ラーメン
結婚式の余興で踊る。
無敵のヅラを被って歌い踊りまくる自分の胃の中で、前日喰ったラーメンとさっきまで飲んでいた酒が一緒になっているのを想像すると気持ち悪い。
そんなことを考えながら踊っていたら、思い出した。
舌が痺れるくらいめちゃくちゃまずいラーメン屋があって、オヤジもめちゃくちゃ無愛想なのだ。
しかしなにか偶然が重なって、そのラーメン屋で何度かラーメンを食うはめになる。
はじめは残しているんだけれど、ある空腹の日、思わず麺を平らげ、スープまで飲み干してしまう。するとドンブリの底に秘密の暗号が書いてある。それを見た無愛想なオヤジがニヤリと笑って、秘密結社への入会を認められる……
そんなシーンを思いついたことがあって、「おじさん天国」の1稿目でそれを生かそうと試みた。
地獄の入口がラーメン屋で、ブクブクと泡立つラーメンを恐ろしいオヤジに注文もしていないのに出され、泣く泣く喰うはめになるハルオとリカ。残せば恐ろしい罰が待っている。
完食したハルオだけが、ドンブリの底に「地獄へようこそ」の文字を目にして、なにがなんだか分からないまま、割り箸を持ったまま地獄をさまよう……。
そんなシーンだった。
いろいろあって切ることになったけれど、割り箸を持ったまま地獄をさまようというのだけは、いまだになんだか面白くて、惜しかったなぁと思っている。
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