R18リレーインタビューVOL.5 【平沢里菜子・向夏・華沢レモン編】

R18映画は女優が命。今回は、平沢里菜子さん(『かえるのうた』いまおかしんじ監督、『ヒモのひろし』田尻裕司監督)、向夏さん(『ビタースイート』女池充監督、『言い出しかねて』後藤大輔監督)、華沢レモンさん(『たまもの』いまおかしんじ監督、『悶絶!!電車男』友松直之監督)といったフレッシュな新進女優陣にお集まりいただき、女の子だけの本音トークをしていただきました!
平沢さん、向夏さんはちょうどこの取材日の一年前がクランクインだったというご存知『かえるのうた』コンビ。向夏さん、華沢さんは本年度のピンク大賞・女優賞を同時受賞した縁。
現代女性の生き方を映画監督たちとともに表現してきた彼女たちは、ピンク映画をどう見ているのでしょうか?
▼Bプログラム『ヒモのヒロシ』『悶絶!電車男』/Cプログラム『たまもの』/Dプログラム『言い出しかねて』-平沢さんは今回Bプログラムで上映される『ヒモのひろし』のヒロイン、というかマドンナ的なキャラクターを演じていますね。

平沢「田尻さんには、若いときの倍賞美津子さんのような下町の男の人たちに好かれる感じの女の子だ、と言われたんです。でも倍賞さんが演じていたようなマドンナ役って結構感情の起伏が激しいというか笑ったり怒ったり表情豊かですよね。私が演じたハルカというのはあまり感情を顔に出さないクールな女の子で、私自身彼女がどういう感情でいるのかさぐりながら演じていたので難しかったです。なんで太鼓を抱えてるのかも含めて(笑)」
-田尻さんとお仕事した感想は?
平沢「現場ではすごく怖かったですよー!…なんていったら怒られちゃいますねぇ。うーん、なんていうか、監督の頭の中では撮りたいものがきっちり決まっているんですよ。いまおか(しんじ)さんは、怒ってみたり、沈んでみたり、おちゃらけてみたり、ひとつのシーンでもパターンをいくつか試してみてから決めていく感じなんですけど、田尻さんは演技のパターンを役者が試すよりも監督のなかで出来上がってて、それに演じていく側が沿わせていくタイプだと思います。」
- タイトルロールを男優さんが演じているのも珍しいですよね。ヒロシ役の吉岡睦雄さんは今回の上映される8作品中3作品に出演している若手ピンク男優のホープですが、みなさん一度は共演されていますよね?
(お互い顔を見合わせ、なぜだか一同爆笑)
華沢:(ぼそっと)「変な人…!」
向夏:「いろんな作品に出過ぎ?」
平沢:「でもやっぱりダメ男が一番似合う!誰にでも愛されるキャラクターを持った方だと思いますよ。」
(そしてなぜか再び一同爆笑)
-向夏さんの『言い出しかねて』も、『ヒモのひろし』とはまた別の意味で奇抜な作品ですね。
向夏「目が見えないからって好きな人を取り違えて恋愛するなんて、普通はありえないですよね。でもそれを通り越して登場人物たちが一生懸命だから見てるとぐっとくるというか…。健気なんですよね。」
- 監督の後藤大輔さんはどんな方ですか?
「私がいままでお仕事してきた他の監督さんの中で、役者になにを求めているのかっていうのが一番わかりやすかったんです。でも監督は妙に自信がない感じでおっしゃるんですけど。」
-目が見えない少女というのも難役でしたね。
向夏:「よくやりましたよね~(遠い目)。撮影中はちょっと身体の感覚がおかしくなりました。演技していない時でも、見えているものを見えないフリをしてしまったり。けっこう役に入っちゃってましたから。」
-この作品で共演されてる川瀬陽太さんも男優としてピンク映画界のキーパーソンになっている方ですよね。
向夏「でもね、いつも酔うとぐだぐだになってるんですよ。実は昨日も一緒に飲んでました。撮影中はすごくやさしくて、助監督みたいに気を使ってくださるんですよ。」
-華沢さんはピンク映画デビュー作でもあるCプログラムの『たまもの』と、Bプログラムの友松直之監督の『悶絶!電車男』で自殺して幽霊になった彼氏と再会する女子高生役ですね。
華沢「友松監督もかなり個性的な方なので現場は楽しかったです。女子高生役なので制服を着ているのが恥ずかしいんですけど…。自分的には女子高生はもう限界かなって思っているんですけど、なぜか制服着る役が多いんですよ。」
- 『たまもの』ではかの林由美香さんとひとりの男性を取り合う役でその年のピンク大賞の新人女優賞を受賞しましたね。
華沢「はじめてのピンク映画だったので、すっごく緊張しました!しかも由美香さんとでしたし。同じ部屋に泊ったんですが「私こんな悩んだ作品はじめて…」と由美香さんがずっとお酒を飲みながら苦悩されていたのが印象的でした。うまく言えないんですけど「わあ、本物の女優さんだ!」とはっきり思いました。最初の作品で由美香さんと共演できたっていうのは緊張したけど、すごく刺激になりました。わたしも頑張らなくっちゃ!って思いましたよ。」
▼いまおか組ってさぁ・・・- 『たまもの』はかなりリテイクを重ねたと聞きました。平沢さん、向夏さんも『かえるのうた』でいまおか監督のリテイク攻撃は経験済みですか?
