコオロギ相撲(『ヒモのひろし』)も一見の価値アリ。ふたつとも観て、それぞれの味を比べてみるのがおすすめです。

(インタビュー・文:那須千里)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

めいど

原稿、パソコン入力。手書きより遅い。納豆そば、意地になって食う。
昼寝。国映、ビデオ取りに行く。新宿、ツタヤ、紀伊国屋、ぶらぶら。
納豆メシ食って、ビデオ「めいどinあきはばら」多胡由章監督、見る。チープでくだらないと思っていたが、後半盛り上がっていい。編集がとても上手。下らないことも真面目にやれば面白い。勉強になる。鮎本読んで、寝る。

うるおいが欲しい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年5月15日 (月)

魚と寝る女

朝からジョナサン、考え事。納豆そば食う。いい加減あきた。
再ジョナサン、原稿書き。うまくいかん。ブルー。タラ蒸し焼き食う。腹一杯で寝る。
再々ジョナサン、原稿書き続き。何とかやって、家でビデオ「魚と寝る女」キム・ギドク監督、見る。
暗いのに滑稽。変な映画だけど、何か残る。カップ焼酎飲んで寝る。

地味でつまらん一日。しゃーない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年5月14日 (日)

これしきゃないのよ

小雨。寝たり起きたり。たらこでご飯。ジョナサン、考え事。ネタ浮かばん。
あじ塩焼き食う。めちゃウマ。再ジョナサン、読書。柴崎友香ばかり。
「セキ☆ララ」再見。原稿書けず。カップ焼酎飲んで、寝る。

「これしきゃないのよ」を探してる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年5月7日 - 2006年5月13日 | トップページ | 2006年5月21日 - 2006年5月27日 »