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2005年12月30日 (金)

七福神と呼ばれた男たち<後篇>

女池 でももうそろそろ、何を撮りたいのかっていうのを明確にしていかないと、この先進めないんじゃないかなとか思ってるんですけど。一通り話をしてもらって、ピンク映画撮ってる…もう卒業した方もいるんですけど、ピンク映画をどういう感じで作っているのかということと、お客さんもイジらせて貰いたいなと。じゃあ順番に。

坂本 僕も、何でピンク映画を作ってるかっていうと女の人の裸が好きだからだと僕自身は思ってるんですけど、田尻さんとかに鼻で笑われるかもしれないんだけど、僕はそれがあるとつくづく思うんですよね。

女池 今の坂本の意見に、何か。会話にしていきましょう。いまおかさんとか言いやすいんじゃない?

いまおか え?(坂本さんに)ハダカ好きなの?

坂本 めっちゃ好きですよ。

いまおか そういう風には思えない。

坂本 でもみんな、セックスシーン好きでしょ?だからピンク映画やってんじゃないの?

いまおか そうでもないんじゃない?僕はあんまり。見るほうが好き。

坂本 ふーん。田尻さんは?

田尻 坂本に聞くけど、坂本が女の人の裸が好きなのはなんとなく分かるんだけど、ボクが好きなのはキレイに撮ろうというか、そういうのが物凄いある。で、坂本のは・・・。

坂本 キレイに撮ろうとは思ってない。

田尻 思ってないよね、絶対そう思ってないよね?それで前さあ、坂本が2本目の『18才 下着の中のうずき』でケーキをぬりたくってそれを舐めさせてとかっていうのがあって、そこを僕に自慢してて、撮り終わった後「すっごい絡み、エロイの撮っちゃった」って。

坂本 それはないよー。

女池 田尻さんは人と違ってるとこがあって、田尻さんなりの受け止め方だと思うんですよ。さっきの僕の話を聞いてても思ったんですけど。

田尻 ちょっとオーバーに話してる?

女池 いや、受け取り方が違うと思う。喋ってる人の真意を汲み取れてないんだと思う。(会場笑い)

田尻 そうか。いや、ちょっと酔っ払い気味なのかもしれないけど。で、坂本は裸が好きでどう撮りたいの?

坂本 ちょっと僕、どう撮ろうというのは、田尻さんと言ってること違うのかな。そんな気もするんだけど、女の人好きなんだけど、僕はもしかしたら女の人になりたいって思ってるのかなって思うぐらい、ちょっと羨ましいなって思うんですよ、女の人って色々あって。生理とかあったり、パンツにオリモノついてたりして。ああいうのを映画にしたいんですよ。よく分かんないんですけど、ああいう世界を具体に出来たらいいな、色々ある感じを。だからこう女性の裸の絵画的な美しさみたいなものには、興味はないですよ。

田尻 でもさ、生っぽいそういうのも、坂本、映画の中でやってない・・・。

坂本 最近気づいたことかなのかもしれないけど。なんかまあ、そういうことをしたくてピンク映画に来たのかなぁみたいな感じをなんとなく自分で気づいたっちゅうか、思い始めたのかもしれない。

女池 榎本さんどうですか?次、1月から撮るのは榎本さんなんですけど。

榎本 撮る前は普通に(ピンク映画を)お客さんとして見てて、普通の映画も成人映画もその頃はロマンポルノもあったし、分け隔てなく観てたんで、理屈じゃなくこうあるべきなんだろうというような感じがきっとある。それを頼りに撮ってるというか。そういうのはあるんですけど。やっぱりその裸というか絡みとかそういうのは、ただやってるんじゃなく、それを見せる形にしなきゃなんないっていうのはやっぱり撮ってて難しいんで、それは常に考えなきゃって思ってるんですけど。

女池 じゃあ一通り聞いていきましょう。鎌田さん、撮られてた時はどうでしたか?鎌田さんは唯一、この中でピンク映画をやろうと助監督として入ったんじゃないと思うんですが。

鎌田 僕はTVをずっとやってたので、ピンク映画ずっと観まくってた訳じゃないんですけども、やっぱり、現場に入ってみて余計なものとか人とかが、あんまりなく感じてシンプルで規制が全然ないちゅうのがよかった。まあ女の人好きですけど、裸を撮りたいっていうのはないです。低予算でシンプルなのが良かった。

いまおか 僕は、なんとなく獅子プロみたいなピンクばっかりやってるプロダクションに入って、まあ気付いたらピンク映画って世界に居たっていうか。もちろん観てたりとかして、それで好き・嫌いとか居易い・居づらいみたいなことで言うと、居易い世界だったけども、自らがつかみとった選んだ場所ではなかったと思う。結果的には選んだけども。撮るなら撮るでベストというか、なるべく100%に近い何かをやるというか、周りの人との関係だったりするんだけども。その中で坂本とかも、ピンクっていう土俵の上にドンと乗ってるから、そういう風な考え方になるんだと思うけど。まあ今、目の前にある大問題が(自分が中にいる)ピンク映画だから、それについては良く考えますね。まあ釣りとかもしながらなんですけど、逃げながら、でも土俵の外にちょっと出れない感じは今はしてますけど。