向夏「そうですね。いまおかさん、とにかくなにも言ってくれないので。『かえるのうた』でもひとつのシーンを、いろいろ試しながら撮ってましたからね。」
華沢「監督の中ではっきり決まっていない。キャラクターの設定も突然現場で変わりましたから。いきなり「じゃあ、やくざの娘ね!」とか。」
平沢「考えてないみたいですよね。よく「どうすっかな~」って言ってますし。」
向夏「でもすごくいいタイミングを待ってるって感じがします。」
- 「いいタイミングを待つ…」いまおかさんの釣り人精神があの独特な“いまおか節”を生んでいるのでしょうか(笑)
▼女優からみたピンク映画の内側/外側- ピンク映画の良さってどういうところだと思いますか?
向夏「女の子の恋愛って、普通に彼氏とおしゃべりしたり遊びにいったりする部分と同じくらいラブシーンにあたる部分が重要だと思うんですけど、一般映画ではラブシーン自体そんなに深く描けないじゃないですか。ピンク映画の場合その部分自体がジャンルなのでそういう表現をできるということがすごく強みだと思います。」
平沢「そうですよね、今回の上映みたいに女の人がピンク映画を見れる機会って少ないと思うので私は女の子が観て、どういう感想をもつのかすっごく興味があります。観てくれた人からのメッセージが欲しいです!」
向夏「そうそう、なにも考えないでさらっと観に来てほしいですよね。」
華沢「別に絡みのシーンがある、なし関係なく、すごくストーリーもきっちりしているのでこの機会に観てほしいですよね~。全部の作品観て欲しい(笑)」
- ピンクの業界って監督、スタッフ、役者ほとんど顔見知りっていうのが多いですよね?今後一緒にお仕事してみたい方とか、気になる方はいますか?
平沢「私は女池さん!」
向夏「えーっ、やめておいたほうがいいよ!」
平沢「えっ、どうして?『ビタースイート』とか観て一緒にやってみたいなって思いました。」
向夏「私もできるだけ色んな監督とお仕事してみたいとは思ってますけど、田尻作品にはもう一度リベンジしたいなって思います。デビューしたてでお仕事したとき、うまくできなくていまだに気になってるんですよ。だからまたご一緒したいと思ってます。あ、別に使ってくれ!って宣伝してるわけじゃないですけどね(笑)。」
華沢「みなさんプライベートの飲みの席ではよくお会いするんですけど、仕事は一緒にしたことがないってケースが多いんですよ。」
向夏「あー、わかりますわかります!」
華沢「なので、私はそういうケースでは坂本監督の作品に出てみたいなぁ~なんて思いますね。監督として現場でどんな感じなのかなって知りたいです。」
- あと女性の目からみた場合、ピンク映画の公開時のタイトルにはぎょっとするものがありますけど、実際出演されてるみなさんとしてはそのへん率直に言ってどう思ってますか?
平沢「そうですよね~。『かえるのうた』だって公開タイトルは…」
向夏「『援助交際物語 したがるオンナたち』、です!(笑)」
華沢「“巨乳”とか“痴漢列車”とかそういうタイトルがつくのは当然だけど、演じている方でも「うわ!」ってやっぱり思いますよ。あんまりタイトルを人に言えないというか…。」
向夏「内容は全然猥褻な感じでもないけど、そういうタイトルがついているだけで女性はまず見ないですよね。だから今回みたいに改題しての上映っていうのはちゃんと作品の内容に沿ったタイトルだし、それで色んな人が見やすくなると思います。」
平沢「題名だけで先入観をもたれてしまうのは悲しいですからね。監督も役者もみんながんばってて面白い人が多いですよね。」
ピンク映画の面白いところで勝負をつづける3女優の忌憚なきトークいかがだったでしょうか? クールな美貌で一刀両断に発言する平沢里菜子嬢、明るくはきはきとした中に印象的なコメントを残してくれた向夏嬢、キュートで若さゆえの傍若無人さがたまらなかった華沢レモン嬢、三者三様の魅力がうずまく座談会でしたが、やはり彼女たちは女優。それぞれの魅力は是非スクリーンで現認していただきたいです! (インタビュー・文:綿野かおり)
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