上野 何故ピンク映画か?ちょっと僕、分からないんですけど。セックスシーン撮るの、すごい気恥ずかしいというか。セックスが好きで女の子も好きなんだけど、一番恥ずかしいんですよね。自分自身が映画の中でひとつ裸になって、もう一回セックスシーンで裸になんなきゃいけないっていう。なんか凄い恥ずかしさがあって、早く撮っちゃおうっていう、早く撮りたがる所があって。あるプロデューサーに「上野さんの絡みっていつも腰の使い方が早いですよね」って言われて。オレはこの位だけどなって思った事があって。やっぱ凄い一番裸になる部分だよなってとこはありますよね。

女池 一応ボクも言わせて頂くと、どうやって映画を自分がやれるだろうっていう所でピンク映画っていうものを選んだんですが、それには幾つか理由があるんですけど、一つは男と女の人が出てきて好いたはれたとか、エッチするしないとか、そういう世話もの的な映画を撮りたいなあと思ったんで、そういう意味ではピッタリだったんで、ボクはそれで今も(ピンク映画を)やってるんですが。一通り話しをしてもらったんですが、今度はお客さん方にも聞いてみたいんですが。「P-1 GRAND-PRIX」の時に直接お客さんに聞いた訳ではないですが、もっとお客さんたちはイヤらしいものを期待して観に来てたんじゃないかなって思ったんですね。皆さんどうですか?ボクは個人的に言うと、『スワッピングナイト』はそこにちょっと立ち向かってゆきたいなあというのものがあって。毎回立ち向かってる訳じゃなくて、『花井さちこ』の時は微塵も考えなかったです。そこらへんはどうですか?いまおかさん、『たまもの』では本番でやったりとか・・・。

いまおか いやぁどうなんだろうな。自分が観客の立場としてあんまりエロいものを観たいと思ってなかったから…。なんか、その「エロいの向こう」を見たいっていうか。「向こう」って何?ってよく分からないんだけど。その、なんだろ…うまく言葉に出来ないんだけど。ちょっとした声だったりとか、「ああそうだよな」っていう。単純にエロいっていうのもすごい広くなっちゃうっていうか、いやらしいものを撮るっていうことにあんまり興味がないのかな?オレがね。…だから興味がないことには、なかなかタッチできないから。

女池 どっちかっていうと興味がないっていうのは多かったですね。でも、観に来る人はそうじゃないんですけど。じゃあ、一番前の人に聞いてみましょう。今日は何で来て頂けたのか、何を期待して来られたのか、一言いただけないでしょうか?

客1 来たのは友達に誘われてなんですけど、僕らの年代はピンクって盛んな時期が大学時代で、そういうことに一番興味がある時期を過ごしたもんですから、その後AVっていうのが出てきてエロを観たければAV観ればいいやと。それプラス映画のストーリーとか演出とか編集の感じとか、そういうのを見るならピンクっていう。私も暫く映画鑑賞から離れてたんだけども、今回観て感じたのは、AVが出てきたことによって、ピンク映画ってすごく自由になったんじゃないかなっていう。今日の映画(『ビタースイート』)でもわりと人間関係とかしがらみみたいなものとかを、きっちり描かないと映画にならなかったですよね。そういう意味ではピンクって進歩してきてるよなっていう、自由な映画になってきてる気がして。色んな形でピンク映画ってどんどん撮られていくべきだし、そうなっていくんだろうなと、これだけ若い方々を見て思いました。

客2 映画全体に求めるものってものが色んな可能性があって今日ここに来てる感じで、こういうのが見たいのかもしれないということで来てるんですが、今(壇上の監督の)皆さんもピンク映画をやってらっしゃると思うんですが、監督人生でもっと大きな映画の可能性もある中で、何故かピンク映画をやってらっしゃるという所に非常に面白さを感じる。ピンク映画の好きな所ってせっぱ詰まった感じ、そういう所でたまに否応なしにセックスをやってるんじゃないかみたいな感があって、それが面白いですし。さっきのピンク映画は自由だって話も、自由かもしれないけど、不自由でしょっていう。そういう所にキュンとくるっていうか。

女池 今の話を聞いてどうですか?じゃあ、次に撮る榎本さん。

榎本 映画撮るのは楽しくもあり、辛くもあり、ピンクを撮るということは裸を撮ることでもあり、絡みを撮ったりするのは仕事としてやらねばならない意識としてやってると思う。仕事というのは楽しいけれど辛いというものが共存してるから良いのであって、そういうところが滲み出て映画に人間味が出ればいいかなと思います。

女池 じゃあ最後にシメで。今の話の流れでアンチなのは田尻さんなのかな。

田尻 もともとエロ映画のピンク映画とか撮りたくて入ったんじゃないっていうのが正直なところで、自主映画で色々応募してダメで(助監督)3年で監督にしてくれるっていうからアレなんだけど。入ってみてさ、獅子プロの先輩方のもの凄い情熱っていうかキチガイじみた現場を色々経験しているうちに、なんかひっぱられてというか、感化されて、良い世界だなとかって思って。それでピンク映画に入ったからには、徹底的にエロいのを撮ろうとやってきたけれども、最近ちょっとボクの考えるエロの話だけど、即物的じゃない方が、魅力的な女性を描いてお家に帰って抜いてくれるっていうのを目指して作ってるんで。さっき言ったキレイとかいうのもその単純な意味の美しさっていうよりも、乱れた感じも全部含めて…いまおかさんの『たまもの』でいうと息が出来なくて、現場で「溺れてるような」と言ったらしいけど、そんな感じがグっとくる、泣けるっていうか感動するし、家に帰ってオナニーしてくれれば良いと思ってやってるんで。なんですかね・・・。

2005年12月23日 @ポレポレ東中野

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